【小説】巫蠱(ふこ)第二十四巻
《刃域宙宇⑨》
(カラタくんもシズカくんもよく踏みとどまった)善知鳥カラタのいる建物から離れたところで、宙宇は足早に歩き始めた。(盗聴を警戒するにしても方法は分からないだろうに。ともあれ牽制は利いている。そろそろ確認にいくとしよう。平和が世界に、はびこるときを)
《城②》
宙宇は出国する。北西の国境付近の手前で小舟に乗り、北に向かう。すると島がみえてくる。いびつな岩を海岸線とする、山のような島……「城」だ。巫蠱が守る地のひとつだが楼塔や赤泉院から離れているため飛び地にもみえ