海沿いの林
きみ、寂しいんだね。きみ、孤独なんだね。寂しいから、音楽を聴いてしまうんだね。寂しいから、本を読んでしまうんだね。寂しいから、SNSがやめられないんだね。寂しいから、こんなこと書いてしまうんだね。
ふと思うんだけど、音楽や本といった内容を、自分に重ねるように接する人達って一体どれだけいるのだろうと思う。みんなへらっと笑っていて、それからわたしもへらっと笑っているから、他人という存在が、どんな顔で音楽を聴いているのかさっぱりわからない。
正体不明の調子の悪さで、涙も出ない。1週間前に終わった生理がもう来た。不順すぎます。
元彼が夢に出てきた。わたしも普通に学校に行ってて、同じ制服着た同級生として楽しく話す夢を見た。げんなりする。精神が弱り始めた時にしか、昔の知り合いは出てこない。元彼は友人としては長い付き合いで、五年くらい友達だった。いらない要素を関係に付随させると、その縁は簡単に切れる。もう顔もぼんやりしてる人が出てくる度に、わたし、寂しいんだな、と思って目が覚める。
起きたらひとりぼっち。寝ても覚めてもひとりぼっち。それでも、わたしはその関係性たちを持て余してしまったから不要な縁だと思って切ったし、それに後悔があるわけでもない。ただ、寂しい時に寂しい夢を見て寂しくなって目が覚める。寂しい。さびしい。さみしい。淋しい。
成り立ちは一切調べていないから全てわたしの妄想だけれど、さんずいに林と書いて『淋しい』と読ませるのが好き。なんとなく、海辺にひっそりとある林を連想させる。もしかしたら、お金持ちの持つコテージの近くの林で、年に一回、夏にやってくるその人を待っているのかもしれない。そんな淋しさを連想させて良い。
海沿いの林というアンバランスさというか、本来相容れないものが交わりたいと願う時に、淋しさは生まれるのかもしれないと思った。全て適当。
眠くて目を開けているのも億劫
これも自由律俳句だと主張すれば認められるんだろうか。わたしには芸術がわからない。
今日は昼過ぎに起きてから、ずっと本を読んでた。2時間くらいだけれども。太宰治の「ろまん燈籠」に収録されている、『雪の夜の話』を読んだ。これで三度目くらい。その中の挿話に、こんなものがある。
いい挿話だと思った。何度読んでも、綺麗な話だと思う。短いので、先に読んでみて欲しい。
わたしが死ぬ間際の網膜には、何が映るだろうと思う。今のわたしの瞳には、何が映っているのだろう。醜いものしか映らない気がする。綺麗なものを見たいと思って生きてきたのに、結局ずっと醜い。醜いものばかり見る瞳は醜い。綺麗なものを見ても、醜いものがどんどん蓄積されて、プラスよりもマイナスが大きい。
「そうよ、そうよ。プラスよりも、マイナスがずっと多いのよ。だからそんなに黄色く濁っているんだ。わあい、だ。」
きっとわたしの瞳も、黄色く濁ってる。
一人ででも観にいきたいほど観たい映画はない。友達を誘えるほど元気でもない。結局、考えに考えて、全部どうでもよくなった。映画館、もう一年以上行ってない。映画館が徒歩10分のところにあれば考えるけれど、片道一時間かけて、そこまで観たい訳でもない映画を一人で見に行って帰るのか。そう思ったら、観たかったはずなのに、そこまでの価値がないようなものに思えてきた。
なんで学校に通っていた時にもっと観に行かなかったんだろうと思う。元気であれば、一番現実から手っ取り早く逃れられるのに。とりあえず二時間は暗闇の中で映画のことだけ考えていればいい。
でもそうしなかったということは、別にわたしは映画好きじゃなかったんだろうな、ということ。
本屋に行きたいなあ。カラオケに行きたいなあ。ケーキを食べに行きたいなあ。動植物園に行きたいなあ。水族館に行きたいなあ。旅行に行ってみたいなあ。ライブに行ってみたいなあ。バイトしたいなあ。そういった気持ちは結局一過性のもので、ひと時過ぎると全てがどうでも良くなり、全ての機会を逃していく。そうやって生きてきた。だからわたしの瞳は濁ってるの。
買ったお洋服も、気になってるコスメも、磨いた靴も、どこにも行けない。日の目を浴びない。新刊が買いたいなと思いながら、本屋さんの通販サイトを見ている。いつしか、お店に食べに行くタイプのスイーツはスルーするようになった。コンビニスイーツと、テイクアウトが出来るものしかブックマーク欄にはない。
こうやって、自分自身の諦めが、最終的な幸せの減少に繋がるんだと思った。自分が自分のために諦めたと思ったもので、またひとつ、首が絞まってる。
幸せはひとつまみでいいなんて思わない。絶望こそがひとつまみであるべきなんだ。人生の味付けは幸せであるべきで、隠し味のスパイスとして絶望があるべきで。どちらもなくしちゃいけないもので、それでも、その比率を間違えちゃいけない。間違えたら、失敗だ。不良品だ。
わたしはその、塩と砂糖を間違えた卵焼きも笑って食べてくれる、白馬の王子様を探してる。
そんなの、夢の中にもいなかった。
・リローデッド / EGOIST
・春が嫌い / リーガルリリー
・EONIAN-イオニアン- /ELISA connect EFP
・悪魔の子 / ヒグチアイ
音楽というものに真面目に向き合ったことは一度もないけれど、真面目に向き合わなくてよいものとして救われている。