編集者目線から「ライトノベル」を分野別に考える 【文庫ライトノベル編】
僕はマイストリートという編集プロダクションに務めていて、毎年『このライトノベルがすごい!』という書籍を編集しています。ライトノベルについてはなるべく包括的に状況を見るようにしているのですが、こちらの記事でも書いたように、2010年代からはWeb発のライトノベルの隆盛と、別分野としてライト文芸・キャラ小説も爆発的に増えてきたことで、広義の“ライトノベル”というものをしっかりと追うことが難しくなってきています。
とはいえ、編集者という人間は作品を読んだときに、「自分が関わっているレーベルからの出版に向いているものなのか」、「約半年後以降(刊行される時期)に広く受け入れられる設定・内容なのか」、ということを考えています。
そして、「作者がどういった意図を持って書いているのか」「どういった読者がこれを喜び、受け入れてくれるのか」といったターゲット読者についても考えていきます。
これは個人的な意見ではありますが、僕が考える広義の“ライトノベル”をいくつかの分野に分けながらそれぞれの印象をまとめていきます。
分野は大きく分けて
①既存の文庫ライトノベル
②Web発新興ライトノベル
③ライト文芸・キャラ文芸
④その他の分野(少女小説・ポルノ系)
というように書いていければと思います。
■既存の文庫ライトノベル
電撃文庫やファンタジア文庫、GA文庫、ガガガ文庫などの文庫判ライトノベルレーベルがこれにあたります。
最も古いスニーカー文庫やファンタジア文庫で30年以上の歴史を持ち、ライトノベルという言葉の誕生から、これまで続く流れを作ってきた存在です。
それ故にレーベルごとの特色があり、一概に言えないところが多いです。しかし現在の時点での大まかな傾向をまとめます。
ざっくり書くと
・中高生~大学生の男性が中心的な読者層である。
・キャラクターの個性や、物語・設定の奇抜性・新規性が求められる。
・多くの男性が“理想”とするシチュエーションが盛り込まれている。
・「学校が舞台」は鉄板の設定。ファンタジーでもラブコメでも。
となるでしょう。
ここからは2020年現在での状況を踏まえて詳しく解説していきます。
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