中国怪異小説⑦「趙泰の冥土巡り」~泰山府君と仏陀(『幽明録』より)
魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。
その中から、南朝宋・劉義慶撰『幽明録』に収められている「趙泰の冥土巡り」の話を読みます。
趙泰の冥土巡り
趙泰は、字を文和といい、清河郡貝邱県(山東省)の人であった。朝廷からお呼びが掛かっても出仕せず、学問に精進し、郷里では名士と称えられていた。
三十五歳の時、宋の太始五年七月十三日の深夜、突然、心臓に痛みが走って亡くなった。
胸にわずかなぬくもりがあり、体を屈伸させていたので、家の者は、すぐに埋葬せずに、