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大臺 序乃壱

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此のお話は日本が嫌いな日本人へ…。  日本を愚かと思う日本人へ…。  日本が貧しい国であったと思う日本人へ…。  日本人として誇りを持てぬ日本人へ届ける物語。  此れは我等が…
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#無理小説

大臺神楽闇夜 1章 倭 4灯の消えた日3

大臺神楽闇夜 1章 倭 4灯の消えた日3

さて、此の秦王政が持ち込んだ話は多いに五人を苦しめた。何せ自分達の判断で国の運命が大きく左右されるのだから当然である。だが、答えは一つしかない事は明らかであるのも事実。問題は秦王政の約束が真であるかどうかなのである。
 此の話の一番のネックは自分達が帥升を襲う事にある。つまり、此の時点で世界を敵に回す事になる。神を襲った八重国は大罪であり、其れを倭族と秦国が討伐に来ると言う筋書きなのだ。
 八重国

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大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇7

大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇7

  三佳貞達が中集落に到着する少し前…。泓穎達は別れた部隊と合流していた。総勢一万四千…。と、言いたいが倭兵、秦兵共に僅かな戦死者を出しているのでもう少し少ないはずである。其れでも高天原に残る八重兵と民を合わせた数の十倍以上はいる。不慣れなゲリラ戦で相手を翻弄して来た八重兵ではあるが王嘉の策によりその全ては炭となり塵となった。
 泓穎は余裕の笑みを浮かべクスクスと笑っている。三佳貞達が中集落に立ち

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大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇1

大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇1

三佳貞が迂駕耶に到着したのは倭人襲来から二月目の事である。小舟に乗ってエッチラホッホ…。何とか生き延びた三佳貞はボロボロである。海岸に着き、砂浜に足を踏み入れるやそのまま倒れ込んでしまった。其れを見つけたのは八重の兵であり、看病をしたのは陰三子の樹寐恵(きぬえ)だった。三佳貞は三日三晩眠り続け四日目の朝に目を覚ました。
 見慣れぬ天井に三佳貞は戸惑った。自分が何をしていたのか、此処が何処なのか分か

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大臺神楽闇夜 1章 倭 2襲来4

大臺神楽闇夜 1章 倭 2襲来4

二十隻の戦船が五隻で一つの形を作り四隻の船を攻める。激しく鳴り響く銅鐸の音が戦闘の激しさを伝えているが秦軍、倭軍のジャンク船は三百隻、加えて武器の性能も遥かに劣っている。勝っている物があるとすれば船の性能ぐらいか…。否、此れは用途の違いからの優位と言うやつに過ぎない。だが、海戦の訓練を積んできた八重国の兵は秦兵にとって厄介な存在として其処にいる。
 波は穏やかであっても足場は常に不安定である。狙い

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大壹神楽闇夜 序章 奴隷の王

大壹神楽闇夜 序章 奴隷の王

 数百年続いた戦乱の世が終わりを告げると久方振りの平和な世が訪れた。唯、此の戦が数百年続いたと言われても始皇帝となった政にとっては高々数十年程度の事である。此れは政だけではない。皆が皆高々数十年なのだ。戦乱の世に生まれ其れが終わっただけの事である。殆どの者が事の起りなど知らず、只々時代に翻弄されていただけの事である。
 其れでも平和が訪れたのは良い事である。然れど政には納得出来ない事がある。其れは

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