「美魔女」は意外と年相応!? 12年かけて世の中に浸透したもの。【年齢】マンゴーの場合。


突然ですが、お聞きします。
あなたは、実年齢より若く見らえるとうれしいですか?
正直どう?

「いや、私年相応のきれいさがいいっていうか……(もじもじ)」
というアナタ、言ってしまっていいですよ。

若く見られるの、デラうれしいって。


完熟5のメンバーでお題をだしあって書くからには、来ると思ってました、テーマ「年齢」。
さあ、何を書いていきましょう?

脳内の大草原に舞い降りたるは数々のパワーワード。
エイジズム、ルッキズム、セックスとジェンダー、日本の儒教、若見え、選ばれる女、選ぶ女、年の差カップル、若見え……。

勘のいい方ならもう上記のワードで、「何度も見聞きし、お腹いっぱい」と思うでしょう。
マンゴーもこれらをまとめようとすると来年になるので、逃げます。

そこで「美魔女」という一昔前の、功罪ある概念をひっぱりだし、美魔女が何を変えたのか、そしてアラサーからアラフォーとなった生きるサンプル、マンゴーが、女の年齢まわりに対する気持ちを同時に追ってみたいと思います。


美魔女ブームは、「舐めんな返り咲き祭」。


Wikipediaによると、「美魔女」という造語は2008年、今から12年前に光文社の『美ストーリー』の誌面にてデビューを飾っています。


“「年齢という言葉が無意味なほどの輝いた容姿」「経験を積み重ねて磨かれた内面の美しさ」「いつまでも美を追求し続ける好奇心と向上心」「美しさが自己満足にならない社交性」という条件を備えた"エイジレスビューティー"な女性を「美魔女」と定義している”


当時の編集長は、誌面での盛り上がりを察知して、実際に「国民的美魔女コンテスト」なるものを開催。35歳以上の女性たちが水着(!)やドレス姿となってエイジレスな美を競う様子がメディアで取り上げられると、密着レポなどのTV番組も次々登場。お茶の間を巻き込んだ社会現象となりました。

これにより、計測しにくい内面の成熟や知性はスルーされ、1秒でわかる「外見」での判定がおおっぴらに解禁となったように思います。

それまでの「女性に年齢を聞くのは失礼」という不文律は消え、「ぱっと見、年齢より上か下か」というミもフタもなさで、妙齢の女性をジャッジしていく。一般のわれわれも、それに罪悪感がなくなっていったのではないでしょうか。

実年齢より若く見える女性を「おどろくほど若く見える」として「すごいですね~」「キレイですね~」と鑑賞して褒めそやす「容姿褒めプレイ」が是として定着。

ちょっときれいな35歳を見つければ「え、20代かと思った! 美魔女ですね~」。オシャレな40歳子持ちを見たらば「お子さんいるんですかー!? そう見えない~美魔女~」。これらが、ちゅうちょなく、善良なみなさまの「女性褒め辞典」にインストールされたというわけです。
あのころ、悪気なくやってませんでした? 
マンゴーは言いまくってきましたよ……。

そして大流行した事象には、必ずアンチの方々も湧いてきます。美魔女をもてはやしたのはメディアですがが、美魔女である本人たちに批判的な意見も多かった。

「ババアが若い子と張り合ってイタい」
「いつまでも容姿に固執していて幼稚」
「年相応でなく恥ずかしい」

などなど。

アンチの方々は、古き良き「昭和のかっぽう着母さん」を心に住まわせている男性や、美魔女に憧れつつも自分はふっきれない同年代の女性が多かったのかもしれません。

だって「年相応ではない」の年相応とはどういうことでしょう。
手塚治虫大先生が描いた「昭和前期の40歳観」をもとにして判断しているのかな(以下引用)。

画像1

(令和の男女はこの8がけの内面容姿ですかね? 40歳は上記の32歳に相当)


さて、この賛否巻き起こした美魔女という存在、アンチの方々がいうように、若い子と張り合うために若作りをしたのでしょうか。

私は違うと思いたい。
熟女たちの「舐めんじゃねえコノヤロウ!返り咲いてやる!」というヤンキー根性が祭りとなって開花したものだと捉えています。

彼女たちはいわゆるバブル世代、ヤンキー「舐め猫」世代であり、10代20代に「若さ」をはじけさせて、「ブイブイいわせていた」方々。
本命のほかに送り迎えをしてくれるアッシー君、ご飯を奢ってくれるメッシー君がいて、トレンディドラマを地でいく青春をガッツリ謳歌したことでしょう。

それが、結婚して子どもを生んだら、あら不思議。
子どもと家庭に滅私奉公する「お母さんらしい振る舞い」を求められ、気づけば人生の主役は子どもの「オバさん」になっていた……。
(BGMは森高千里の「私がオバさんになっても」)

平安時代の稀代のモテ女、小野小町も容姿の衰えを嘆いて歌を詠むのだから、誰もが自分を振り返り、失われた若さに想いを馳せることは1000年前から「自然」だとしましょう。美魔女予備軍の彼女たちも、鏡をみて愕然としたこともあったと思う。

