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400字で分かる落語「浮世床」2

「う」の13:浮世床(うきよどこ):その2
【成立】 文化9(1812)年式亭三馬の『浮世床』に題材を得て、色々加わったもの。上方噺を柳家小せん(1)が東京に移植した。
A将棋:明和9(1772)年『鹿の子餅』の「将棋」は、「手は何だ」「王が二枚」「ホホヲいやなものを」。安永4(1775)年『一のもり』の「知らぬ同士」は、「王将(おう)が二まい」で落ち。
B煙管回し:三遊亭円生(6)が得意にして、煙管に見立てた扇子を回すのがきれいだった。見なければ分からないので『円生百席』ではカットしている。TBSが所蔵している録画ではこれを落ちにしている。
C本:安永2年『聞上手』の「大太刀」は、「九寸五分の大太刀」を指摘され、「幅が幅が」
【ここだけ一言】 普通は「金網を張り、暇な時は餅を焼いて食う」というのを、古今亭志ん生は「シャケを焼いて食う」と言った、「餅を焼いてくうは、あたり前のおかしさである。シャケを焼いてくうには、説明のできないおかしさがある。(興津要)
【成立に戻る】 『浮世床』二編の下に、『通俗三国志』を読む場面があり、返り点を無視して「曹操横へてほこを賦す詩をス」と読み、「字が宙返りをしたり、ぎばを帰ったりするから、ここは読みにくい」と言う。その後は「徐庶命、徐庶、命(めい)を受け、ええ、受け、てすで、てすでに、ええ、受けて、すでに、兵を兵を率いきて……ええ…(中略)……曹操、何だ仮名をおとしやがって」
D夢1:『軽口露がはなし』巻5第1「嘘にもせよ気味のよい事」は、芝居で女に誘われ金をもらうが、夢だったという噺。
E夢2:天明3(1783)年『軽口夜明烏』上巻の「ひとつは本の事」、寒い日に地面に凍り付いた金を見付けて小便で溶かして取るが、金は夢で小便は本物だった。
F畳屋:安永2年『芳野山』の「髪結床」は、「畳屋風に結うてくんな」という客が金を払わずに帰ろうとして、「今日は床をふみにきた」と答える。「畳屋風」は「当世風」。畳屋が足で踏みながら畳を入れるのは今でも見ると思ったが、分からない人が多くなったようだ。
 好きなところで切れるが、私が2005年から10年までに聞いたのは、A3人、C8人、D17人、E6人。BとFは円生以来見ていない。

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