最悪な一日が最高の一日に変わった時に学んだこと。
自転車通勤を始めて半年が過ぎた。
ある日、いつも通りに仕事を終えたあと自転車置き場へ向かうと、自転車が風で数台倒れていた。
そのうちの一台が私の自転車だった。
ああ、最悪だな、もう。
心の中で悪態をつき、自転車を端からおこしていこうとすると、仕事を終え、自転車で帰ろうとやって来た女性が、何も言わず、一緒に自転車を起こすのを手伝ってくれた。
すごく嬉しくなって、おこし終えた後、「ありがとうございました!」と言うと笑顔で何もなかったかのように去って行った。
彼女の自転車は倒れていなかったのに、何も言わずおこすのを手伝ってくれたのだ。
私はその日の帰り、うきうきした気持ちでいっぱいになりながら自転車を漕いだ。
最悪な一日が最高の一日に変わったのだ。
人から受ける行動によって、こんなにも気持ちが良くなるなんてすごいなと感動した。
ということは、逆に私の行動ひとつでたまたま出会った人が、最高の一日になることも可能だということかもしれないということに気付く。
普段からエレベーターのボタンの前に立つと、ボダン押し役になり最後に出るようにしている。
いつも行くスーパーでは私のような人ばかりで、「 どうぞ」「ありがとうございます」 と、みんながみんな、どちらの人にもなれるような関係だ。いつも本当に気持ちが良いし、私の街っていい街だなとふと思うのだ。
交通安全に関わる仕事をしているが、そこでも、「自分が優しさのはじまりになる」ということがとても大切だ。
例えば、道をゆずる。ゆずられた方は嬉しくなる。嬉しい顔を見てまた道をゆずる。そしてゆずられた方も今度は違う人に道をゆずる。優しさの連鎖が倍速で広がっていく。
少しの思いやりや優しさが循環し、やがてはみんなが優しさに満ちた世の中になれば、交通事故も減るだろうし、今日何も良いことがなかったという人も希望が持てるようになるんじゃないか。
ほんの小さな優しさが、優しさをつないでいく。そんな世の中になるように、私は今日も小さな優しさをつなぐ。