語り:松山勘十郎、構成:佐野和哉
座長・松山勘十郎が率いる大衆プロレス松山座。その源流となった異世界の存在「松山家」。松山座を彩る怪優奇優達、松山勘十郎の思想世界のルーツに初めて…
¥2,800
- 運営しているクリエイター
記事一覧
「松山家」~第三章~(松山一族物語)
幸乃の変身そしてもう一人。
今や墨辰の最愛の女・幸乃は醜い巨体にみるみる変化した。
谷底より這い上がったその姿は、鳥にあらず魚にあらず獣のようでもなく。
真におぞましい未知なる生物となった。
燃え盛る炎に照らされて粘液に覆われた銀の鱗が光る。
真っ赤に引き裂けた口から無数の牙が並び、
爛々と輝く瞳が宝玉のように輝く。
これこそが幸乃の持つ力の一つ、妖魔の姿だった。
「化け物め!!」
同じくその場に
「松山家」~第一章~(松山一族物語)
「拙者自身も知らなかった事、知っているつもりでしかなかった事、
知ろうとすらしていなかった事。
思わぬ時に訪れる新たな発見、繰り返す歴史の積重と修正、
それに伴う記憶の再構築。
虚構と夢、現実と真、鏡合わせ、隣り合わせ。
二面性の狭間にある異世界は拙者の存在自体がその証明。
その中でまた分裂と結合が繰り返され幾層にも成る。
夢幻は即ち無限なのだ」
大衆プロレス松山座・座長
松山勘十郎