鵜飼は伝統か虐待か
鵜飼は飼い馴らしたウを使った漁法です。
昔から伝統的に行われてきました。
長良川の鵜飼はたいへんよく知られています。
成長したアユが川を遡上する時期に行われます。
鵜飼に使われるウは「ウミウ」です。
素早く潜水して魚を捕る能力があります。
そうしたウの性質を活かした漁法が鵜飼です。
日が暮れてから小舟の舳先でかがり火を焚くと、
水中のアユが驚いて動きが活発になります。
それを狙ってウがアユを飲み込みますが、
ウの喉には紐が巻かれています。
そのためアユを飲み込むことができません。
猟師はそれを吐き出させて収獲します。
ちょっとウがかわいそうな気もしますが、
獲物をすべて横取りするわけではありません。
紐はそれほど強く結ばれていないので、
小さいアユは喉を通ります。
大きいアユだけを人間がいただきます。
なかなか理に適った漁法です。
鵜飼の歴史は古く、日本書紀にも記述があります。
信長も家康も保護したと伝えられています。
千数百年も続く格式ある伝統行事ですが、
その一方で否定的な見方もあります。
動物愛護の観点から、疑問視する見方です。
中には、虐待だという厳しい意見もあります。
しかし、昔から鷹狩りという猟法がありますが、
鷹狩りが虐待だという意見はあまり聞きません。
また、猟犬を使った狩猟も世界中にありますが、
猟犬を虐待しているという意見もありません。
なぜ、鵜飼が問題視されてしまうのでしょうか。
おそらく、ウの喉に紐を巻きつけることや、
獲物を吐き出させることが理由かもしれません。
どうしても、かわいそうに思われてしまいます。
虐待かどうか簡単に結論づけることはできませんが、
人と動物の関係を見直していく必要があります。
鵜飼を伝統として守っていくためにも。