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平井文夫フジ上席解説委員による日本学術会議をめぐるフェイク(デマ)解説

政治家も間違う事はあるけど選んだ国民の責任でもある。けど学者はそのプロセス経ず自分で勝手に選んでるから面倒の見ようがない。民営化すればいい。学者は6年ここで働けば学士院に行き年間250万円年金が死ぬまでもらえる。皆さんの税金から

フジテレビの平井文夫解説委員が述べたこの発言、完全な誤り・フェイクデマゴーグである。しかし、キー局(フジテレビ)の番組で、タレントの(学術会議は悪の組織だったとばかりの)反応と共に、この発言が全国に伝わった。

そして、多くの国民は、これをフェイクだと知らずに受けとるだろう。

日本学術会議と日本学士院はイコールではない

まず、大大大前提だが、日本学術会議と日本学士院は別物である。もちろんさまざまな資料からこの点は明らかだが、一般人でもWikipediaでもみればすぐにわかるだろう。(Wikipediaの信頼性という問題はあるにせよ、おおよそは正しい、)

日本学術会議も日本学士院も国立の学術団体であるが、日本学術会議は内閣府、日本学士院は文部科学省の管轄であるという大きな違いがある。そして、それぞれ日本学術会議法、日本学士院法に基づき、設置されており、ここからしても別組織ということは明らかだ。

学術会議会員になっても学士院会員にはなれはない

日本学術会議は、当然学術エリートが会員になるのだが、日本学術会議会員になれば日本学士院会員になれるわけではない(また、日本学士院会員になるのに学術会議会員になっていることも要さない)。

まず、学士院の定員は150名で、任期は終身である。(つまり、死ぬまで会員。)

そして、会員が死亡するなどし、欠員がでない限り、新たな会員は生まれない。

対する学術会議は、定員が210名、かつ任期は6年。数字だけ見ても、学術会議会員が学士院会員になれるわけがないということがわかる。

つまり、学術会議で6年間働いて、年金が250万円死ぬまでもらえるなどという制度はない。

年間250万のために駄々をこねる学者などいない

すでに説明のとおり学術会議と学士院は別物だ。が、仮に同じである世界があったとしても、年金の話は意味不明だ。この解説委員の見解だと、あたかも年間250万円の年金のために学者が駄々をこねているようにも聞こえる。しかし、冷静になればわかる。

学術会議や学士院会員になる(推薦される)ような学者は、大学をはじめとする安定した給与なり年金なりをすでに得ており、年間250万円のためにどうこういうような人ではない。

言い方が悪いが、一般人とは推薦される時点でレベルが違う。

第一、日本学士院の年金はあくまで給与名目。働けなくなっても貰えることは事実だが、文化功労者年金などと同じく、名誉的、世のため、日本のために尽力されてきた学者をたたえるためのものにすぎない。


学術会議の推薦・任命プロセスと政治を一緒にするナンセンスさ

さて、「素晴らしい学者に投票せよ」と言われて、誰がわかるだろうか。少なくとも学術分野に身をおき、自身の専門の領域でなければわかるわけがない。

学術会議の推薦が学者間による選挙であってもいいとは思うが、少なくとも一般の人にわかるものではなく、学者が学者としての目で推薦する制度には一定の説得力がある。

「自分で勝手に選んでいる」と述べているが、言える理由もなく「勝手に」拒否した菅首相と異なり、学術会議の推薦には理由も付されている。

政治家も間違うことがある、ではなく、今回は政治家が明らかに間違っているだけだ。

そして、一番間違っているのは、権力を監視し、正しい情報を伝えるべきマス・メディアの上席解説委員である平井文夫氏が、政権を擁護するかのようなフェイク、全くの誤りを公共の電波で流してしまったこと、これではないか。

任命拒否事件の本質は違法、違憲問題

そして、前の記事でも書いたが、日本学術会議法違反ないし法解釈の問題、学問の自由の問題が本質である、今回の任命拒否事件において、お金の話は本質ではない。お金の話は国民の関心を集めやすいが、法律違反、違憲疑いから目を逸らすためのものにすぎない。ここだけを、やたらと大きく扱うメディアは意図的かはともかく、政権の思う壺である。

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