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産経新聞・宮嶋茂樹氏の侮辱・差別主義的な残念な主張ー学術会議任命拒否問題をめぐって

産経新聞のコラム【直球・曲球】で掲載された宮嶋茂樹氏の主張は、あまりにもひどい。一度読めば、何かしら引っ掛かる人が多いのではないだろうか。(「【直球&曲球】宮嶋茂樹 まだやっとるんか日本学術会議問題」)

ここでは、少しずつ解説を加えつつ、見ていく。

まだやっとるんかいな…日本学術会議の任命拒否問題なんて…1億2千万日本人にとっては、そんなことよりも、毎日毎日、何百人も出しとる新型コロナウイルスの感染者数の方がよっぽど気になっとるで。。(産経新聞「【直球&曲球】宮嶋茂樹 まだやっとるんか日本学術会議問題」2020/10/22 10:00、以下引用同じ。)

これから始まるこのコラム。最初からおかしい。
まず、解決もしていない問題に「まだやっとるんかいな」もなにもない。政府は硬直的な姿勢を崩さず、一ミリも任命拒否問題は解決へ向かっていない。

次に、各種世論調査で出ているとおり、「一億二千万」の多くは、任命拒否をめぐる政府の説明に納得していない。そして、ここでコロナ問題を出してくるのはもはや、意味不明、以外言いようがない。というより、コロナの感染確認者数は今でも毎日報道されるが、検査数に左右されるこの「感染者数」に人々の関心がそこまであるとは思えない。(もちろん、コロナに対する関心は高いだろうが。)

針小棒大ではなく、過小評価だ

 ほんなときに、学術会議の会長がわざわざ首相官邸にまで出向いて…ヒマやのう…そんな会長取り巻いて、政権のアラ探しに夢中の大新聞、大テレビ局の記者サマも、これを第2のモリカケ、第3のサクラの会にすべく、針小棒大の報道されて…ホンマ、相手が中朝韓やのうて現政権やとご熱心やんか。

「学術会議の会長がわざわざ首相官邸にまで出向いた」のは、「ヒマ」ではなく、それだけ問題が大きいことを意味する。逆に、学術会議会長の「ヒマ潰し」で首相が会うわけがない。
また、新聞社が「取り巻く」のは会長ではなく、任命拒否という問題だ。それに、何かのいい間違いやマナーなどならまだしも、違法性が疑われる今回の問題は「政権のアラ」ではすまされない。どこも、「針小棒大」ではない。この宮嶋氏の発言こそ、「過小評価」にほかならない。
そしてまたもや、中朝韓という脈略のない意味不明な話が出てくるが、意味不明すぎて論点ずらしにすらなっていない。

「反日」なのはそちらでは

 あのな…学者センセイ方…アンタら特別職国家公務員なんやで。公務員が、政治活動や組合活動ばっかり、熱心にやっとったとしたら…あの日教組とやっとること同じやん。反日活動やっとるヒマあったら、新型コロナの特効薬やワクチン開発でもやったらどないや?

まず、学者は特別国家公務員ではない。日本学術会議に任命されればそうなるが。また、さすがにアンタ呼ばわりは社会的にも無礼すぎる。

そして、「政治活動や組合活動ばっかり、熱心にやっとったとしたら」とあるが、学者はそこまで暇ではない。学問の上で必要な、あるいはその学問から見えてきた政治的な問題を「批判」することはありえるが、「政治活動や組織活動ばっかり」やっている人はもはや学者ではないし、(少なくとも推薦に上がっている人のなかには)いない。

学問に基づく「批判」が「反日活動」になるという主張もあまりにも恥ずかしい。根拠のないことを並べ、日本を貶めるというなら「反日」なのかもしれないが、そんなことはない。
むしろそうした優秀な学者を貶める「ジャーナリスト」こそ、学問という国の発展にも不可欠なものをバカにしており、真の「反日」といえるかもしれない。

文系の学者も、や。わが国の島根県・竹島は江戸時代から日本が治めとったという、もっと確固たる歴史的証拠や文献、見つけたらんかえ! それを国際社会や、日本学術会議なんかよりよっぽど権威ある学会で発表したらんかえ!

これは全く意味がない。江戸時代に日本が治めていたとしても、今日の領土問題の解決にはならない。
まあ、右翼の自己満足にはなるのかもしれないが。

明らかな朝鮮人差別

ほれでもって、いかに中国共産党や朝鮮民族がどれほど、歴史を捏造(ねつぞう)しとるか、そしてそれを正当化するために、わが国の領土を侵略し、わが国民の財産を奪い、名誉を辱めときながら、それを日本人から指摘されると「ヘイト」だとわめく、幼稚な民族のことを、世界中に知らしめたらんかえ!

ここまでも十分にひどいが、ここは一番許されない部分だ。
具体的に、何を捏造したなど書いていないため、詳細はわからないが、何はともあれ「幼稚な民族」という言葉は差別そのものだ。
民族に優劣はない。当然「幼稚な民族」などというものは存在しない。

この発言こそ、彼らの「名誉を辱め」ているものにほかならない。

 毎年10億円も使うて出した結論が、日本の安全保障法制はケンポー違反の疑いやなんて、言葉遊びにうつつを抜かし、喜ばせとるんは、中国共産党と朝鮮民族だけやんけ。こんなん学者やのうて、反日活動家のやってることやん。アンタらわが国の国益損うとるだけやん。

毎年10億円が高いと言わんばかりで、これはおかしいというのは前にも書いたので、ここは省略する。
が、安全保障法制は違憲であるというのは、学術会議に限らず、大多数の憲法学者の認めるところだ。宮嶋氏は、憲法論議をしたいのなら、まず憲法を学ぶべきではなかろうか。

憲法違反か否かは「言葉遊び」ではない。

「朝鮮人や中国共産党」が喜ぶからやっているわけでもないし、「朝鮮人や中国共産党」も、学術会議が違憲だといって、喜ぶこともない。
学問に基づく評価を「反日活動」という。学問は国益に資する。富める国は学問を疎かにはしない。学問を否定することこそ、「国益を損なう」のだ。
無知ゆえの発想なのだろうが、「ジャーナリスト」であるなら、あまりにも恥ずかしい。

 顔洗うて、心入れ替えて出直してこい、まっとうな研究成果もってこい! って首相は言いたかったんとちゃうか?

宮嶋氏はもちろん、首相にどうして「まっとうな研究成果」がわかるのだろうか。任命拒否された彼らの研究成果はまっとうなもの、そのものである。

それに、首相は推薦名簿を見ていない(ことになっている)。であるなら、首相がそんなこと、言えるはずがない。

宮嶋氏がそういいたいのかもしれないが、宮嶋氏、何様のおつもりなのだろうか…。

産経新聞にも責任がある

宮嶋茂樹氏のコラム、結局ほとんど引用してしまった。が、どこを切り取ってもひどいものばかり。
学者を侮辱し、名誉を毀損し、そして朝鮮や中国の方々をも侮辱し、差別する。

宮嶋氏が批判されるべきなのはもちろんだ。しかし、新聞社にも責任がある。

新聞社は、当然校閲(みてから)してから記事にする。すなわち、産経新聞はこれをOKしたのである。こんな記事(コラム)をそのまま掲載した産経新聞にも大きな責任がある。

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