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【本のあるところ ajiro】『アンダイング』(里山社)刊行記念トークイベント 「病を「アンダイング」な者として書くこと/地方で知の場を開くことーその断章的実践について」


アン・ボイヤー 著/西山敦子 訳『アンダイング––病を生きる女たちと生きのびられなかった女たちに捧ぐ抵抗の詩学』(里山社)

西山敦子×逆卷しとね『アンダイング』(里山社)刊行記念トークイベント
「病を「アンダイング」な者として書くこと/地方で知の場を開くことーその断章的実践について」

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41歳でトリプルネガティブ乳がんになった詩人、アン・ボイヤー『アンダイング––病を生きる女たちと生きのびられなかった女たちに捧ぐ抵抗の詩学』(里山社)は、詩人らしい言葉の運びでジェンダー化された病である乳がんを綴ったエッセイだ。ケイト・ザンブレノ『ヒロインズ』の翻訳でも知られ、かねてからボイヤーの詩のファンだった西山敦子は、著者にとっても挑戦だったであろう本書の翻訳は悩み多き作業だったと語る。また、昨年直腸がん手術後の病床でダナ・ハラウェイ関連の翻訳をしていた逆卷しとねは、本書に、病から得る断章的感覚と病に対する物語的思考を両立させる困難と、死んだ者たちを含まないがんサバイバー闘病記とは一線を画す、生死では二分しないアンダイングの語りの境地を読む。

「苦痛とは、病気それ自体についてのものだけではなく、病気について書かれたことや書かれなかったことについて、またはそれについて書くべきか書かざるべきかについて、あるいはいかに書くべきだったかについてにまで及ぶ。乳がんは、それ自体が形式を乱す問いとして現れる病気なのだ」

『アンダイング––病を生きる女たちと生きのびられなかった女たちに捧ぐ抵抗の詩学』(里山社)より

 
それぞれ、静岡県三島、福岡県北九州という地方都市で、翻訳という広い視座を必要とする知的作業に携わりつつ、インディペンデントに学び集う場を開く二人が、本書の魅力とともに、知的活動を「断章」的に展開することの醍醐味を語る。
 

西山敦子×逆卷しとね『アンダイング』(里山社)刊行記念トークイベント
「病を「アンダイング」な者として書くこと/地方で知の場を開くことーその断章的実践について」

・日時
9月7日19:30~21:00(開場19:00)

・出演

西山敦子(『アンダイング』訳者)
逆卷しとね
(学術運動家/野良研究者)

司会進行:清田麻衣子(里山社代表)

会場:本のあるところajiro(中央区天神3-6-8-1B)

・参加方法:会場参加 or ライブ配信

・チケット:会場・配信ともに1500円 
配信方法:YouTube(2週間アーカイブ付)

・お申込:①会場参加チケット
                    ②
ライブ配信チケット
                    ③
書籍付きライブ配信チケット

・主催:書肆侃侃房
・お問い合わせ:ajirobooks@gmail.com(担当:倉本)
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 【登壇者プロフィール】

西山敦子(にしやま・あつこ)
1978 年生まれ。『アンダイング』訳者。静岡県三島市で「詩を持ち寄る日」「手を動かす日」などの集まりを開催するオルタナティブスペースCRY IN PUBLIC を共同運営し、2018 年、みずから主宰する出版レーベルC.I.P Books より、ケイト・ザンブレノ著『ヒロインズ』を翻訳、刊行。その他訳書に『ヴァレンシア・ストリート』(太田出版)、映画字幕翻訳に『ザ・フューチャー』(ミランダ・ジュライ監督)など。オードリ・ロードの著作集とブラックフェミニスト集団コンバヒーリバー・コレクティヴ関連書の翻訳出版を予定する「Political Feelings Collective」のメンバーでもある。
 
 

逆卷しとね(さかまき・しとね)
1978年生。学術運動家/野良研究者。連載に「自由と不自由のあいだーー拘束をめぐる身体論」(https://ikinobirubooks.jp/series/sakamaki-shitone/87/)。論考に「怪文書のススメ」(『ユリイカ』 2023年7月号奇書の世界 187-200)など。翻訳にマイケル・ハッドフィールド+ダナ・ハラウェイ「樹上性マイマイ宣言」(『思想』2022年10月号「マルチスピーシーズ人類学」  49-81/ 同11月号「環境人文学」139-59)など。
(著者近影撮影:円香)

アン・ボイヤー 著/西山敦子 訳『アンダイング––病を生きる女たちと生きのびられなかった女たちに捧ぐ抵抗の詩学』(里山社)

「死んだ女性たちからなる反乱軍をこの世に生き返らせたかった。」


シングルマザーであり、大学で教えながら詩人として活動する著者は、41歳のときトリプルネガティブ乳がんと診断された。著者は自らが経験したことを書きながら、スーザン・ソンタグ、オードリ・ロード、キャシー・アッカーなど、乳がんで命を落とした女性作家らが乳がんをいかに「書いたか/書けなかったのか」という歩みを辿り、米国の資本主義医療の欺瞞を突く。2020年ピュリッツァー賞受賞作。

ケイト・ザンブレノ『ヒロインズ』で高い評価を得た訳者、西山敦子による待望の著者初邦訳!

「病気は決して中立的なものではない。
 治療はイデオロギーと無縁ではありえない。
 死が政治性を免れることもない」

新田啓子氏、絶賛!
アンダイングとは、不死身ではない我々への呼びかけであり、命を落とした人々への哀悼でもある。がん医療の実際と病を語り伝える人間の不屈さを綴る本書を前に、私自身の人生観が静かに変わる。

◎目次◎
プロローグ
お告げと診断
パビリオンの誕生
病床にて
預言はどうなった?
欺瞞
ジュリエッタ・マシーナの涙の神殿にて
消耗した生
デスウォッチ
エピローグ そして 私を救ったもの
謝辞
訳者あとがき

【著者プロフィール】
アン・ボイヤー

詩人・エッセイスト。2018 年現代芸術財団のサイ・トゥオンブリー賞(詩部門)の初代受賞者となり、同年にホワイティング賞(ノンフィクション/詩部門)を受賞。著作に『裏切られた運命のハンドブック』があるほか、2016 年ファイヤークラッカー賞を受賞した『女性に抗する衣服』などの詩集を刊行(いずれも未邦訳)。本書で2020 年ピュリッツァー賞(一般ノンフィクション部門)受賞。2011 年からカンザスシティ美術大学で教えている。ミズーリ州カンザスシティ在住。


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