臨床診断学 運動障害
運動麻痺
随意運動を遂行するのに十分な力が出せない状態
麻痺の部位により
片麻痺
交叉性片麻痺
単麻痺
対麻痺
に分かれる
運動失調
運動麻痺や不随意運動がないにも関わらず生じる協調運動障害
小脳失調、脊髄性失調、前庭性失調が主
筋力評価
0~5で評価
5:正常
3:抵抗には打ち勝てないが、重力に抗して全可動域の運動が可能
0:筋収縮不可
不随意運動の種類
振戦:協働筋と拮抗筋の交互収縮による反復運動
ミオクローヌス:筋の不規則な速い反復運動
舞踏運動:すばやく無目的、不規則な関節運動
バリズム:肩や太腿を投げ出すような大きな運動
ジスキネジア:口、舌、上肢、首などのゆれるような運動
ジストニア:持続的筋緊張により体や首をねじるような運動
歩行障害の種類
痙性片麻痺歩行:股関節を中心に半円を描くような歩行→脳卒中など
痙性対麻痺歩行:内反尖足位で歩幅を狭く歩く→脊髄障害など
パーキンソン歩行:膝を曲げ、前かがみとなり小刻みに歩行
小脳性失調歩行:両足を開き酩酊状態のように全身をゆらして歩く
踵打歩行:両足を開き。足を異常に高く持ち上げて踵をたたきつけるような歩行→脊髄癆
鶏歩:足を異常に高く持ち上げつま先から投げ出す歩行→Charcot-Marie-Tooth病など
動揺性歩行:腰と上半身を左右に振って歩く歩行→デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど
障害判定に用いる徴候
バレー徴候
表在反射消失:腹壁反射、挙睾筋反射
病的反射:バビンスキー反射
チャドック反射
ホフマン反射
ワルテンブルグ徴候
病変部位ごとの特徴
脳幹・大脳病変
延髄錐体交叉より上か下かにより病変部位に対する麻痺部位が変わる
脊髄病変
脊髄前方の障害:虚血による運動機能障害、温痛覚障害
脊髄後方の障害:動脈硬化などによる位置覚障害
ブラウンセカール症候群:脊髄障害側と同側の運動麻痺、深部感覚障害+対側の温痛覚障害
頚髄病変:中心管周辺の障害で温痛覚障害
神経根の病変
神経根ごとに対応した筋肉に萎縮生じる
自発痛、放散痛なども伴う
末梢神経障害
両側性に広範囲に症状出現するパターン
単一神経傷害パターン
多発神経傷害パターン にわかれる
例)鷲手:尺骨神経麻痺
下垂手:橈骨神経麻痺
フローマン徴候:母指内転筋障害
馬尾障害
L2以下での症状
髄節に一致した疼痛や感覚障害、筋力低下
労作で悪化しやすい
神経筋接合部
易疲労性
日内変動
筋疾患
近位筋優位に筋力低下・萎縮
筋ジストロフィーでは登攀性起立みられる
小脳障害
基本的に障害側に運動失調
パーキンソン病
黒質のドパミン神経細胞変性による進行性変性疾患
症状:無動、規則的振戦、筋固縮(歯車様固縮、鉛管様固縮)
小刻み歩行、加速歩行、突進現象、すくみ足
便秘、起立性低血圧、発汗障害、嚥下障害、睡眠障害
重症度分類・・・ホ-ン・ヤール分類
1~5で分類
1:一側性障害のみ
2:両側性障害
3:歩行不安定、姿勢反射障害
4:機能障害あるが介助なしで歩行可能
5:寝たきり、車いす生活