実家はじぶん
唐突だけど「やっぱり私はそうなんだ」というのを
証明したがっているな、と思った。
「私はダメなんだ」という呪いがすごいあって。
元々は母からかけられ続けた言葉なんだけど。
それを手放さないのは、誰でもない自分自身だ。
実家に帰らないようにし、連絡もしないようにしてても、何もしてないときにモヤモヤしてくる。
無意識のところで罪悪感が湧いてくるんだろう。
シンプルにマザコンやないか。
いま
“実家はじぶん、じぶんのママはじぶん”と
言い聞かせている。
恥ずかしいと始めは思ったけど、今はこれしか方法を思いつかない。
母といるとちょっとした事で、お互い声を荒げてしまう。
お互いイライラが止められなくなる。
一緒にいると調子が狂うとは、十代の頃から気がついていた。
それでも、母といると安心する自分がいた。
友達よりも一緒に出かけることも多かった。
私が空気を読んで大人しくしていると、母も落ち着いてた気がする。
一度怒りスイッチが入ると、しつこくて面倒だったから、この対応が正しいと思っていたのだろう。
大人になって、親以外の大人とたくさん接するうちに、母や父が言うほど自分はダメじゃないのかもしれないと、ふんわり思うこともあった。
友達には「マザコンだよ、それ!」と指摘されることも何度かあった。
「えー、そうかぁ…」とヘラヘラしつつ、
親を大事にする、気分損ねないようにすることの何が悪い?と心の底では思っていた。
母も、その親から呪いをかけられてた。
私はそれを、まんまと受け継いだだけだった。
ただの連鎖。
「だめな人なんてこの世にいないよ」
ただただ、この言葉を自分に言い聞かせる。
呪いを手放さない自分にゾッとしたけど。
そっと背中に手を当てて、大丈夫だと自分に言い聞かせる。
自分が思うようにしていいよ。
いつだって自由だよ。
大丈夫、大丈夫って
自分が自分に言って欲しかったみたい。
うん、もう大丈夫だから。
実家はじぶん。安心していいよ。