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2. 監査役の業務に関しては、具体的にどのようなことが審査されるのでしょうか?

年が明けて2025年がやってきました。
年末年始は普段とは違った時間を過ごし、2024年を振り返ったり、
2025年をどんな年にしたいか考えたりしている方も多いと思います。
「一年の計は元旦にあり」という言葉もありますので、
今年1年このnoteを続けられるよう願いを込めて記事を投稿したいと思います。
2025年がより健やかで良いことの多い一年でありますように。
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2.  監査役の業務に関しては、具体的にどのようなことが審査されるのでしょうか?

証券会社による引受審査及び証券取引所による上場審査は、業績、内部管理体制、開示等幅広く行われますが、そのうち、社内の管理体制全般については、監査役の監査活動に関わることも多いため、証券会社、証券取引所いずれからの質問事項及びそれらへの会社からの回答内容をすべて監査役自身も把握しておく必要があります。監査活動の過程で把握している会社の管理体制と会社からの回答内容に齟齬がないかどうか、会社からの回答と監査役からの回答内容に整合性があるかどうかは回答提出前に必ず確認しておく必要があります。

次に、証券会社による審査のうち、直接監査役の活動に関する審査内容はどのようなものであるかを見ていきたいと思います。

(1)審査手続き
主幹事証券会社によって、審査手続きは異なる場合がありますが、一般的な証券会社による監査役監査に関する審査の流れは、概ね以下のとおりです。
・監査活動を示す資料を主幹事証券会社に提出
・主幹事証券会社審査部から監査役への書面での質問事項を受領
・監査役から証券会社審査部質問事項への回答書提出
・提出した審査資料及び回答書の内容に基づき、証券会社審査部による監査役ヒアリング

審査資料を提出後、その内容に関して質問事項を受領、質問事項に対する回答書を提出後、面談によりヒアリングを受けるという手続きは、証券取引所の審査においても同様です。また、監査役面談(ヒアリング)は、常勤監査役だけでなく、非常勤も含めた監査役全員の参加が求められ、同時に行われます。

監査役面談時に質問される主な項目は、概ね以下のとおりです。

①各監査役の就任経緯
②各監査役の役割分担
③監査の内容(監査の重点項目、出席する会議体、往査の状況等)
④監査役会の開催状況
⑤内部監査、会計監査人との連携状況
⑥経営者に対する評価(資質、コミュニケーションの状況等)
⑦役員構成に対する評価、取締役会の議論の状況
⑧役員の指名・報酬の決定プロセスに対する評価
⑨事業、業務執行体制に対する評価(事業上のリスクとその対応状況等)
⑩内部管理体制に対する評価
⑪内部通報制度の整備状況
⑫会計監査人の監査体制に対する評価

上記の他、提出した監査調書等の記載内容に関して、より具体的な質問がされることになります。上記質問項目のうち、①から⑤の項目は、実際の監査活動の内容に関する質問事項、⑥以降の項目は、会社のガバナンスに関する各監査役個人の評価を聞いています。

IPO準備会社の監査役は、単に監査役としての監査活動だけではなく、常日頃から会社外部の取引先や投資家、社会のモラルの変化など、より広範で客観的な視点で会社を評価し、経営者に対して適切な提言ができるように心がけていく必要があります。
(続く)

<関連記事>
Ⅰ 上場審査と監査役
(1) 証券会社の審査の目的(続き)
(2) 証券取引所の審査の目的


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