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【織々ノ記】#22 雨と花

2023年3月25日

 夜来風雨の声、花落つること知る多少。昨日からの雨で随分桜が散ってしまったようだ。花見に行きたかったが、バイトやら就活やらでなかなか行けないまま、花の盛りは過ぎてしまいそうである。

 花の命は一瞬で、とらえることが難しい。咲いたと見るや散ってしまう。だからこそ、多くの人に愛されるのだろうが、そうは言ってもやはり咲いた姿を見たいのが正直なところである。

 午後に茶道の教室があり、そばに桜並木があったので、帰りがけに寄ってみた。もはや枝にある花よりも、足元にある花びらのほうが多い気がする。散ってしまった花を元に戻すことはできない。それなら、散った花びらを愛する他ない。夕方にかけて花曇りとなった東京の空。濡れた花びらに思いを馳せて、また晴れる日を待ち望む。

(了)