法医学 頭部外傷
頭部外傷の診断は
被害者の傷害の責任の所在を解明するための資料提供が主な役割となる
直接診療した臨床医に法医学的判断を求められる
損傷の種類
閉鎖性損傷:頭皮下出血
帽状腱膜下出血
骨膜下出血
開放性出血:挫創
切創
刺創
割創 など
頭部外傷分類
限局性頭部外傷:頭皮挫創
頭皮裂創
陥凹骨折
全般性頭部外傷:頭蓋底線状骨折
頭蓋円蓋部線状骨折
脳震盪・・・後遺症のない一過性意識障害
脳挫傷・・・皮質を中心とした脳実質の損傷
脳裂傷
合併症:硬膜下出血・・・架橋静脈などの血管破綻
硬膜外出血・・・硬膜動脈の血管破綻
など
頭蓋骨骨折
線状骨折
陥凹骨折
穿孔骨折
進行性骨折:乳幼児の場合、骨折部周囲が軟化吸収されて骨折が拡大することがある
頭蓋底骨折:篩骨板、トルコ鞍、岩様骨に好発
前頭蓋窩底骨折・・・眼鏡様出血、ブラックアイ
中頭蓋窩底骨折・・・耳孔出血
縦骨折・・・前後方向の挟圧
横骨折・・・横方向の挟圧
輪状骨折・・・突き上げ、引き抜き外力
血腫
硬膜外血腫
硬膜動脈が破綻し、頭蓋内面と硬膜の間に出血 レンズ状の血腫形成
側頭骨、頭頂骨骨折→中硬膜動脈破綻
前頭骨骨折→前硬膜動脈破綻
他に上矢状洞、横静脈洞の破綻など
硬膜下血腫
架橋静脈や脳表面の血管が破綻し、硬膜と脳表面の間に出血
他に静脈洞破綻、脳挫傷など
慢性硬膜下血腫・・・50歳以上では老人性脳萎縮で血管が破綻しやすくなる
外傷性クモ膜下出血・・・脳挫傷による脳表面血管・脳底動脈破綻
脳挫傷
打撃による打撲、挫傷、陥没→同側挫傷
転倒による打撲→対側挫傷
後頭部→対側挫傷が大半
前頭部→同側挫傷が大半
側頭部→半々
脳内出血
脳挫傷、血腫に合併することが多い
前頭葉に好発
一次性脳内出血:皮質挫傷部からの出血
二次性脳内出血:脳溝部を囲むように出血
外傷性晩発卒中:重傷受傷後、良好な経過でも数日~数か月後に突然脳出血をきたすことがある
びまん性軸索損傷
頭部への回転外力による脳白質のびまん性病変
受傷直後から意識障害が持続 きわめて予後不良
頭蓋内には局所病変・損傷生じない
脳ヘルニア
テント切痕ヘルニア:錐体路を圧迫し対側片麻痺→重症化すると両麻痺
帯状回ヘルニア
小脳扁桃ヘルニアなど
確認する情報
損傷の性状、成傷器、外力の種類
成傷機転
①頭部静止時に外力を受けた→殴られた
②頭部移動時に外力を受けた→転んだ
損傷のできた順番
受傷時の身体状況
①飲酒の有無
②薬物服用の有無
③疾病の有無
受傷後の行動能力
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