2019年好きなことを仕事にしてみた
好きなことを仕事にしてみよう、と思ったきっかけ
「自分の好きなこと仕事にしてみたらどうなるのかな。今のままで、明日死んだら後悔しないって言えるのかな」
社会人歴も間も無く10年目を迎えようとした2018年頭、新卒で入ったメガバンクから初めて転職をした。転職先の職場に慣れた4ヶ月目の2018年の夏、外で一人でランチを食べながらふと思った。
考えついたのが、ヨガだった。ヨガだけは趣味で7年続いている。インストラクター講座にも通い認定資格も持っている。そうだヨガを仕事にしてみたら何かみえるかもしれない。考えついたその週末、上司に退職の意志を伝え、翌月末に半年で会社を辞めた。
そこからあれよあれよという間に、いつも通っているヨガの先生のスタジオで教えることが決まり、デビューまでの1年間でインストラクター講座にもう一度通い直し、友人にレッスンに参加してもらい、場数もこなした。
そんなことをしているうちに、知人の友人のベンチャー企業の社長から、以前から希望していた経営企画のポジションの仕事のオファーもいただいた。ヨガインストラクターとの活動と並行して良い、というその時一番理想的な条件で仕事を得ることができた。
9月からヨガの先生のスタジオがオープンし、レギュラークラスを週2本やらせてもらい、最近では毎週通ってくださる顔なじみの方もいらっしゃるようになった。「ヨガ始めてから普段の生活でも調子を感じるようになった」という感想もいただいた。私がまさにヨガを続けている理由と同じことを感じていただけ、少しずつだが手応えのようなものを感じるようになってきている。
好きなことを始めて気づいたこと
ここ1年で感じたことの一つは、これまでの10年は「好きなことをしたい」ということを思考することすら考えないようにしていた、ということだった。
メガバンクの仕事はとにかく忙しかった。ありがたいことに周囲が優秀な職場に配属してもらったため、常に頭はフル回転させ、全力で取り組まなければ私は太刀打ちできなささを感じていた。もちろん周りの優秀な上司や同僚も全力で取り組んでいる環境で、とにかく好きとか嫌いとかではなく、やらなければ前に進まない、と思って業務に邁進していた。
「仕事は耐え忍び、我慢してやるものだ。その中で時折、ご褒美みたいな成果や機会に恵まれる、そういうものだ」と本気で思っていた。もちろん副業も禁止だったこともあるので、ヨガインストラクターの資格も別に活かすことは一生ないかもしれないとさえ思っていた。まさか数年後に本当に教える立場になることも考えつきもあの時はしなかった。
好きなことはやっぱり努力が苦にならないとということにも気づいた。新しい発見が興味のないことの10倍くらい量吸収されて、血となり骨となる実感を得る。好きなことでも苦しい場面はもちろんある。その苦しい状況を打開するための一歩を踏み出す軽やかさの違いも感じている。
そして、好きな事は実現するスピードが速い。
「疲れたな。何で私がこんなことをやらなければならないんだろう。今日の夜ご飯何食べようかな」
嫌なことや興味がないことをやっている時、私の意識は別のところへ飛びがちだ。一方、好きなことをやっている時、余計なことに気を取られない。どうやったら面白くなるだろうか、触れた人の役に立つのだろうか、カッコよくお洒落になるかな。ウサギとカメだ。一瞬一瞬の積み重ねが生み出すアウトプットの違いを感じる。
好きなことをやる!というきっかけから広がっていった
「面白い人と思われたい!自分は特別だと思われたい!」どうも私はそういう気持ちが強くあることを自覚した。無理して茨の道に突き進むことをやめるようになった。試行錯誤は繰り返しているものの、自分のやっていることに不安もなくなった。
やりたいことができる時間、やりたいことができる健康な状態を手に入れて、これまでやりたかったことにもドンドン挑戦してみた。ヨガや経営企画の仕事以外では、マインドフルネスの指導者資格の取得、曲作り、ライティング講座、小説書き、読書会、投資の勉強、物理、建造物の研究、英語、ピアノやドラム。あれやこれや繰り返すうちに、心から楽しんでいるもの、何となく楽しそうな人に見えそうだからやっているもの、自分の中でも違いがわかるようになってくる。
そうした中で、私自身が本当に望んていた働き方も見えてきた。そして「やってみたかった事」から絞り込まれ、これから生涯かけて深めていきたい事も見えてきた。
これから目指す働き方も生涯かけて深めていきたいと思えたものも、皮肉にも中学生・高校生の時に既に想像していたものだったり、夢中になって取り組んでいた事だった。年齢の半分の年月をかけて、一周回ってきて戻ってきただけか、と笑ってしまった。その人の本質は何年経っても変わらないものなのかもしれない。
10年前に好きなことを仕事にした友人が学生に伝えた言葉
実は10年前に「これで飯を食べていきたい」と強く思える仕事に出会った。それは大学時代のアメフト部のトレーナー時代に出会った、アスレチックトレーナーというスポーツの現場で働くトレーナーの仕事である。大学卒業後にアメリカへの留学を目論み夢を叶えようと本気で考えていたが、親の反対や金銭的な理由をもとに、最後は自分の弱さで選択せず、好きなことを突き通さなかったことをこの10年ずっと後悔していた。好きなことを仕事にしてみるという選択をして、その思いは少しずつ成仏しつつある。
別の大学のアメフト部で、同じ学年でトレーナーをしていた友人がいた。彼は卒業後にアメリカ留学し、アスレッチックトレーナーの夢を叶えた人で、シアトルマリナーズのマイナーリーグで働いていた経験もあるそうだ。
「正解が何なのか探す人生ではなく、今その瞬間にこれだ!これがやりたい!と思って選んだ道がその時点で最高の決断。自分にとってそれがいい選択だったのかは、その後の人生の歩み方次第」
先日、あのころの私のような学生に講演会をした際に最後に伝えたメッセージだ。
後悔先立たず。自分の心の声を覆い隠さず、動いてみるのである。