改正電子帳簿保存法[令和4年1月1日施行]国税関係帳簿【過少申告加算税の軽減措置】(2)-要件:訂正又は削除-
改正電子帳簿保存法における国税関係帳簿の要件の一つ、訂正又は削除の内容について見ていきます。
まず、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(規5条⑤一イ)では、
次に掲げるシステムを使用する
とされています。
それでは、具体的にどのようなシステムか見ていきましょう。
■訂正、又は削除を行った場合、これらの事実、内容を確認できる(規5条⑤一イ)
記録事項を直接に変更することのみではなく、直接に変更した場合と同様の効果を生じさせる新たな記録事項(いわゆる反対仕訳)を追加することも含む(通8-7)
例えば、次に掲げるシステム等(通8-8)
一つは、
▲直接に訂正、又は削除することができるシステムで、
訂正前・削除前の記録事項、訂正・削除の内容が、
その記録、又はその記録とは別の記録(訂正削除の履歴ファイル)に
自動的に記録されるシステム(通8-8)
誤りを是正するための期間を設け、
記録を入力した日から1週間を超えない場合で、
期間内に記録事項を訂正、又は削除したものについて、
その訂正、又は削除の事実、内容に係る記録を残さないシステムで、
以下の書類に期間に関する定めがあるとき(通8-9)
●電子計算機処理、
記録の備付け、
保存に関する事務手続
を明らかにした書類
(他の者に委託している場合、委託契約書も)
(規2条②一)
・入出力処理の手順
(記録事項の訂正、又は
削除及び追加をするための入出力処理を含む)
・日程及び担当部署
・記録の保存等の手順及び担当部署
などを明らかにした書類
(通4-6)
●一定の期間、訂正削除の履歴を残さないシステムは、
例えば、次の訂正、又は削除の方法の区分に応じ、
次のようなもの(通8-9)
・記録を直接に訂正、又は削除する方法
当初の入力日から訂正、又は削除できる期間を
自動的に判定し、
期間内における訂正、又は削除については
履歴を残さないシステム
・反対仕訳により訂正、又は削除する方法
当初の入力日から訂正、又は削除できる期間を
自動的に判定し、
期間が経過するまでは直接に訂正、又は削除できるが、
期間が経過した後においては反対仕訳の方法でしか
訂正、又は削除することができないシステム
もう一つは、
▲直接に訂正、又は削除できないシステムで、
訂正、又は削除する必要が生じた場合、
直接に訂正、又は削除した場合と同様の効果を生じさせる
新たな記録事項
(当初の記録事項を特定するための情報が付加されたもの)
を記録する方法
(いわゆる反対仕訳による方法)(通8-8)
当初の記録の全体の反対仕訳と正当な仕訳を行う方法、
又は当初の記録と正当な記録との差を反対仕訳する方法、
のいずれの方法によるかは問わない(通8-8)
その仕訳の方法は、総額方式や純額方式など、特に限定していない
(問23)
その場合、貸借の勘定科目は同一で金額をマイナスで入力する方法
も、いわゆる反対仕訳の方法の一類型と考える(問23)
主に取扱通達に具体的な訂正、削除を行った場合の事実や内容を確認できる例が記載されていました。
履歴が残るシステムの場合は要件を満たしていて、一定期間履歴が残らない場合も運用や管理面で要件を満たすことができればよさそうですね。
■入力をその業務の処理に係る通常の期間を経過した後に行った場合、その事実を確認できる(規5条⑤一イ)
事務処理規程等に定めている業務処理サイクルとして入力を行う期間で、最長2か月まで(問26)
記録を月次決算単位でファイルに保存し、
その単位ごとにディスプレイの画面、書面に出力でき、
入力月と入力された取引年月日の関係から、
その画面、書面により追加入力の事実が確認できる場合、要件を満たす
(問25)
入力時に、個々の記録事項に入力日、又は一連番号等が自動的に付され、
それを訂正、又は削除できないシステムを使用する場合、要件を満たす
(通8-10)
一般的な会計システムでは、伝票番号等が自動的に一連で付され、各帳簿と連動されているものが多いと思われるので、要件を満たすケースが多いものと感じています。
その他
集計データのみの保存は、全ての取引のデータの訂正、又は削除の履歴が確保できないことや、帳簿間の相互関連性が明確にならないなどから要件が満たされない(問19)
業務システムのデータの保存に代えて、販売等の個別取引が記載された売上帳(補助簿等)を書面に出力して保存する場合、適用を受けることはできない(問19)
売上帳などの補助簿等についてもデータで保存をしていなければならないらしく、会計システム以外にも販売システムや経費管理システムなども管理の対象になってくると思われます。
会計システムと販売システム、経費管理システムなどが連動できるシステムが使いやすい感じがしますが、その分システム利用料の負担も多くなると考えられます。
その場合は、会計システムで補助科目を駆使して個別取引まで入力をしていくなど、各企業で導入可能な範囲で要件を満たしていけるのか検討をしていくと良いでしょう。
関連条文等
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第2条2項一、第5条5項一イ
電子帳簿保存法取扱通達4-6、8-7、8-8、8-9、8-10
(電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明))
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/030628/pdf/01.pdf
電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】問19、問23、問25、問26
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_01.pdf
おわりに
まずは、現在使用している会計システムは履歴が残るのもなのか、どのように削除や訂正をおこなっているのか、一連番号が付されているのか、個別取引単位で入力されているのか、の確認をしてみると良いでしょう。
そうすることによって、要件に合致する・しないに関わらず、処理の流れや管理体制を見直すきっかけになることも多いと考えられます。
法律が変わったから、という認識で管理をしていくよりも、ここでしっかりと管理できることを、他の管理にも活かしていく気持ちで進められると良いのではないでしょうか。
事業が継続・発展していくきっかけと捉えるのもよいでしょう。
随時更新をしていきますので、引き続きご覧頂けますと嬉しいです。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
お問い合わせはこちらまで↓
最後まで読んできただき、ありがとうございます!
今後もお役に立てる記事を投稿していきますので、
スキ・フォローなどをいただけますと
とても喜びまくります。