1月20日
目が覚めてからもう既に布団の中で2時間が経過しようとしている。
その2時間の間、何も考えずにTikTok見ていた。
あと大便に3回行った。
まるで生産性のない時間だ。
こんなことをするぐらいなら鼻くそをほじってベットの下に擦りつけていた方が有意義だ。
今度からそうしよう。
何もしていなくても、腹は一丁前に減りやがる。
僕は冷蔵庫の中身を見るため、ベットから降り、玄関に行き、ドアを開け、エレベーターに乗り、地下8階で降り、東に8歩、南に9歩、東に5歩、北に12歩行ったところの前にある壁を5回ノックし、合言葉を言い、キッチンに入った。
冷蔵庫の中には、豚肉、にんじん、じゃがいも、玉ねぎ、カレーのルーがあった。
この食材達を見た瞬間、自分の中の反骨心が沸々と湧き上がってくる。
「カレーなんか、作ってたまるもんか!」
僕はそう言うと全ての食材をフードプロセッサーへとぶち込んだ。
ぐちゃぐちゃになったそれを丸め、皿に盛りつける。
僕特製のおはぎの完成だ。
側から見たらただのうんこにしか見えないだろう。
だがこれはれっきとしたおはぎだ。
「いただきます!」
力強く食材へ感謝を示す。
左手にフォーク、右手にナイフを持ち、おはぎと対峙する。
そこで僕は気づいた。
フォークとナイフが小刻みに振動していることに…
「おいおい、これはおはぎだぞ。決してうんこなんかじゃない。」
僕はそう自分に言い聞かせながらも、今朝の自分のうんことおはぎを照らし合わせてしまっている。
ガシャン、カランッ
フォークとナイフが手から溢れたのと同時に目からも水滴が溢れる…
「ごめんな、立派なおはぎにしてやれなくて…」
ぼやける視界の中、ゴム手袋を取り出し、絶対におはぎが手につかないようにして、それをトイレに葬った…
「お前ってやつは本当に料理下手だな!」
おはぎの声が聞こえた。
「ずんぶんと辛口だな…俺は甘口派だっつーの」
僕は悲しみを悟られないようにそう返事をした…
その後、就活のための面談に行った。
就活サポートセンターの三宅さんの散りかけた前髪があいつの後ろ姿に酷似していた。
僕はそっとトイレに行き、涙を堪えながら大便をした、、、
これが僕の1月20日である。