重要なのは基本だが絶対ではない
みなさん、お疲れ様です!メカともデス!
今日は私の本職。設計技術に関してお話をして行きたいと思います。
機械設計に携わる方以外は無駄な知識となる為、スルーしてくださいね。
機械設計の基礎と言うより、機械製図の基礎。と言う方が良いかと思いますが、難しい計算や知識のお話ではありません。
あくまでも製図に関してのお話になります。
製図をする上で、最初の仕事は「バラシ」になると思います。
バラシとは、組立図から部品図に落とし込む作業の事ですね。
さて、この部品図ですが、色々な加工指示をされると思います。
その中で、本日は「ねじ加工」についてお話して行きたいと思います。
ねじ加工
製図の勉強をしてきた方はお解りだと思いますが、タップ加工です。
この ねじ加工。タップ加工の数と深さを記入していきますよね?
製図の描き方でどのような基礎を習ってきましたか?
恐らくこのような教え方だったと思います。
「基本タップ深さは2D」
ココで言う「D」とは、ねじ外形の事を表し、深さ「2D」とは ねじ外形x2の深さまで加工する。と言う意味ですね。
基本的には正しい事として認知されていますし、問題はありません。
では、実際に加工をした事はありますか?
無い。もしくは見たことが有る。と言う方が大半では無いでしょうか?
実際に加工したことが有っても、指定された深さで加工したことが有るでしょうか?
実際に深さ指定された ねじ加工をされた方は少ないのが現状です。
工具の種類
ねじ加工をする為の工具は「タップ」です。
タップは1番~3番と言う番手があり、数が大きくなると仕上げ度が高い工具と言う事になります。
また、代表的なタップの種類があり
・ハンドタップ
・スパイラルタップ
・ポイントタップ
・ロールタップ
この4種類に分かれています。
一般的にはハンドタップ、スパイラルタップ、ポイントタップを用途によって使い分ける事になります。
ハンドタップは、ネジ切り刃と刃の間の溝に切粉を保持しておくタイプのタップで、通し穴、止め穴どちらのパターンでも使えます。
スパイラルタップは、切粉が繋がっており、溝がスパイラル状に切られていて、切粉が上に抜けてくる構造となっており、止めタップ加工に適しています。
ポイントタップは、ハンドタップと似ていますが、切粉が下に抜けるようになっています。
この時、ハンドタップはどのような穴に対しても加工が可能であれば、ハンドタップだけで良いのでは?と言う疑問があるかと思いますが、切粉が粉状になって、刃と刃の間に停滞する為、切削時に噛み込む可能性もあり、自動で使う事は出来ません。
手の感覚で、大きなトルクが掛かりすぎている=切粉を噛み込んでいる。と言う判断で、一度タップを抜いて、切粉を清掃し、再度加工する。と言う手順になるのです。
すると、深さ指定の止め ねじ加工はスパイラルタップが最適。と言う結論になります。
加工のしやすさ
では、深さ指定してスパイラルタップを使えば良い。と言う考えでねじ深さを指定したとします。
この場合は、スパイラルタップを下穴の深さ以下で止めなければなりません。また、スパイラル状の溝がタップその物の強度に影響し、折れやすい工具である為、極力使いたくは無いのです。
そこで質問です。例えば19㎜の板にM6のタップを加工する指示をするとしましょう。
M6は外形6mmですから、基本に忠実で有れば2D=12㎜と言う事になります。下穴も+5㎜とした場合、17mmになりますから、止め ねじ加工になる訳ですが、これで良いですか?
19㎜の板に加工するM6タップは 通し加工では駄目でしょうか?
通し、もしくは下穴のみ通し可能であれば加工者はタップの種類を剛性のあるポイントタップにする事が出来ますし、深さを気にせず加工できます。
これが加工のしやすさであり、時間の短縮になるのです。
その為、基本に忠実とは言えないかもしれませんが、通し加工でも問題が無いのであれば、「通し」もしくは「下穴通し可」と記載する事が正解だと言えます。
しかし、これが50㎜の板だとすれば、通しは間違った指示になります。
タップの工具を見れば分かりますが、そもそも刃の部分+αの加工をする前提の工具になっています。
もっとも特殊なロングタップは違いますが、タップの刃は折れやすいので、切粉の噛み込みリスクが高い長いタップ加工は基本的にはやめましょう。
実際にあなたの加工指示がある部品図で加工するのは加工者な訳です。加工者がどのように加工するのかが分からなければ、基本に則る事が全てであり、それが絶対正義である。と思っているかもしれません。
しかし、それは思い込みに過ぎないのです。
たかがタップ加工ですが、そこにも加工者への配慮が無ければ たとえ基本に忠実であっても、「物事を知らない人」と言うレッテルを貼られる事でしょう。
誰の為に描くのか?
もう一度自分に問いてみましょう。
++++++++++++++++++++
如何でしたか?
製図初心者にありがちな製図です。
もっと詳しく設計者に必要な加工者の
情報や、図面の描き方をお求めの場合
コチラをどうぞ。
https://note.com/kantoku_s/n/n9bc12ca80d5d
↑設計の現実
++++++++++++++++++++
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?