改正電子帳簿保存法[令和4年1月1日施行]国税関係書類【スキャナ保存】(4)-要件:タイムスタンプ-
改正電子帳簿保存法における国税関係書類のスキャナ保存の要件の一つ、タイムスタンプの内容について見ていきます。
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(規2条⑥二ロ)では、書類ごとに次の通りとされています。
《重要》
作成又は受領(対面で書類の授受が行われる場合、外部の者から受け取ること)後、
速やか(おおむね7営業日以内)に
「一の入力単位」ごとの記録事項に
次に掲げる要件のタイムスタンプ(時刻認証)を付す
(規2条⑥二ロ)(通4-17)(通4-22)(通4-24)
<一般>
作成又は受領(対面で書類の授受が行われる場合、外部の者から受け取ること)後、
速やか(おおむね7営業日以内)に、又はスキャナで読み取る際に、
「一の入力単位」ごとの記録事項に
次に掲げる要件のタイムスタンプ(時刻認証)を付す
(規2条⑦)(通4-17)(通4-22)(通4-24)
<過去>
スキャナで読み取る際に
「一の入力単位」ごとの記録事項に
次に掲げる要件のタイムスタンプ(時刻認証)を付す
(規2条⑨)(通4-17)(通4-22)(通4-24)
なお、次に掲げる要件を見ていく前に、以下を留意しておくと良いでしょう。
《重要》<一般>
作成又は受領からタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合(規2条⑥二ロ)
《重要》
業務の処理に係る通常の期間
(作成又は受領からスキャナで読み取り可能までの業務処理サイクルの期間
で、月をまたいで処理することも認められ、「最長2か月」)
を経過した後、速やか(通常の期間を経過した後、おおむね7営業日以内)に
タイムスタンプを付す(規2条⑥二ロ)(通4-18)
<一般>
業務の処理に係る通常の期間
(作成又は受領からスキャナで読み取り可能までの業務処理サイクルの期間
で、月をまたいで処理することも認められ、「最長2か月」)
を経過した後、速やかに、又はスキャナで読み取る際にタイムスタンプを
付す(規2条⑥二ロ)(規2条⑦)(通4-18)
<一般>
作成又は受領後、通常のスキャナ保存と同様の入力期間内に入力した後タイムスタンプを付与するか、
その期間経過後に入力する場合は、正しく読み取られていることを確認した都度タイムスタンプを付す(問45)
(共通)
※「一の入力単位」
・複数枚で構成される書類はその全てのページをいう
・台紙に複数枚の書類(レシート等)を貼付した文書は台紙ごとをいう
例えば、3枚で構成される請求書の場合、
意味として関連付けられたものとして、3枚で一つの書類を構成して
いるため、一度に読み取る3枚が一の入力単位
・この入力単位は、意味として関連付けられたもの、又は物理的に関連
付けられたものをいう
・関係を持たない複数の書類を一度にスキャニングしたからといって、
一の入力単位ということにはならない
・複数枚の書類を台紙に貼付してスキャニングした場合、
それぞれの書類ごとに関連する帳簿の記録事項との関連性が明らかに
され、適切に検索できる必要がある
(ここまで通4-19)
・単ファイルのハッシュ値を束ねて階層化した上でまとめてタイムスタ
ンプを付した場合、
・改ざんされた単ファイルのみを検証することができ、の入力単位であ
る単ファイルごとにその単ファイルのハッシュ値を通じてタイムスタ
ンプを付している状態となり、
実質的に「一の入力単位ごと」にタイムスタンプを付しているものと
解することができ、まとめてタイムスタンプを付しても差し支えない
(ここまで(問28))
<一般>(問37)
・最長2か月とは暦の上での2か月をいう
・例えば、4月21日に受領した取引データの場合、
業務処理サイクルの最長2か月は6月20日で、そのおおむね7営業日後ま
でにタイムスタンプを付与すればよい
改めまして、ここから
次に掲げる要件のタイムスタンプ(時刻認証)を付す
の内容を見ていきます。
(共通)
■記録事項が変更されていないことを、保存期間を通じ、当該業務を行う者に対して確認する方法、「その他の方法」により確認できる(規2条⑥二ロ)
※「その他の方法」(通4-21)
・付したタイムスタンプがタイムスタンプを付した時と同じ状態にある
ことを保存期間を通じて確認できる措置
