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人生の約束

元旦に実家へ帰省時、祖父の思い出話になった。

戦後満州から引き揚げた祖父は、瀬戸内の町でアイスクリーム業を営んだ。
一代限りだったけれど。
私が生まれた時には、祖父はまだ50代だったけど、すでに引退していたから、詳しい事は知らない。

けれど、私からみれば経営者としては比較的成功した人だと思う。

母が祖父から聞いたという話を二つしてくれた。

一つは、
「人には持てる財産の器がある」
という事。
欲を出して自分の器以上に手を広げると、広げた途端に一度に失う事があるそうなのだ。

もう一つは、
「人を喜ばせようとする事が自然にお金を生む事。
儲けようと欲が出ると儲からない」
ということ。

その二つの話を今月、何度となく考えていた。

今日は久しぶりに映画を見た。
(ここからネタバレ)



昔の友を訪ねてみると、ガンで亡くなっていた。
かつて、一緒に会社を立ち上げた友人。
会社を金銭的に大きくしたい主人公と、人をつなぐ心を大事にしようとした友人。
経営方針の違いから喧嘩になり、友人のクビを斬っていた。

友人が最後を迎えた富山の土地で、祭をつなぐ曳山(ひきやま)を取り戻そうとしていた事を知り、代わりにそれを取り戻そうとする。

曳山は、単に祭の道具では無い。
曳山につながる事で、先祖とつながり、友人とつながり、大地や海とつながる。

自身の会社の利益の為にと、友人まで斬り捨てていた主人公。
富山の土地で、曳山につながろうとする事で、人や心の大切さを知る。

大きくした会社は、ワンマン社長にクビを切られない様、ノーを言えずごまかし続けた社員の不正により、家宅捜査が入り、呆気なく社長の座を失う事になった。

映画を見ながら、何度も祖父の言った言葉を考えていた。

人を喜ばせようとする気持ちは、この曳山に繋がろうとする気持ちに似ているかもしれない。

人の金銭的な器というのは、自分が持てる以上の欲の事をいうのかもしれない。

「無くしてから気づくことばっかりやな、人生は」
(映画中のセリフ)

本当にそうだ。
無くしてから、大事な人、大事な事に気づく事は多い。
それがある時は、あるのが当たり前だから。

性格の違いから自分には合わないと思い斬り捨てた友人が、実は自分に足りないものを持っていた事に気付いていく。

一見合わない人、ケンカ出来る人というのが、実は良き片割れという事はあると感じる。

主人公は、一人だけいつも自分に反発していた若い社員のクビを切ろうとしたが、富山で過ごすうちに、その若い社員こそが失くした友人の意志をついだ信頼出来る部下と気づき、会社の未来を託す。

私自身はここのところ、仕事や色々な場面で心を閉ざしたくなる事が何度となくあるのだけれど、こういう映画を見ると、閉ざしちゃいけない、傷ついても人を愛したいと思う。

曳山を引く祭のシーンは圧巻!の良い映画。

(2016.1.23FBより転載)

https://youtu.be/FUqPt0GoU3g


***
2021.1.23
5年前の自分の文を読んで〜


5年前は私は何の仕事をしてたかな。
この時はまだ、大学の学食で働いていたかな。
それから大学生になった息子の仕送り費を稼ごうとしたのが毎年転職する事になったから、
ずいぶん昔の気がしたりする。

(この後から今の仕事で6社目!😮
職種は事務やら飲食業やら色々だけど、いじめられたり席が無くなったり、条件が変わったり、寝る時間も無いくらい忙し過ぎたりと、色々あった)

去年からの職場は、冷暖房が無い場所での体を張った作業で体力的にキツい、という以外は…
慣れてくると、今のところけっこう好きかもしれない。

私のやる事一つ一つが、職場の皆も有り難がってくれるし、子供達の笑顔につながるところが好き^ ^

そして、昔は一つのことを極める人に憧れていたけれど…
コロナ禍になり、今はあんまりそういう風に思わなくなった。

私より若い世代の先生(チェロの)が、
「自分の才能は何でも仕事に」
と、たびたび助言してくれるんで、そうなのかもしれないと思い始めたけど…

そういう事こそ、人が喜んでくれるのを願い、心を込めたいと思う。

それと…
心が近くて、ケンカだったり言い合い出来る人って…
今ごろそんなにいないけど〜

振り返ってみれば、それだけ信頼してるから言い合えるんだなぁと…

そういう関係が築けた人に、ありがたい気持ちになった^ ^

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