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#短編小説

逢魔刻の女

逢魔刻の女

鏡を覗く。そこに毛のない猿がいた。
ギョッとして身体が反射的に硬直する。心臓に痛みが走った。全身が凍りつくというありふれた表現はこういう場合に使うのだろう。猿は背中を丸めて真っ白な冷たい皮膚を晒していた。
そして暗く落ち窪んだ眼窩からのぞく虚ろで大きな眼球が、じっとこちらを捉えたまま様子を伺っている。
それが自分だと気づくまでに時間はそれほどかからなかった。十二畳の広さの和室の隅に置かれた古い三面

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