・タイムスタンプに有効期間等があり、書類の保存期間の方が有効期間
等より長いことがあり、有効期間等を過ぎてしまった場合、
有効期間等を過ぎてしまったとしても、タイムスタンプを付した時と
同じ状態、つまり業務を行う者に対して確認したときと同様な結果を
得られるような状態にする措置を講じる必要を明らかにしたもの
・例えば、有効期間等が過ぎる前に、タイムスタンプを付した記録に再
度タイムスタンプを付すなどして、変更されていないことを確認する
ことができる状態で保存する方法
・有効期限を超えたタイムスタンプについても、保存期間の満了までの
期間が短期間であり、以下の状態が確認できる場合、
保存期間満了まではその信頼性が維持されているものであり有効性が
保持されていると認められる
▲タイムスタンプの検証プログラムで、有効期限が切れていることを
除いて、タイムスタンプが改ざんされていないことを検証し、記録
のハッシュ値と改ざんされていないタイムスタンプに含まれる記録
のハッシュ値が一致する
▲タイムスタンプが、日本データ通信協会により認定された事業者か
ら発行されたもの
▲タイムスタンプに用いた暗号アルゴリズムが危殆化していない
(共通)
■課税期間中の任意の期間を指定し、付したタイムスタンプを一括して検証できる(規2条⑥二ロ)
さらに、以下の点についても留意しておくと良いでしょう。
《重要》<一般>
折れ曲がりのある画像と再度読み取りを行う画像との同一性が明らかである場合
以下をもって、受領からその業務の処理に係る通常の期間(最長2か月)を経
過した後おおむね7営業日以内にタイムスタンプが付されたものと考える
■当初の読み取りがその業務の処理に係る通常の期間(最長2か月)を経過し
た後おおむね7営業日以内に行われ、タイムスタンプを付している
■スキャンミスを把握してからその業務の処理に係る通常の期間(最長2か
月)を経過した後おおむね7営業日以内に再度タイムスタンプを付してい
る
■スキャンミスした記録についても読み取りし直した記録の訂正削除履歴
(ヴァージョン管理)に基づき保存している
(問29)
(共通)
以下のような場合で、保存方法の要件により入力したことを確認することができる場合、
タイムスタンプは不要
《重要》
訂正削除履歴の残る、又は訂正削除できないシステムに保存する方法によ
り入力期限内に書類に係る記録事項を入力したこと(事実)を確認できる場
合、
その確認をもってタイムスタンプの付与要件に代えることができる
(問30)
<一般>
訂正削除履歴の残る、又は訂正削除できないシステムに保存する方法によ
り書類に係る記録事項を入力したことを確認できる場合、
その確認をもってタイムスタンプの付与要件に代えることができる
(問30)
※入力した時点にかかわらず、入力した事実を確認できれば足りる
(通4-36)
<過去>
訂正削除履歴の残る、又は訂正削除できないシステムに保存する方法によ
り書類に係る記録事項を入力したことを確認できる場合、
その確認をもってタイムスタンプの付与要件に代えることができる
(問30)
(共通)
この訂正削除履歴の残る(あるいは訂正削除ができない)システムでタイム
スタンプ付与の代替要件を満たすには、
タイムスタンプが果たす機能である、ある時点以降変更を行っていないこ
との証明が必要となり、合理的な方法でこの期間制限内に入力したことを
証明する必要がある
その方法として、客観的にそのデータ保存の正確性を担保できる場合が以
下となる
(問30)
・例えば、他者が提供するSaaS型クラウドサーバ(要件を満たすもののみ)
により保存を行い、クラウドサーバがNTP(NetworkTimeProtocol)サー
バと同期(他者が提供するSaaS型のクラウドサービスが稼働するサー
バ(自社システムによる時刻の改ざん可能性を排除したシステム)が
NTPサーバ(ネットワーク上で現在時刻を配信するためのサーバ)26と
同期)するなどにより、
その書類に係る記録事項の入力がその作成又は受領後、速やかに行われ
たこと(その書類の作成又は受領から入力までの各事務の処理に関する規
程を定めている場合、その書類に係る記録事項の入力がその業務の処理
に係る通常の期間を経過した後、速やかに行われたこと)の確認ができる
ようにその保存日時の証明が客観的に担保されている(スキャナデータが
保存された時刻の記録及びその時刻が変更されていないことを確認でき
るなど、客観的にそのデータ保存の正確性を担保することができる)場合
