ママのこと⑬救急
退院してから2回目の通院日。
ママは着替えるのもやっとで、行きたくないといっていた。
この頃から夜はばあばがママといてくれることになった。
なんとか着替えさせて私の運転で病院へ向かった。
入口でママを降ろして、駐車場へ車を置いてから私も病院へ。
ホールでママは待っていたけど、歩くのが辛いようで、「車椅子借りようかな」と。
車椅子を借りて内科へ。
予約でも総合病院はかなり待つ。
やっと呼ばれて今度は私も診察室へ。
優しそうな先生だった。
「ごはんはどのくらい食べれてる?何が辛い?」
ママは、
「ごはんは拳くらいかな。足が浮腫んで辛い。お腹もパンパンで。眠るのがなによりも楽しみ。」
と答えた。
「気持ち1つだよ。入院したければいつでも来てくれていいし。お家にいたければいればいい。」
その日は腹水を抜いていくことになった。
本当にママのお腹はパンパンだ。
その前に訪問看護や介護保険の話を聞いた。
「介護保険はまだ大丈夫かな〜。」
とママ。
訪問看護は早めに始めてもらうことになった。
腹水を抜く処置をしてくれたのは、入院中の主治医だった若い先生だった。
ベッドに仰向けにならないといけないので、とても辛そうだった。
1時間ほどかかるそうなのでその間私はスーパーに買い物に行った。
帰ってきてもまだ終わってなかったので横で待っていた。
ママは寝ているみたいだったけど、眉間にシワがよっていた。
やっと終わって帰れるねとなり、会計に向かっていた時、急にママが痛がりだした。
「痛い、痛い」
あわてて、近くにいた事務員の人に助けを求めた。看護師さんが来る間
「痛い。助けて。」
とうなるママ。
私は
「大丈夫だよ!今看護師さんがくるから!」
と手をさするしかなかった。
髪が抜けてしまったので帽子を被っていたけど、とってしまった。
他の患者さん達が何事かとこっちを見てた。
「早く。助けて。ママを助けて!」
と私は願うしかできなかった。
しばらくして看護師さんが来て救急へ連れて行ってくれた。
途中で若い先生も合流。
「急に痛がりだしたんです。」
先生は
「腹水を抜いたことで内蔵が動いたことによる痛みかと思う。」
と。
救急のベッドの上で丸くなっているママ。とても痛そう。
私は待合で待っていてくださいと外に出されてしまった。
パパに連絡しなきゃ。妹にも娘を迎えに行ってもらわなきゃ。
冷静に考えられた。でもドキドキしていた。ママは大丈夫だろうか。帰れるのだろうか。
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