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400字で分かる落語「井戸の茶碗」2

「い」の69:井戸の茶碗(いどのちゃわん):その2
【成立】 栗原東随舎『思出草紙』(成立年未詳)を元にした講談「細川茶碗屋敷の由来」を噺に仕立てた物。明治のころは「茶碗屋敷」という題が見えるが、老中のタヌマが茶碗をもらい、細川の屋敷を白金から神田に移すという結び。卜斎が娘に化粧をすれば住人並みになると言うと、清兵衛が、「あまり磨くとまた騒動が起こります」というのが昔の落ち。
 卜斎と清兵衛の会話で、「お嬢さんは出戻りか何かではありませんか」「ばかを言うな。今年17になったばかりだ」「それなら安心、傷物にはこりごりいたしました」というのが春風亭柳枝(1)の付けた落ち。
 明治24年の春風亭柳枝(3)は人物名が違っていて、浪人が屑屋から金を受け取って終わる。「落ちのあるお話ではござりますが、ここらでさしおくことにいたします」と言っている。武藤禎夫は昭和44年に。これを一番高く評価している。いい話に落ちはいらないという考えだったようだ。
 古今亭志ん生(5)が絶品、古今亭では2005年まに志ん朝、円菊、志の輔、他に柳家一琴、春風亭小柳枝が良かった。
【蘊蓄】 朝鮮半島から渡来した茶碗が「高麗」で、井戸はその中の代表的な品。興福寺の寺侍・井戸氏所有の物が茶人の間で評判になり、「井戸」と呼ばれるようになった。

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