今日のアウトテイク#105(土曜無料版)「ついにヴェネツィアが動き始めた ほか」【メンバーシップ特典】(2024-03-02)

<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ
・投稿せずに、いや、やっぱりやめておこう、と思った殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・要するに「伊藤の現在地点」

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イタリアは行っておきたい国のひとつ。


#今日のBGM

#今日のコトバ

"一人の人間の一日には、必ず一人、「その日の天使」がついている。"
(中島らも)

#年間59,000ドルの授業料を無料に

アルバート・アインシュタイン医科大学の元教授が10億ドルを寄付したおかげで学生の授業料がタダになった、というすごくイイ話。

まとめると、

・投資顧問会社ファースト・マンハッタンの創業者デビッド・S・ゴッテスマンは2022年に他界し、72年間連れ添った妻ルース・ゴッテスマン博士に10億ドルのバークシャー・ハサウェイ株を遺した。

・彼女はそのお金で、ニューヨーク州ブロンクスにあるアルバート・アインシュタイン医科大学の学費を永久に無料にすることを決めた。彼女は同大の元教授。

・通常、医学部の授業料は年間59,000ドル以上。
・今年8月より、アインシュタインの全生徒は授業料が完全に無料となる。現4年生は全員、2024年春の授業料が払い戻される。

永久に無料ってのがスゴイ。要するに、今後、同大学はこの10億ドルを投資に回すことで学生から授業料を徴収しなくてもよくなった、ということらしい。う、羨ましい。

(アメリカの)平均的な医学部卒業生は、学部時代に負った負債を含めず、学生ローンの負債総額で25万995ドルを負っている。ニューヨーク州ブロンクスにあるアルバート・アインシュタイン医科大学の学生もこの傾向の例外ではなく、半数近くが卒業後に20万ドル以上の学費を支払うことになるという。

これは、ご存知の通り日本でもそうで、医学部に限らずかなりの額の学生ローンを背負わされている若者は少なくない。しかも、それを「奨学金」と称して実際には貸し付けている。誤解を呼ぶ言い方だ。

これからの日本を背負っていく若者をサポートするのは国の責務だ。学業に励みたいという人を金で縛り付けてどうする?もう奨学金は、親の年収上限だとか条件つけないで、全員、返済不要の給付型にすべきではないかと個人的には思ってる。

以下の動画を再生して、「今年の8月から授業料は無料になる」と博士が言った瞬間の学生たちの喜びようを見ろ。

彼らがこれからの社会を担っていくんだゾ。裏金溜め込んだり、意味のない政倫審で言い逃れしてる暇があったら、次世代を育てる制度のことを真剣に討議してさっさと決めろってんだ。たく。

とプンプンしてて、ふと思ったのは休眠預金だ。

10年間、引き出しや預け入れなどの取引がない預金口座は、休眠預金等活用法により「休眠預金」として民間公益活動のために活用することになっている。

この預金が今やなんと毎年1,200億円(!)にも上る。

これを給付型奨学金に充てるのはどうか。民間の公益に十分該当するのではないか。アルバート・アインシュタイン医科大学一校での10億ドルには及ばないが、毎年1,200億円だから、うまく分散させて、うまく運用すればカバーできると思うのだが。

#ついにヴェネツィアが動き始めた

2024年4月から、特定の日にヴェネツィアの古都を訪れる観光客はアクセスフィーという料金を支払う必要がある。つまり、入場料を払わなければそのエリアに入れない。

カレンダーには、2024年中にアクセス料金が適用される日(午前8時30分から午後4時まで)が記載されている。金額は1日5ユーロ。

料金の支払いはここからできる。

この料金システムは、ヴェネツィアの文化遺産を保護することと、観光客に持続可能で楽しい体験を保証することのバランスを取るように設計されている。

ユニークな建築物、史跡、入り組んだ運河システムを持つェネツィアは、オーバーツーリズムがもたらす難題と長い間格闘してきた。

アクセスフィーを導入することで、当局は、特に特定の日の午前8時30分から午後4時までのピーク時間帯の日帰り観光客の流入を規制することを目的としている。

この措置は、過密状態、インフラの消耗、住民の日常生活への影響といった懸念に対処するものである。

この料金は日帰りの観光客にも適用され、予約と支払いを促すことで、ヴェネツィアの文化財の維持と保存に貢献している。

なお、居住者、通勤者、学生、特定の年齢層に対する免除措置も用意されており、市と真に関係のある人々に不当な負担がかからないよう配慮されている。

こういうことを、同じくオーバーツーリズムに悩まされた京都もやるべきだろうが、パンデミックが収まったと見るや、また元の木阿弥状態なのはどういうことなのか。何にも考えていない、のかな?

ちなみに、ヴェネツィアでは、2022年に日帰り観光客に最大10ユーロの入場料を課す実証実験を6ヶ月間したことを以前に紹介した。今回のアクセスフィーはその結果を踏まえての施行と考えられる。

ついでに付け加えておくと、同時にデジタルノマド向けにVenywhereというサービスを開始している。その目的は、

市民がリモートワークやアジャイルワークにアクセスしやすくし、市民と長期滞在者の出会いと協力を促進し、ヴェネツィアの社会的・労働的インクルージョンの触媒として機能すること

とある。実に素晴らしい。デジタルノマドを迎え入れる意味がここにある。

日本もデジタルノマドビザを発給するのなら、こういう視点に立って制度設計すべき。観光客を招くのとは、ローカルにもたらす価値がまるで違う。

どうやらサイトがリニューアルされたみたい。

カ・フォスカリ大学の経営学教授であるマッシモ・ヴァルグリエン氏は、「パンデミックによって、移住を希望する高い技術を持った人々が大量に生まれている」と語っている。

ヴェネツィアは明らかに、そうした「高い技術を持った人々」とヴェネツィアの人々が交差することにより「知の再結合」が起こることを企図している。

そしてその「高い技術を持った人々」とは、ミレニアル世代のSTEAM(*)分野に能力の高いデジタルノマドのことを指す。

(*)STEAM=Science(科学)、Technology(テクノロジー)、Engineering(エンジニアリング)、Art(芸術)、Mathematics(数学)

これは、バリでも同じ方針を明らかにしていた。はっきり言って、誰でもいいのではない、この層の人に来てもらいたい、という意思表示だ。こういう毅然とした態度が肝要。

今回のヴェネツィアの日帰り観光客に課せられるアクセスフィーの裏側には、こうした都市計画がある。日本もこれを見習ってもらって、ビザの発給をしてもらいたい。それが国を再活性化する手立てにもなるのだから。

ということで、今日はこのへんで。

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