サッカーが与える絶望と希望。ティトー、ユーゴ内戦、そしてオシム 7/9
#7:オシムが命がけで試みたこと■目の当たりにした交渉劇
ボスニアのサッカー連盟は、今でこそ立派なビルを構えるようになったが、当時は市内にある雑居ビルのような建物に間借りするかのように、小さなオフィスが設けられている程度だった。事実、オフィスには机を置いただけの簡単な受付と、小さな会議室がいくつかあるのみ。日本に例えるなら、個人商店の事務所程度といえばイメージしてもらいやすいだろうか。
建物の外でしばらく待っていると、アタッシュケースを持ったUEFAとFIFAの使節団が