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理念経営を進める中小企業での「理念」と「利益(実利)」の考え方
背景: 直接的な利益につながらない投資をどう社内に説明するか?
地域企業のアトツギが理念を定め、組織開発をしたり、理念に基づいた地域貢献的なアクションを行うと決まって社内から「金にならない余計なことばかり」とか言われます。ただ、その際には経営者として説明責任があり、「うるせぇ、黙って従え!」とも言えません。その中で、自分が今まで説明して納得度が高かった「理念経営と短期的なコスト増」を説明するための、言語化について共有します。
ワード①:「利益」は「理念」の実現のための燃料だから、自分にもとても大切なものだ。
理念経営というのは、うちの会社(小平株式会社/以下KOBIRA)ですと以下のような図で説明します。ミッションはこっちに行きたい、ビジョンは例えばKOBIRAだと2032年に到達点、バリューはその道行で大切にしたいことです。
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そして「利益」は、その過程の「燃料」と説明してます。当然、燃料がないと途中で止まるし、沢山あると試行錯誤もできる。利益と理念はvs関係ではなく、ともに大切な存在です。つまり、利益は燃料として不可欠、だから両立が前提だよ、と説明するのが一つ目のポイント。
ワード②「理念経営」は「中長期的に合理的」な投資。
組織開発に投資したり、新規事業に投資したり、イベントに協賛したりすると、当たり前ですがその瞬間、経費かかって利益減ります。それが現場感覚でよく分からない領域投資になると、「訳のわからないことに投資するなら給料上げろ」と社員のエンゲージメント(会社との相思相愛度)の低下を招くことは良くあること。それを聞いたら、いまの投資が中長期的な貢献になっているとシステム図で示すのが第2のコツ。
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わかりやすい例で言うと、今うちが湯之元という鹿児島のシャッター温泉街に本社を移してエリア開発を行うことへの説明の図はこちら。エリア投資から「エネルギー事業への貢献」と「採用広報・新規事業収入」という2点が生まれるんで、短期的には投資だけど、中期的には会社にとってのリターンあるよと伝えてます。そしてベテランの方には、「後輩の20代、30代が食っていける会社であるため」の投資だと言うのも納得してもらえました。彼らはチーム思いで後輩思いですので、そのためだという話をすればいいと思います。
利益と理念のせめぎ合いを、合理vs非合理と言ったりしますが、正確には短期的な経営と、長期的な経営のリソース配分のバランスの議論だと思ってます。今後、地域経済が縮小していく中で、地域企業がコミュニティの基本的なインフラや精神的な幸福度への貢献を求められるトレンドはくるので、そこへの合理的な長期投資だよね、と言う説明も行なったりします。
ワード③: それぞれの社員のパワーの源泉と会社のつながりを意識してもらう
うちの会社にはLPG、IT、貿易、経営企画(総務経理)とブルーカラーからホワイトカラーまで様々な職種があり、年代も20-60代まで様々です。最近感じるのは何で彼ら・彼女らの心に火が付く(仕事のパワーの源泉になる)かは実に様々。
「理念」で火がつく人もいれば、「利益」が出て給与に還元されることが喜びの人もいて、若手ですと何よりも自分の「成長」が大事だったり、また、高年齢になるとチームや後輩のために何かをやってあげられるか、自分はまだ何かに役に立てるのかの「貢献」がモチベーションの糧になっている人もいます。
そしてよくある「理念vs利益」といった議論や不満は、それぞれの「理念」「利益」「成長」「チーム貢献」などの要素がそれぞれ無関係、または利益相反関係にあるという認識のもとで発生します。経営者として、それぞれの「理念」「利益」「成長」「貢献」が相反ではなく、相互強化関係にあることを伝えていくのが大切です。簡単ではないのですが、理念経営に案する議論が出た時はそれをきっかけに、それぞれが相補関係にあるということを理解し、行動するする機会になるよう生かしていきましょう。
まとめ
現場から文句が出る、と言うのはとても良いことだと思ってます(さらに職場状態が悪くなると何も言わずに去っていくので)。何か出たら、その方との対話を直接的に持つと言うのはとても大切な仕事。自分も人なのでムカついたりしますが、グッと抑えて真意を聞き出す、説明すると言うようなプロセスは組織作りに大切です。その際に使う言葉として参考になれば幸いです。
補足: また、日頃の業務の中だけでは、こう言うことを吐き出す場はなかなかないもの。対話の場としてのチーム研修や全社集会なども設計していけると良いかと思います。