「さわやか」が季語と知って一句
風さやか行きかう人の頬に笑み
「さわやか」が秋の季語と知ったのは一昨年の10月。とある朝、テレビの番組で林修先生が解説していました。なお、林先生は「なるべく秋以外に”さわやか”を使わないようにしている」とのこと。
自分でも調べてみると……。
「さわやか」が季語とは驚きましたが、歳時記の見返しに折り込まれたカバーには「秋の到来は目に見えない風の変化から始まる」とあり、秋めいた風に心さっぱりしてきた自分がちょっと誇らしくもあります。
それからは、秋でなくても、耳にはいってくる風の音までもが心地よい日などは「さわやかな風」で一句詠んでみたいという気持ちが高まり――。
秋風のさわやかな様子をいう「風爽か(かぜさやか)」という季語があることも知って、「あとは残り12文字をどうしようか」というときに――。
こんなことがありました。
お得意の青い手帳には自分の感情は滅多に書かない一方、LINEのKeepメモには備忘録をはじめ、思いついたことをメモするのに時々使用しています。
最近の記事でも紹介した『楽しむ!フォト五七五入門』の中にも、「ふとその場で感じた印象的な言葉=キーワードやフレーズが頭に浮かぶことがあります。そんなときは後で後悔しないよう、ちゃんとメモをしておくことが肝心です」とあります。
形から入りたがる私は、ちょっと風流に、手のひらサイズのメモ帳にさらさらと走り書きしたいところ、ついつい手軽なスマホ機能に頼っていますが、たいがいは「イトトンボかわいい」だとか「タイトル候補:感受性の免疫」だとか、そんな感じの一行です。
ですから、上記のような数行にも及ぶメッセージを入力したということは、「この嬉しい気持ちをなんとか残したい」という並々ならぬ決意表明だったと思います。
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このように、自分だけが見られるKeepメモは、メッセージを送る感覚でメモできる点が私のお気に入りポイントですが、この記事を作成するにあたり、いま一度Keepメモを振り返ってみたところ――。
”サガンの「ある微笑」を読んでいて見つけたフレーズを胸にしまう”なる一文を発見するも、肝心のフレーズが思い出せず悶々としています。
奇しくも本のタイトルが、今回の作句のうえで”ひらめき”となった「微笑み」と重なるだけに尚更に……。
メモ帳ならば、書き込むところを開くたびにページをめくるなど、折に触れて読み返すこともありますが、Keepメモの場合、送信した後に、都度、読み返すことがないために生じた”悶々”。
日々思考は変化するため、今、サガンの『ある微笑』を再読したとろで、同じフレーズに感動できるかは疑問であり、そもそも覚えていないのですから、同じもなにも比べようがありません。
そんなトホホな経験もふまえて心に浮かぶのは、「感動が冷めないうちに一句詠めて良かった!」という安堵感です。
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お読みくださり、ありがとうございました。
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