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改正電子帳簿保存法[令和4年1月1日施行]国税関係書類【スキャナ保存】(2)-要件:保存方法-

改正電子帳簿保存法における国税関係書類のスキャナ保存の要件の一つ、保存方法の内容について見ていきます。

スキャナ保存については、
重要書類、一般書類、過去の重要書類
を混在させて書いています。

上記の該当書類に応じて、以下のように表示しています。
(共通)      ← 重要書類、一般書類、過去の重要書類の事項
《重要》<一般> ← 重要書類、一般書類の事項
《重要》<過去> ← 重要書類、過去の重要書類の事項
《重要》     ← 重要書類の事項


《重要》
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(規2条⑥一)では、

次のいずれかにより入力する

どちらを採用してもよく、
また、課税期間の中途で変更することも選択できる(問25)

とされています。

■作成又は受領後、速やかに(おおむね7営業日以内)入力を行う(規2条⑥一イ)(通4-17)


■業務の処理に係る通常の期間
(作成又は受領からスキャナで読み取り可能までの業務処理サイクルの期間で、月をまたいで処理することも認められ、最長2か月)
を経過した後、速やか(通常の期間を経過した後、
おおむね7営業日以内)入力をに行う (規2条⑥一ロ)(通4-18)

 ※作成又は受領から入力までの各事務の処理に関する規程を定めている場合のみ(規2条⑥一ロ)(通4-18)


 最長2か月とは暦の上での2か月をいう(問37)

 例えば、4月21日に受領した取引データの場合、
 業務処理サイクルの最長2か月は6月20日で、
 そのおおむね7営業日後までにタイムスタンプを付与すればよい(問37)

 通常の期間を最長の2か月で設定していて、令和3年10月末頃に作成又は受領した書類について令和4年1月1日以後に入力が完了した場合
 「令和4年1月1日以後に保存が行われる書類」に該当し、改正後の要件が適用される(問60)


 事務の処理に関する規程とは、

・業務サイクルに応じた入力事務を行うことにより、改ざん等の誘因を制限するもの
・書類の受領又は作成を始めとする企業のワークフローに沿ったスキャニング、タイムスタンプの付与の時期等について規定
・規程に沿った入力事務の処理を行う責任者を規定することにより責任の所在を明らかにするという企業の方針を定め
・真実性を確保するためのもの(問49)


誤って入力期間を経過した場合
 要件を満たしていないから、元の書類は紙のまま保存する(問24)


とされています。
重要書類については、
7営業日以内が難しい場合は、自社の事務処理規程に沿って、最長、2ヶ月+7営業日以内に保存をすればよい、という事なので、事務の処理に関する規程の例示を参考にして、処理の流れを明確にした規程の作成や見直しをして満たす形を検討していくと良いでしょう。


<一般>
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(規2条⑦)では、


記録の保存、記録の作成・保存に関する事務の手続を明らかにした書類の備付けを行うことで、一般書類の電磁的記録の保存ができる

 事務の責任者、
 入力の順序、
 方法などの処理手続、
 アウトソーシングの際の事務の手続
 を定め、適切な入力を確保するためのものであること(問49)


とされています。

既に事務手続を明らかにした書類を備え付けている場合
 これに事務の責任者の定めや対象範囲を追加して改訂等により対応するときは、改めて書類を作成して備え付けることを省略しても良い(通4-35)

一般書類は、期間の制限がなく適時に入力できるから、他の要件を満たす限り、過去において受領等した書類についてもスキャナ保存が可能(問44)


とされています。
重要書類と比べ、保存期限がないため運用がしやすくなりますが、かえって忘れてしまったり煩雑なる可能性が考えられます。事務の手続を明らかにした書類の内容が例示されていますので、忘れたりすことがないように重要書類と同様の期間内に可能なものは保存してくような規程としておくのもよいでしょう。


《重要》<一般>
本来はディスプレイに出力する際にファイル等が分割されることなく整然とした形式で出力することが必要
 仮にA3の書類であれば当然にA3が出力できるプリンタ及びA3サイズの用紙を備え付けるべきであるが、備え付けられているプリンタの最大出力サイズより大きい書類を受領し、スキャナ保存を行う場合は、スキャン文書と元の書類の両方の保存が必要(問9)

スキャナがA3サイズに対応していないからといって、書類を複写機などで縮小コピーしたものを読み取ることは、書類をスキャナで読み取ることには当たらない(問9)


とされています。
元々の紙の状態のものを縮小コピーすることはNGのようです。
縮小コピーをしなくても保存可能であれば問題ないと思いますが、
もし縮小が必要な書類があったら、取引先へ用紙の変更を依頼することも一つの手になると思われます。


<過去>
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(規2条⑨)では、


保存に代える日(「基準日」)前に作成、又は受領をした書類(一般書類を除く)に記載されている事項を記録する場合

 過去分重要書類の種類、次に掲げる事項を記載した届出書を税務署長に提出したとき(従前において提出していない場合のみ)は、
 電磁的記録の保存に併せて、作成、保存に関する(事務の責任者が定められている)事務の手続を明らかにした書類の備付けを行うことで、
 過去分重要書類に係る電磁的記録の保存をできる

とされています。

届出者の氏名又は名称
 住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地
 法人番号(法人番号を有しない者は、氏名又は名称及び住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地)

基準日

その他参考となるべき事項


既に事務手続を明らかにした書類を備え付けている場合
 これに事務の責任者の定めや対象範囲を追加して改訂等により対応するときは、改めて書類を作成して備え付けることを省略しても良い(通4-35)

適用届出書を提出した後は、入力期間について制限はないため、数か月間に渡ってスキャナ保存の作業を行うことも可能(問50)

過去分の重要書類も、適用届出書の提出後、入力期間の制限がなく適時に入力できる(問44)


とされています。
まず、過去分の保存をする場合は、税務署への届出が必要ということです。
過去分になりますので入力期間はありませんが、こちらも事務処理規程で流れを明確にしておきましょう。


関連条文等

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第2条6項一、第2条6項一イ、第2条6項一ロ、第2条7項、第2条9項

電子帳簿保存法取扱通達4-17、4-18、4-35
(電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明))

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/030628/pdf/01.pdf

電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】問9、問24、問25、問44、問49、問50、問60

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_02.pdf

電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問37

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_03.pdf

おわりに

重要書類、一般書類、過去分書類について、それぞれ異なる要件となっています。
保存要件については比較的シンプルな内容に感じましたが、実際は、保存までの流れを作ることが大変であると思われます。

頭の中で考えるよりも、まず、現状の流れを書き出してみて、煩雑にならないようにどのように変更をして行った方が良いのか検討をしてみると良いでしょう。

スキャナ保存は、管理の流れを改めて見直す良い機会と考えられます。スタッフへの周知も含めて、この際にしっかりと体制づくりをしていきたいですよね。

今後、ペーパーレス社会がますます広がっていくことを想定しますと、制度をしっかりと理解して、体制構築をしていくことは社会的にも良い方向と考えています。

随時更新をしていきますので、引き続きご覧頂けますと嬉しいです。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

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