❤️愛の確認❤️
「すごい鼻声やな」
「あー、わかる?」
「めっちゃ鼻声」
「もう1週間くらいずっと鼻つまってんねん」
「ちょっと手ぇグーにして」
「グー?」
「右、グーにして」
「え、なんで?」
「ええから」
「え、こう?」
言われた通り右手をグーにして見せると、その手首をガッと掴んで、気付いたらそのグーを右脇に挟まれていた。あまりの急なことに言葉が出なかった。
「鼻、どう?」
「え?」
「鼻まだつまってる?」
「え、うん」
「スーっと通った感じせん?」
「…せんな」
「そっかー」
「なに?」
「いや、別に」
「なんやねん、説明せえや」
「いや、まぁええやん」
「は?」
土日を挟んで月曜日。
登校すると下駄箱になんか本が入っていた。
『恋する❤️おまじない大百科』
少女漫画の目がキラキラの女の子の顔面が表紙の、平成っぽい雰囲気。少なくとも今時の中学では流行らないような。『ココ』って黒ボールペンで書かれた部分が本の上からはみ出して見えている、ピンクの付箋。パラパラ開いて中腹あたりのそのページを見た。
❤️愛の確認❤️
鼻がつまっている男子の握り拳を自分の脇に挟もう。鼻が通ると両想い!
教室に入るといなくて、そのままホームルームで桂恵(かつらめぐみ)が転校したことを知らされた。
「それメグが金曜の帰りしにくれたんやけど、さいしょ意味わからんくて、これあげるわって言ってバーって帰ってって、でまぁ家かえって適当に読んでたらいやこれメグがあんたに昨日やってたやつやん!ってなって!なるほどなーって思ってん」
「なんやねん、なんで下駄箱に入れんねん」
「だって、ドキドキしたやろ?」
「ドキドキっていうか怖いやろ」
「怖いかぁ?純愛やん」
「うっさいわ」
「でどうなん実際?」
「なにが」
「おまじない、当たってんの?」
「え?…あー、えーっと、鼻が通らんかったから、両思いではない?ってことやな」
「いやだからぁ、実際んとこどうなんよ」
「実際ってなんやねん」
「実際の気持ちよあんたの」
「いや、やから、おまじない通りよ」
「なんや、しょーもな」
「しょーもなってなんやねん」
「てか自分、鼻声ちゃうやんもう」
「あぁ、(スー、スー、)…ほんまや」
「相手が自分のこと好きやってわかった瞬間にいままでどうとも思ってなかったのに気になって好きになるパターンのやつや!」
ペチーン!
なぜか頭を強くはたかれた。
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