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【試し読み①】2019年ワールドカップから考察する各国の防御システム『これまでになかったラグビー防御戦術の教科書』

〝ラグビーの戦術的な面白さを伝えたい、そしてそれを知る一つのきっかけとなってほしい〞

との思いから2020年3月に『これまでになかったラグビー戦術の教科書』を出版した井上正幸氏。
 前作がご好評頂きまして、今回待望の第2弾が発売です!
 第2弾はラグビーの〝防御〞戦術にフォーカスした一冊『これまでになかったラグビー防御戦術の教科書』となります。

 本日は、本書の第5章「防御戦術の具体的な分析方法」から一部を抜粋して公開です。ぜひお手にお取りください。
 2021年2月10日より順次書店へ並び始めます。発売日をお楽しみに~

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書影はAmazonにリンクします
これまでになかったラグビー防御戦術の教科書
著 井上正幸
ページ数 288
判型 四六判
本体価格 1700円
出版社 カンゼン
発売日 2021年2月10日
ISBN:9784862555830

2019年ワールドカップから考察する各国の防御システム

 この章ではまず、ディフェンス戦術の分析に入る前にアタックの特徴について簡単に解説しておきたいと思います。
 アタックでの見るポイントは、
 ①フォーメーション
 ②攻撃の起点
 ③移動
 の3つになります。
 1つ目のフォーメーションは、アタックの配置です。
 例えば、エッジ(外側)からフォワードの選手が1人、3人、3人、1人と配置されていたら「1331」(図187)というフォーメーションになります。

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 このフォーメーションの特徴は、真ん中の2つのポッドで9シェイプを作れるのでスタンドオフまでボールを下げずにアタックすることができます。それゆえ「9シェイプ」が攻撃の起点になることが多く、ディフェンス側はここにプレッシャーをかけないとゲインされやすくなりますので、人を集中させることになります。そこを利用してアタック側は、スペースのある外側にボールを運びディフェンスを崩していくのです。
 逆に言うと、ディフェンス側は真ん中の2つのポッドにうまくプレッシャーをかけることができれば攻防を優位に進めることができます。
 現代ラグビーでは4 つのポッドが主流になっており、「1331」以外にも「1322」(図188)「1232」(図189)、「2312」(図190)など多様なフォーメーションがあります。

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 2つ目の「攻撃の起点」に関しては、例えば、ニュージーランドは、「1232」というフォーメーションで、10シェイプを起点としており、ディフェンスをスプリット(半分に分けて)にして突破力のあるエッジのフォワードでゲインすることを意図していました(図191)。

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 この場合は「10シェイプ」が起点となるので、ディフェンスはここにプレッシャーをかけて攻防を優位にしていきます。
 3つ目の「移動」に関してです。2010年からトップリーグの一時代を築いたサントリーサンゴリアスの「シェイプ」はフォワードの1番から5番の「タイトファイブ」が順目に移動し続けることでディフェンスを誘導したり、数的優位を作ることを意図していました。
 ディフェンスはこのシステムの起点である「9シェイプ」にプレッシャーをかけることで、アタック側の順目の移動を「遠回り」させ、アタックのポジショニングを遅らせることができます。
 また、移動の規則性さえわかれば「先回り」しておくことも可能です。
 特定選手の移動攻撃であれば、意思決定者であるスタンドオフが仕掛けることもありますが、フルバックに攻撃選択の自由を与え、スタンドオフの意思とは無関係に動いてディフェンスを混乱させることもあります。そういう役割の選手を「スインガー」と呼びます。
 さて、ここからは2019年のワールドカップで見られた戦略的なアタックやフォーメーションに対して、主にジャパンがどのようにディフェンスしたかについて紹介していきたいと思います。

著者プロフィール

井上正幸
オーストラリアラグビーコーチング資格レベル2保持。
大東市立住道中学校でラグビーを始め、大阪府立大東高校を経て大阪体育大学に入学しラグビー部に在籍。大学卒業後、整形外科のインプラントを販売する会社「オルソテック(株)」に勤務する傍ら、1998年、関西ラグビー協会に所属する「くすのきクラブ」を創設し、2020年近畿クラブリーグのカテゴリーAに昇格する。また、2008年から兵庫医科大学でコーチを始め、09年西日本医科学生総合大会4位、11年関西医歯薬学生ラグビーフットボールリーグ2位、12年同大会3位、13年同大会2位の成績を収める。14年に京都成章高校スポットコーチとして、全国高校ラグビー大会4位、15年同大会8位、16年大阪体育大学スポットコーチとして、関西大学ラグビーBリーグ優勝、17年ヘッドコーチとして同リーグで優勝。入れ替え戦にも勝利してAリーグへ昇格させた(2019年に退任)。著書に『これまでになかったラグビー戦術の教科書』(小社刊)『ラグビー3カ月でうまくなる基本スキル』(学研)がある。

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【15人制】ステップを有効に使い相手を抜く方法(動画)

本書内で特別対談が収録されている7人制ラグビーの林大成選手のYouTubeにて、著者の井上正幸氏のコーチングを受けております。

FWでもステップを有効に使いゲインする方法

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