1月7日
西の海からきた風がこの町によくないものを運んできている。
その風はとても冷たく、体だけではなく心までも冷えていく。
僕は風が吹いてくる方向を見て、そっと囁いた。
「 コイキング
いくぞ、ひっさつ
ホッピング 」
僕のオリジナルポケモン川柳は風にかき消され誰の耳にも届くことはなかった……
今、海岸沿いを歩いて近くのイオンに向かっている。
イオンといっても映画館もないし、特に遊ぶところもない、でかいファミマぐらいのものを想像してもらえると分かりやすいだろう。
そんなイオンに行く目的は一つ。
「みんなでダービー」だ。
みなさんは「みんなでダービー」を知っているだろうか?
競馬のメダルゲームのことだ。
イオンに着き、2階の端にあるゲームセンターへ足を運ぶ。
土曜日のモリファン(モーリーファンタジーの略)は遠くからでも多くの子供で賑わっていること分かる。
とてもじゃないが成人男性が1人で来るところではない。
恥ずかしいという感情が込み上げる。
魔宮(モリファン)(モーリーファンタジー)に近づくにつれ鼓動がはやくなっていく。
心臓の音が止まらない…
「止まれ!、落ち着けっ!」
そう言い聞かせれば言い聞かせる程、心臓の音は大きく、そして速くなっていく…
そして僕は天井を見上げた
「僕は弱虫だ…」
「もともと僕に成人男性メダルゲームソロプレイする度胸なんかなかったんだ!!」
そう思って踵を返そうとしたその時だった…
「なーにしてんだよっ!そんな暗い顔して」
「お前はいっつも1人で背負い込んで、俺たち仲間だろ!!」
「そうだぞ、困った時はお互い様だろ?」
「あさひ、しらき!」
そこにいたのは高校の友達のあさひとしらきだった。
「なんでここにいるって分かったんだ?」
「分かるよ、友達だろ!」
「あさひ…」
「さあいくぞ!」
「白木…」
僕は本当にいい友達を持ったと思う。
この仲間たちを僕は誇りに思う。
「俺たち、一生友達だよなっ!!」
僕はそう言って少し頬を赤らめた、、、
そこから少しメダルゲームをしたが、恥ずかったのですぐ帰った。
その後、白木が東京に帰るために飛行機が着陸したり、離陸したりしている飛行機の港みたいなところに送り届けた。
しらきがしきりに
「くぅこおっ くぅこおっ」
と言っていたが意味が分からなかったので無視した。
きっと「食ううんこ」の話をしていたのだろう。
食ううんこの話をしきりにする人とはあまり関わりたくないので白木とは縁を切ろうと思う。
帰りにあさひとやよい軒に行った。
あさひは散々おかわりした後、隣の席の女の子4人組に向かって
「ご飯、8杯しか食えんかったわー」
と胃袋でかいアピールをしていたのでこいつとも縁を切ろうと思う。
これが僕の1月7日である。