(スキャナデータを異なるシステムやサーバに移行する際は、スキャナ
データだけでなくデータを保存した時刻と、それ以降に改変されていな
いことの証明に必要な情報も引き継ぐ必要がある)(通4-28)
・スキャナデータを異なるシステムやサーバに移行する際は、スキャナ
データだけでなくデータを保存した時刻と、それ以降に改変されていな
いことの証明に必要な情報も引き継ぐ必要がある(通4-28)
・自社システムは、保存された時刻の記録についての非改ざん性を完全に
証明することはできないため、保存日時の証明が客観的に担保されてい
る場合に該当しないため、原則要件を満たすことはできない(ス追1)
・時刻証明機能を備えたクラウドサービス等を他社へ提供しているベン
ダー企業等の場合、サービスの提供を受けている利用者(第三者)との関
係性から当該システムの保存時刻の非改ざん性が認められることから、
自社システムであっても例外的に客観性を担保し得ると考えられる
(当該サービスを提供しているベンダー企業以外で自社システムを使用し
て保存要件を充足しようとする場合、代替要件によらずタイムスタンプ
を付与することが必要)(ス追1)
<過去>
入力した時点にかかわらず、入力した事実を確認できればよい(通4-36)
(共通)
タイムスタンプ要件について、その付与期間内に書類に係る記録事項にタイムスタンプを付すこととし、令和4年4月1日以後に保存が行われる書類の取引情報に係る電磁的記録について適用する
(大綱 六納税環境整備 5その他(国 税) (7))
関連条文等
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第2条6項二、第2条6項二ロ、第2条7項、第2条9項
電子帳簿保存法取扱通達4-17、4-18、4-19、4-21、4-22、4-24、4-28、4-36
(電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明))
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/030628/pdf/01.pdf
電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】問28、問29、問30、問45
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_02.pdf
電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問37
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_03.pdf
お問合せの多いご質問(令和3年11月)ス追1
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021010-200.pdf
令和4年度税制改正大綱六納税環境整備5その他(国 税)(7)
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/202382_1.pdf
おわりに
重要書類、一般書類、過去分書類について、施行規則については微妙に異なる要件の表現となっています。
まずは現在、タイムスタンプの要件を満たすスキャナ機器なのか確認をしてみましょう。
JIIMA認証情報リストも参考にすると良いと思います。
また、具体的な内容も出ていますので、参考なったのではないかと感じています。
タイムスタンプが不要なもので進める場合は、事前に確実に確認をすることが望ましいでしょう。
このタイムスタンプの要件を含めまして、スキャナ保存よって、管理の流れを改めて見直す良い機会と考えられます。スタッフへの周知も含めて、この際にしっかりと体制づくりをしていきたいですよね。
今後、ペーパーレス社会がますます広がっていくことを想定しますと、制度をしっかりと理解して、体制構築をしていくことは社会的にも良い方向と考えています。
随時更新をしていきますので、引き続きご覧頂けますと嬉しいです。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
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