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「松山家」~第三章~(松山一族物語)

幸乃の変身

そしてもう一人。
今や墨辰の最愛の女・幸乃は醜い巨体にみるみる変化した。
谷底より這い上がったその姿は、鳥にあらず魚にあらず獣のようでもなく。
真におぞましい未知なる生物となった。
燃え盛る炎に照らされて粘液に覆われた銀の鱗が光る。
真っ赤に引き裂けた口から無数の牙が並び、
爛々と輝く瞳が宝玉のように輝く。
これこそが幸乃の持つ力の一つ、妖魔の姿だった。
「化け物め!!」
同じくその場に集まっていた落ち武者狩りの農民達は
鎌や竹槍を武器に雪乃へ立ち向かう。

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ナニハトモアレ世知辛い時代でございましてねぇ。拙者の思想妄想幻想世界の具現化にも先立つモノをお許しください。ここで頂きましたサポートは全て当一座の舞台への糧となります。「オダイハミテノオカエリニ」ササ、オキモチテイドデモ、ドウゾドウゾ