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レベルデザイナーの必読書『ゲームデザイナーのための空間設計歴史的建造物から学ぶレベルデザイン』

こんにちは! かにまろです。

レベルデザインを学びたくて、職場の人に借りた本がめちゃくちゃ面白かったのでご紹介いたします!

求められるレベルってゲームによって違いますし、体系的に学ぶのは難しいですよね。

「ゲームのマップを作りたいけど、何に気をつけたらいいんだろう」
「報酬設計ってどう考えたらいいんだろう」
「レベルデザインについて他のゲームを参考にするときに、どういうところを見たらいいんだろう」

この本は、そんな方々の参考になること間違いなしなので、ご参考までに。



レベルデザイナー必携の本がコチラ!

『ゲームデザイナーのための空間設計歴史的建造物から学ぶレベルデザイン』

めっちゃ高いです。私は借りたので買ってはいません。

でも、買おうかどうかめちゃくちゃ悩むくらいには満足度が高いです。値段分の分厚さですし、何より内容がめちゃくちゃ濃く「レベルデザインをするときは手元に持っておきたいなぁ」と思います。

内容をチラ見せ!

過去の建築物の例

レベルデザインというと、コンシューマーゲームではマップ設計を含むことが多いと思います。

マップ設計において、学ぶべき対象はゲームだけではありません。実際の建造物から得られることもたくさんあります。

例えば、古代メソポタミア文明にはジッグラドという神殿があります。
この神殿は高い位置に作られているので、長い階段を上らなくてはならないのですが、なぜそんな作りにしたのでしょうか?

それは、少しでも神のいる天に近づくため。そして、シュメール人の故郷の山を想起させるため

他にも、ピラミッドはなぜあんな形をしているのかや、パルテノン神殿の建物配置の効果等、実際の建物から学べるポイントが列挙されています。

これらを知っておけば、神殿をデザインするときに何を意識すればいいかわかりますし、世界観を建物で表現する手法の引き出しを増やすことができます。

何より、建物の形には理由があると気づく第一歩になります。

絵作り

ゲームの話に戻って、本では印象的な画面を作る手法が紹介されています。

例えば、道がわからなくなりそうな場面では、目的地を明るくして誘導したりシンボルを使って道を示したり……

印象的な風景を作りたいときに、前景を使って背景が額縁に入っているかのように表現したり……

三分割法を用いて、画面を縦横に三分割した分割線に沿ってオブジェクトを配置したり……

ゲームの絵を作るにあたって知っておいたほうが良い手法が、本書でいくつも紹介されています。

報酬

レベルデザインでは、マップを作るだけでなく報酬配置も意識しなくてはなりません。

報酬にはどんなものがあるか、この本では余すことなく紹介されています。

  • 名誉の報酬
    チャレンジを乗り越えたり、勝利することで得られる達成感。

  • 生命維持の報酬
    ライフや銃弾等のアイテムのように、アバターを維持するための報酬。

  • アクセスの報酬
    行けなかったエリアに行けるようになるアイテム等。 鍵の他、コンセプトアートを見る権利等のゲーム外情報へのアクセスも含む。

  • 能力の報酬
    プレイヤーの能力拡張。

  • 報酬の景色
    戦闘の合間に、ふと足を止めて休憩するような景勝地や、 迷路突破報酬としての美しい景色。

  • 瞑想的な空間
    くつろいで休憩できる空間。

などなど、全てはここに書きませんが「そっか、それも報酬か🤔」と改めて意識したものがいくつもありました。報酬というと真っ先にアイテムを思い浮かべがちですが、「プレイヤーが緊張が解けてホッとできる瞑想的な空間」のようなものも報酬になるという考えは眼からうろこでした。

そのほかにも……

これだけでなく、

  • カメラ視点の選び方やユーザーに与える印象

  • レベルデザインを通したストーリーテリング

  • レベルをつなぐワールドデザイン

  • プレイヤーの交流を生むMMOのレベルデザイン

  • サウンドによるレベルデザイン

などなど、レベルデザインにまつわるありとあらゆる事例や手法が紹介されています。

この本を読むことで、具体的なレベルデザインの手法を学べるだけでなく、レベルデザインで意識すべきポイントや概念を知り、既存作品や実際の建物の見方も身に着けられます。

レベルデザインを学ぶ方法がない!

以前、レベルデザインを学ぼうと思い、職場の40歳以上のベテランに「どうやってレベルデザインを学びましたか!?」と聞いて回ったことがあります。

答えは皆さん同じ、独学でした。レベルデザインの教材はそう多くありません。他のゲームや先輩方からまねび、経験を積み重ねて今の技術を身につけられたようです。

では、今の我々はどうするべきか。
見様見真似で頑張るか、ベテランに教えを乞うか。

選択肢がない中、この本はレベルデザインについて体系的に教えてくれるめちゃくちゃ貴重な本です。

本気でレベルデザインに取り組みたい方は、ぜひご一読くださいませ。きっとゲーム制作の役に立つと思います。

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かにまろ|ゲーム開発
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