さみしい人間それでも辞められない哀れなものの短歌 二十首
蛍ほど求められず蝉ほど
誰かに耳に届くこともない
ほろほろと朝露にはなれない涙
蓮の葉は受け止めてくれない
蝉時雨 道路にぽつん 立っていて
四面楚歌だと身に染みた朝
この程度 分かっていても 認められ
褒めそやしてさ、欲しいんだよ
羨まし いつだって知られたくないし
知られなくていいと思ってた
身体中 掻きむしっても 血が出ても
気休めにすらならない誰か
向日葵の真似して日を浴びてみた
眩んでしまって お前はいらぬ
楓のような美しい血の涙
床に散らしてみたかったなあ
比べるな 自分を認めて よそはよそ
言われたのになんでこんなに
悔しくも素敵なことも身に染みて
怨みも持てずただ泣きわめく
星すらも月光すらも恨めしい
もう元には戻れないのかな
桜 夜桜寒桜 山桜
私の言葉尽くしても足りぬ
悔しくて羨ましくて手につかず
心を殺せと喉が枯れる
頼むから 私の墓に 花手向け
去るのを躊躇ってくれ誰か
「実力を発揮できない」ただの嘘
実る力も種もない
ひとりだけ 流す涙は 煌めかず
星屑に羨んでは落ちる
淋しくて憂う月がとても怖い
見惚れていたはずなのに怖い
つげの櫛 許して折れないでお願い
私の香りに染まらないで
あでやかで照って連なる言の葉に
意味をなさない涙が落ちる
編み込まれ継がれる歌に恋をして
髪を振り乱しては梳くだけ
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