ママのこと⑯一人っきりの告知
診察日を控えて、どうも様子が気になって、訪問看護に連絡をした。
薬を増やしたせいか、寝ていることが多くて明らかに数日前から意識が低下している。
最初は診察で医師に相談して。といわれたが、診察も行けるかわからない。と返すと、介護タクシーもありますよ。と言われた。
そうか。そんなのもあるのか…。
一旦電話を切ったけど、再度電話がかかってきて、様子を見に来ますねとのことだった。
そして診てもらうと、呼吸の様子などをみて、看護師さんたちの様子が一変。
かなり良くない状態みたい。
どこか近くで訪問に来てくれる病院はないかと、電話をかけまくってくらたけど、どこも急に末期癌の人の診療は無理。とのこと。
もともとの病院へ相談してくれてなんとか訪問の先生に来てもらえることになった。
よかった〜。と思っていたら、娘さんだけでも今日の午後診察で話をしてきてくださいと言われた。
訪問の先生はあったことがないし、その説明かな。と思った。
そして病院の診察室へ入ると、担当の医師、訪問看護師、ケアマネジャーが勢揃いしていた。
これはあれでしょ…。
覚悟はしていたけれど。まさか1人で聞くことになるとは。
「わかってるとは思いますが、お母様にはもう残されてる時間が少ないです。あとはどれだけお母様が気持ちよく過ごせるかです。このままお家でいさせてあげればいいですね?」
「それが、母の希望だったので…」
いったん待合室に出て、訪問の先生に呼ばれるのを待った。わたしは涙が止まらなかった。わかってはいたけれど、もうなの?なんで?
看護師さんが心配して隣に座って大丈夫かと聞いてくれた。大丈夫じゃないけど、
「苦しむ時間が少なくてよかったです」
と答えた。そんなわけない。もっともっと生きててほしい!と心では思っていた。なにを良い子ぶっていたんだよと思う。
その後ケアマネジャーさんがきてくれて、「すぐに介護用ベッドを手配します。そのほうがお母さんも寝やすいと思いますよ。」
あと介護保険の申請を今日か明日にはするように。と薬がもう口からだと飲み込めないと思うので貼るタイプのと、座薬に変えるということで、薬局に行くように。と言われた。
夕方にはベッドを届けてくれるということだったので、急いでパパに連絡。介護用ベッドのことと、家で看取ること。それでいいんだよね!?と。
訪問の先生はベテランそうなおじいちゃん先生で、がんの進行具合を紙に書いてくれて、これから起こるであろうこと(幻覚や下顎呼吸、不穏など)を教えてくれた。
薬を手に入れて帰ると、介護用ベッドの゙設置が正にされているところだった。
車椅子も貸してもらった。使うことなかったけど…。
妹と子供たちもいて、なんだなんだとワクワクしているようだった。
パパまでおお、いいなあ〜とリクライニングを試してみたり。なにがいいなぁだよと心のなかで毒づいた。
ママは何が起こったのかよくわかってない様だった。
でもとにかくこれでベッドの上で座れるようになったと思う。
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