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Netflix「アンナチュラル」
Netflixでドラマ「アンナチュラル」を観た。人気があったようだけれど今回が初見。法医学者が主人公の映像や小説はいくつも観て(読んで)いるが、この作品に登場する法医学者たちは普通な感じ。これまでに観た作品中の変人や天才とは法医学とは、ずいぶん違っている。死んだ人の声を聞く仕事、とはどこで聞いたのだろうか。
特に心に残ったのは「法医学は未来のための学問だ」というセリフだった。未来のため?その視点はどこから? そう思ったが、物語が進むにつれてその意味が腑に落ちてきた。
主人公のヒロイン、三澄がそんな言葉を言い放つ。なるほど、と思うと同時に、私は中堂のセリフも強く印象に残った。「愛する家族や恋人が死んだ理由をずっと分からないまま、もがき苦しみながら生きていく人を一人でも救いたい」……そういうことか、法医学は未来のための学問ということが、ここで理解できた。生き残った人たちが、ただ悲しみに打ちひしがれるだけでなく、真実に触れることで前を向いて生きられるようにするための仕事とは。
そして、私自身、怖くなった。もし、私の子どもたちがある日突然いなくなって、どこかで死因の分からない死体として見つかったらどうしよう? そんな恐ろしい想像をしてしまった。まさに、愛する者を失った人たちが、どうにかしてその理由を知りたいと思う気持ちは計り知れない。だが、それを追求するのは容易ではない。このドラマの登場人物たちは、その難題に日々挑み、真実を解き明かしていく。
そして、このドラマの中で描かれる政治的な圧力や、マスコミの無責任な報道。真実が捻じ曲げられる場面がいくつも出てくる。そういったことは、法医学だけの話ではなく、現実社会でもよく見かける。私たちの世界も、権力や無責任な報道によって事実がゆがめられる場面が多い。これを見ていると、何が正しいのか、何が真実なのかという問いが常に付きまとう。
この作品と同じスタッフ・脚本家によって作られた「MIU404」もとても面白く、一気に観終えたことを思い出した(源ちゃんが観たかっただけ)。警察ドラマとして作られたこの作品でも、社会の闇に切り込んでいくストーリーが展開されている。「アンナチュラル」とは違うアプローチながらも、どこか通じるものがあり、私はこの世界観がとても好きだ。両作品ともちょっと気の抜けた会話がつくる雰囲気と、リアルな人間の闇が対照的で好みのタイプ。
「アンナチュラル」の続編があればぜひ観よう。同じスタッフが手掛けた映画「ラストマイル」が上映中のようで、もとはと言えばその宣伝動画から「アンナチュラル」を観ようと思ったのだっけ。これもまた、社会問題を鋭く、そしてゆるく描く作品なのだろうな。