宋代の都会には演芸場が設けられ、そこで一般庶民向けの講談が行われていました。歴史語りから、恋愛・怪談・武侠・裁判・仏法まで、テーマは様々でした。
その中でよく知られたものに「錯斬崔寧」という冤罪物語があります。
この物語のダイジェストを講談口調で和訳してみます。
この物語は『京本通俗小説』巻十五に収録されています。
のち、明の馮夢龍が『醒世恒言』に収めて、「十五貫戯言成巧禍」(十五貫の冗談から思わぬ禍を招いたこと)と改題しています。さらに、清の朱素臣が改編して戯曲「十五貫」を著しています。
中国古典文学の中の冤罪物語としては、もう一つ、元代の関漢卿が著した戯曲『竇娥冤』が有名です。『竇娥冤』については、下の記事(無料部分)で紹介しています。