改正電子帳簿保存法[令和4年1月1日施行]国税関係書類【スキャナ保存】(9)-要件:備付け書類の出力-
改正電子帳簿保存法における国税関係書類のスキャナ保存の要件の一つ、備付け書類の出力の内容について見ていきます。
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(規2条⑥五)
及び、電子帳簿保存法取扱通達(通4-7)では、
(共通)
保存場所に
(共通)
電子計算機並びに操作説明書
(共通)
プログラム
(書類の作成に使用する電子計算機及びプログラムに限られない)
並びに操作説明書
《重要》<過去>
映像面の最大径が35cm以上のカラーディスプレイ並びに操作説明書
<一般>
映像面の最大径が35cm以上のディスプレイ並びに操作説明書
《重要》<過去>
カラープリンタ並びに操作説明書
<一般>
プリンタ並びに操作説明書
《重要》<過去>
を備え付け、
《重要》<過去>
当該書類をカラーディスプレイの画面、書面に、次のような状態で速やかに出力できるようにしておく
<一般>
当該書類をディスプレイの画面、書面に、次のような状態で速やかに出力できるようにしておく
とされています。
(共通)
■整然とした形式(規2条⑥五イ)
例えば、入力した書類がA3サイズであればA4用紙で2枚などに分かれるこ
となく整然とした形式であること、
保存されている記録の情報が適切に再現されるよう読み取った書類と同程
度に明瞭であること、などが必要
(問37)
■国税関係書類と同程度に明瞭(規2条⑥五ロ)
画面及び書面に、書面で作成される場合の書類に準じ規則性を有する形式
で出力できるようにしておく(規2条③二)
出力された文字を容易に識別できる状態で、速やかに出力できるようにし
ておく(規2条③二)
■拡大又は縮小して出力することが可能(規2条⑥五ハ)
ディスプレイ、書面に書類の一部分を拡大して出力することができればよ
く、拡大することに伴い、用紙のサイズを大きくして全てを表示する必要
はない(問37)
小さな書類(レシート等)を出力する場合
プリンタ及び用紙サイズの許す範囲で拡大し、又は大きな書類であれば
縮小して記録事項の全てを出力することができれば構わない(問37)
■日本産業規格Z8305に規定する4ポイント(1.406mm)の大きさの文字を認識することができる(規2条⑥五ニ)
全ての書類に係る電磁的記録に適用される(通4-33)
日本産業規格X6933、又は国際標準化機構の規格12653-3に準拠したテス
トチャートをスキャナ保存で使用するシステムで入力し、
カラーディスプレイの画面、カラープリンタで出力した書面でこれらのテ
ストチャートの画像を確認し、
4ポイントの文字が認識できる(日本産業規格X6933のテストチャートにお
いては4の相対サイズの文字及びISO図形言語を、国際標準化機構の規格
12653-3のテストチャートにおいては4ポイントの文字及びISONo.1試験
図票の140図票を認識できること)場合の
システム等を構成する各種機器等の設定等(各種機器やプログラムの設定及
び使用方法等)で
全ての書類を入力し保存を行うこと(通4-33)
これらのテストチャートの文字が認識できるか否かの判断は、拡大した画
面、又は書面で行っても差し支えない(通4-33)
テストチャートが手元にないなどの理由で4ポイントの大きさの文字が認
識できる解像度等の設定が困難である場合、
読取解像度が200dpi以上、赤・緑・青それぞれ256階調以上、非圧縮(又は
可逆圧縮)で入力していれば、
4ポイントの大きさの文字が認識できるものとして取り扱う(問39)
JISX6933に準拠したテストチャートのJISにおける使用方法は、
JISにおいてはテストチャートの文字等のうち50パーセント超の文字の認識
ができればよいこととなっているが、
書類のスキャナ保存においては、認識できない文字の存在は認められてい
ないので、
テストチャートの全ての文字等が認識できる設定で入力しなければならな
い(問40)
ISO12653-3に準拠したテストチャートも同様に、
ISO12653-3における4ポイント文字、及び140図票がJISX6933に準拠した
テストチャートと同程度に認識できる設定で入力しなければならない
(問40)
保存場所に保存等をされていない場合
保存場所の電子計算機と
書類の作成に使用する電子計算機が通信回線で接続されているなど、
保存場所で画面及び書面に、速やかに出力できれば、保存場所に保存等が
されているとして取り扱う
(通4-7)
海外にあるサーバに保存されている場合
納税地で画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力
することができる等、
紙ベースの帳簿が納税地に保存されているのと同様の状態にあれば、納税
地に保存等がされているとして取り扱う(問13)
画面印刷(ハードコピー)であっても、整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できれば認める(問13)
書面への出力を画面のハードコピーで、一の記録事項が複数枚の書面に分割して出力される形式の場合
一覧的に確認することが困難となるため、整然とした形式に該当しない
(通4-8)
書類の表裏にかかわらず、印刷、印字又は手書きの別、文字・数字・記号・符号等の別を問わず、何らかの記載があるときは入力することとなるが、
書面に記載されている事項が、取引によって内容が変更されることがない定型的な事項で、
記載されている事項が記録の保存をする場所において、同一の様式の書面が保存されていることにより確認できる場合、
記載されている事項以外の記載事項がない面については入力しないこととしても差し支えない(通4-15)
保険契約申込書の裏面に印刷されている定型的な注意事項などのように、
最初から紙に印刷された事項も含まれ、
そのような定型的な記載事項は取引によって内容が変更されることがない
ことから、
定型的な記載事項が記載されている書類を、使用する前の状態で保存して
いるなどにより電磁的記録の保存をする場所で確認できる場合、
電磁的記録に記録した場合と同等と考えられるため、記載事項以外の記載
事項がない面については入力をしないこととしても差し支えない
(通4-15)
契約書など、いわゆるひな形を使用して作成する文書の場合
そのひな形は単なる見本で、通常内容を変更することが可能であるの
で、ひな形の内容を変更せずに文書を作成したものであっても、記載さ
れている事項は全て入力することとなる
(通4-15)
関連条文等
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第2条3項二、第2条6項五、第2条6項五イ、第2条6項五ロ、第2条6項五ハ、第2条6項五ニ
電子帳簿保存法取扱通達4-7、4-8、4-15、4-33
(電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明))
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/030628/pdf/01.pdf
電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】問13
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_01.pdf
電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】問13、問37、問39、問40
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_02.pdf
おわりに
備付け書類の出力については、重要書類、過去分書類と一般書類について、カラーか、そうでないか、以外は全て同じ要件となっています。
まずは、難易度の点から考えてハードルが低いと思われる機器類の操作説明書を準備しておきましょう。
その上で、誰が見ても紙での書類と同じと思われる状況であるのか確認をして、具体的な機器の性能が要件を満たしているのか、という形で確認をしてみると良いかもしれません。
4ポイントといった専門的な要件がありますので、取扱説明書だけでなく、メーカーや業者にも確認をすると良いと考えています。
この要件を含めて、スキャナ保存よって、管理の流れを改めて見直す良い機会と考えられます。スタッフへの周知も含めて、この際にしっかりと体制づくりをしていきたいですよね。
今後、ペーパーレス社会がますます広がっていくことを想定しますと、制度をしっかりと理解して、体制構築をしていくことは社会的にも良い方向と考えています。
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