しかし、わざわざ美魔女となってメディアに名乗りをあげたのは、自分の衰えに躍起になったのではなく、ましてや若い子と張り合うためでもなく、「子どもを生んだらババア」「生殖を終えたら用無し」「メッシーくんもアッシーくんも寄ってこない」状態、すなわちこれまでの日本のステレオタイプな「30代後半=ババア観」をぶち壊すために、文字通り、ひとはだ脱いだのでは?と思うのです。

子どもが手を離れたころ、もういちど羽のついた扇子を握り直し、ひと華咲かせようとお立ち台へと登る……自身の「容姿」がエンタメ化されようとも。
(BGM はジュリアナ東京 ♪チャンチャンチャン、チャララチャンチャンッ~ )

まあ、ここまで大げさではないにしても、公共に半裸をさらす水着審査もいとわないことから、手のひらを返したようにババア扱いする世の中へ一矢報いたかったという気持ちがあったのではないでしょうか。

そして、忘れちゃならないのが、彼女たちのファビュラスな容姿は、ストイックな運動と食事制限を長期間経て、ようやく手に入るということです。
ゴールを目指してトレーニングを重ねるその姿はまさにアスリート。アラサーだった私は、なりふり構わず美容に一直線な彼女たちを見て、勇気さえもらい、未来は明るい、とさえ思いました。

一方、美魔女アンチの方々は、そこに焦りを見たとも言えましょう。
おとなしく「終わったババア」でいてほしかった存在が、努力を重ねて容姿をさらけ出し、「これからだオラア!」と主張しだしたことが気に食わない。「美魔女はきもちわるい、年相応でなく不自然だ」となぜ言うのか? 「アラフォー女性はこきたなくて当然」という刷り込みに支配されているからですよね。



美魔女騒動がもたらした功罪

さて、世の中に一矢報いたいアラフォー女性たちが注目を浴びたことによって、私たちの生活にどんな影響が出てきたのでしょうか。

以前よりメディアが騒ぎ立てないのは流行が過ぎ去ったからだと思いますが、もうひとつ重大な理由があると思います。
こちら6年前、2014年時の「第五回国民的美魔女コンテスト」グランプリの記事↓

わたくし、まことに僭越ながら、こう思ってしまったのです。
「うん、年相応のきれいな方々だ」と。

美魔女たちの隣にいたらマンゴーは「スッポン」となり下がるとは存じております。が、修正なし、美容用ライトなしの苛酷な状況で撮影されているのでしょう、きれいとは思っても「若い」とは思わなかった。

もっといえば、保育園で会うお母さんたちや友人たちはこんな感じに近い。現在の40代ママ(首都圏、就業クラスタ)は、当時の美魔女とそこまで大差ないかもしれん。
すなわち、ここ12年(6年)で一般的な容姿レベルがぐんぐん上昇してしまったんじゃないでしょうか。

ちなみに同級生の元男子、現在3児の父(41)はこう申しておりました。
『保育園のママたち、色っぽくていいにおいがするし、ドキドキしてやべえ』。大丈夫か、おとーさん、そこキャバクラじゃないぞ。

マンゴーの飲み友達、おない年のAさんにかぎっては、美魔女すぎて、私が隣に並ぶと毎回、15歳差くらいの公開処刑になります。姉妹に間違われたこともある(ギリギリ娘ではない)。今は慣れたけど、出会ったころはびっくりしたさ。永作博美と同種のDNAをお持ちなのでしょうね。

話を戻します。
現在のアラフォー母の容姿が美魔女に近いのは、12年前のパイセンたちが「母になってもブイブイいわせてOKよ!」と荒野にアスファルトを敷きつめてくれた功のおかげであり、逆をいえば「容姿を整えないと悪目立ちするわよ」という罪にもなっています。

でもそれらを指しい引いても、マンゴ―が得たギフトは、
「中年になっても打ち込めることを見つけて生きがいにしていい。まわりの目は気にするな」というメッセージなのです。

人生、そろそろ折り返すぞというこの年になって思うのは、
「何か熱中するものが欲しい」ということ。

家族のいるアラフォーともなれば、思い通りにいかない毎日がまさに日常茶飯事。だからくすみがちな日常に華となる存在が欲しい。
推しのいる生活でもいい。
ドラマやゲームというコンテンツでもいい。
「これやってれば、幸せ♡」というものがあれば生活にハリが出ます。

彼女たちにとって、熱中するものは自らの容姿であっただけ。ましてや彼女たたちは誰も攻撃していません。

私も何か打ち込めるものを見つけられたらいいなと思うのです。

マンゴーも実際に言われて思ったこと。

さて、美魔女の心意気に勇気づけられたマンゴーですが、私もこんなふうに言われたことがあります。

「2児の母に見えない」。
所帯じみてない、こぎれいにしているね、という「女性褒め辞典」における鉄板セリフのつもりなのだろうが、ちょっと待て。これはザラだ。
メンがヘラっている私としては、その「アラフォー2児の母、オワコン」という古い前提をアップロードしていただきたい。

