「かっぱえびせん×イカゲーム」コラボ炎上から学ぶ|言葉の力と企業の責任
「R15指定作品とのコラボなのに、子供向けのお菓子?」
その違和感は、単なる組み合わせの不自然さを超えて、
企業の社会的責任という深い問いを私たちに投げかけていると捉えています。
今回のXで見かけたあるポストを引用させていただきました。
「R15指定」作品とのコラボなのに、子供向けのお菓子?
— 感性文学|言語デザイナー (@kansei_bungaku) February 1, 2025
その違和感は当然かもしれません。
だからこそ、“大人向け”をはっきり打ち出す言葉が必要。
子供には薦めません、と明記する勇気も含めて、
コラボの意外性が“やめられない”魅力に変わるのだと思います。
本質課題と解決策をスレッドへ👇 https://t.co/UnOcwsIhbF
幅広い年代に愛されている「かっぱえびせん」と、Netflixの大ヒット作「イカゲーム2」のコラボです。
マーケターの立場で考えれば、世界的な話題作とのコラボに飛びつきたい気持ちは分かります。
しかし、率直に言って「さすがに決裁者の誰か止めなよ」というのが、私の正直な感想です。
以下、この騒動の本質と、
私たちが学ぶべき教訓について考えていきたいと思います。
なぜ炎上したのか
普通に考えたら「子供向け」「ファミリー向け」の商品と「R15指定の作品」がコラボしたら、批判を浴びるに決まっています。
実際の批判としても「こんなの子供に買ってあげれない」などがあります。
要はコラボしたこと自体に批判殺到しているのです。
ただ私はこれを「表面的な炎上要因」と考えています。
表面的な炎上要因
前述の通り、表面的には「子供向けお菓子×R15指定作品」という組み合わせが多くの人に指摘されています。
しかし、本当の問題はそこではないと私は考えているわけです。
真の炎上要因
真の要因は、「R15指定である事実を曖昧にしたまま宣伝した」ことです。
つまり、「コラボしたイカゲームはR15だからね!」と正直に言及しなかったことが要因だと考えています。
要因をこれだと仮定して、次に本質的な課題について言及します。
本質的な課題
かっぱえびせんには60年の歴史があります。
その長い歳月の中で築き上げられてきた
「家族の思い出」という物語。
一方のイカゲームは、
世界中の大人たちを魅了した衝撃的な物語。
この二つの物語は、本来であれば
しっかりとすみ分けられるべきでした。
「おなじみのかっぱえびせん」というブランドと
「コラボ限定仕様」という特別な商品が
言葉によって明確に区別されていれば、
この騒動は違う展開を見せていたかもしれません。
企業姿勢の問題
「イカゲームは話題性があるから成功する」
企業はこの短絡的な判断をしてしまったのかなと思います。
それは「言葉には責任が伴う」という
当たり前でありながら重要な事実です。
(本音を言うと、普通に考えれば分かるだろって思ってます)
特に子供たちに影響を与える可能性のある商品において、
企業の発する言葉には より慎重な配慮が必要でした。
ではどのようにPRすればよかったのでしょうか。
解決策
結論、:言葉による「再定義」と「明確な境界線」です。
ターゲットの再定義
「大人の夜の楽しみ」として、
明確なメッセージを打ち出す。
従来のかっぱえびせんは「子供向け」「ファミリー向け」の商品です。
しかし今回のコラボ相手は「大人向け」の作品ですので、コラボするならそれに合わせる必要があります。
なので改めての"ターゲット再定義"が必要だと考えました。
適切な注意書き
「R15指定作品とのコラボです。お子様に与える前に、保護者の皆様の判断を」
という明確な言葉を添えることで、禁止はせずとも目線合わせ、期待値調整ができます。
丁寧な説明
これはマストではないと思いますが、
「本商品は元々ファミリー層にも親しまれていますが、今回のコラボは大人向け企画としてお届けします」
という誠実な言葉も入れておくと、誤解を完全に解けるのではないかと思います。
新しいストーリーを生むチャンスだったのではないか
「子供の頃から食べていたかっぱえびせんを、
大人が夜に楽しむ」
実は、このような新しいストーリーを紡ぐチャンスでもあったとも思います。
だから私は「イカゲームとコラボしたこと」自体は悪くないと思います。
(むしろコラボできたのすごい)
成長したファンに向けて、
懐かしい味わいの新しい楽しみ方を提案する。
そんな可能性が、言葉の混乱の中で見失われてしまった印象です。
PRは正直に、誠実に
結論として、これは「やめるべきコラボ」ではなく、
「言葉を正しく使わなかった」ことが問題だと考えました。
時に企業は「インパクト」を求めるあまり、
大切な言葉を見失ってしまうことがあります。
しかし、それは必ずしも取り返しのつかない失敗ではありません。
むしろ、このケースは
「正しく心を動かすメッセージ」の重要性を
私たちに教えてくれる貴重な機会となったのではないでしょうか。
言葉は、ブランドと消費者の間に築かれる
信頼という布地を織りなす糸です。
その一本一本を、より丁寧に、より慎重に紡いでいく。
それこそが、これからの企業に求められる
「言葉の作法」なのかもしれません。
今後とも「人の心を正しく動かす」情報を発信するので、フォローしていただけると、 今日も幸せな1日になります。