と同時に、反対のことをいうようですが、「アラフォー母は疲れている。」と腹の底から認識して欲しいのだ。
出産の高齢化により、40歳でも子どもは未就学児という家庭はザラ。
あのね、ちびっこの子育て、めっちゃライザップだから。
寝られない、座れない、黙れない。全集中の呼吸を途切れさせられないから!(『鬼滅の刃』参照)

だから、褒めるならこう言ってもらえると大変ありがたい。

「素敵ですね
(二児の母=ライザップの生活のなか、見た目の維持には努力が必要なんじゃないですか?マルチタスクにあなたの美容も入ってるんですか?入ってなくてもボク的にはアリよりのアリです。根性ありますね、そこがいいです、おつかれさまです)」

言えないことが多いこんな世の中はかっこでくくり、言えることだけざっくりでいい。

素敵ですね。

これをちょうだい、マスター。

私はもし、もう一度、彼に会えたらそう伝えたい。
池袋の居酒屋でベロベロに酔って私の連絡先を聞いてきた26歳男子よ、「いや、40歳!? は!? お母さん? ありえないって……こんなピアスして……ないない」って言ってた元カノが32歳のキミな。
心の声をダダモレにせず、ひとこと「素敵ですね」ですませてみよう。
その方がスマートでこっちはいい気分になれるゾ!

あと新橋を歩いていたら「おねーさんたち、何歳?」って聞いてきた自称「28歳はウソで32歳です!ガハハ」君な。
「おねーさん何歳?30歳?ねえねえ」「おしえてよー35歳??」「もしかして……40歳いってる……?」って言われたからうなずいたら、「うええええ~~ありえねえええ」って1000円札握らせてこようとしたの、なんなん!? 

散ってほしくて言ったけど「子どもいますよ」って聞いた瞬間、走って逃げて行ったの何なん?

思えば私と友人(共に40歳)をみて年齢の賭けをしていたのだな。
そして、お母さんにちょっかい出してしまった自己嫌悪に陥ったんですね。
褒めるどうこうの前に、きみたち、人の容姿をエンタメ化して金を渡したらあかん!
その価値観、ヘブンズドアで書き換えたい。
(『ジョジョの奇妙な冒険 第5部参照』)


ヤバめなことと、対策を考えてみる。

さて、お気づきでしょうか。
美魔女まわりの一件、現代感覚を持ち合わせたZ世代さんが読んだら「12年前ってヤベー時代だな!」と思われるでしょう。
昭和生まれの私たちも、そのあたりをもう一度考えて、これからどうしていけばいいのか考えてみたいと思います。
(私が気付いていないところもヨコヤリをいただけると幸いです)。

・美魔女の定義に内面の美しさをうたっているが、「国民的美魔女コンテスト」は私服、水着、ドレス、の外見勝負。
→定義を変えるか、美魔女というワードを変更する。「外見の美しさを武器に社会貢献する集団」など。

・水着姿を評価するという、ルッキズム審査。
→筋肉量審査へ(笑)。
または「自分が一番ステキにみえる容姿」のプレゼン。

・「子どもがいるように見えない」という褒め言葉の裏を返すとあらわれる「35歳以上、子持ち女の外見は惨事である」という一般認識。
→子育てにひと段落むかえると容姿は復活することを広めたい。

・個人の充足を探求するアスリート(美魔女)を上から目線でdisる人々。
→彼女たちは美容オタク。オタクの世界に口出しは無用。自分の人生に集中して、熱中できる何かをみつけてみては?

・メディアも一般ピーポーも、みんなそろって容姿をエンタメ化し、ジャッジすることに慣れてしまったこと。
→海外では容姿を褒めても批判されるとのこと。人の容姿にアレコレ思うのはアリだと思うが、それを言わなくていい。 自分がやられるとけっこうイヤなもの。

私も白状すると、当時、美容系商材のコピーをかいており、「〇歳!?信じられない。若く見える!」的な思考停止文言を量産していました。
妙齢の女性にとってはコレが言われて一番うれしい言葉だと疑っていませんでした……すみません、お恥ずかしい限りです(土下座)。今なら違うインサイトへ向けて書けます。


白状ついでに、冒頭の質問に対して答えます。
マンゴーは若く見られると、そりゃうれしい。です。

若々しい≒イキイキしている≒生命エネルギーが活発な生命個体だと思われる。それって、うれしい。

でも、「ちょ、オレが思ってたよりワケー!www」とジャッジされ、容姿をエンタメ化はされたくない。

だから、もう容姿を切り取ってジャッジすることをまるごとやめてはいかがかな。容姿のみを褒めることもいらん。ただ、そこへ至る背景も鑑みて、


「あなたという存在自体が、私にとって良い!」
と大きな愛でたたえてほしい。


……これ、メンヘラ&高望みしすぎですか?


0829マンゴー

(今回、すごく難しかったです……)



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