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会食恐怖症と嘔吐恐怖症に2年以上苦しんだのでまとめてみる

メンタルが不調な時、それはトラウマを抱えやすい時でもあると思います。

仕事のストレスから適応障害と診断されたことがある私ですが、適応障害回復後も、後遺症のように残り苦しんだのが会食恐怖症と嘔吐恐怖症でした。

当時の私の症状をまとめると、
・人前での食事ができない
・食べても喉を通らない、吐き気がひどい
・震えや冷や汗が止まらなくなる
・吐いたらどうしようという恐怖に支配される
・トイレに駆け込めない場所が苦痛
・吐き気があるのがデフォルト
といった状態でした。

本来楽しいはずの会食の場が、恐怖でしかなくなるのでQOLがダダ下がり。

私の場合嘔吐恐怖症も併発していたため、なんとか食べれたとしても、食後の吐き気が本当に苦痛でしかありませんでした。

もはや胃に物を入れることすら怖かったです。

ただ、今は2年半ほど経過し、波はありますが人との外食も完食できるようになってきましたし、
旅行先で食事のことを考えるのが楽しみの一つになるほど回復しました。

一種のトラウマでもあるこの症状について、発症から克服までの、私のこれまでをまとめてみたいと思います。

発症のきっかけは、メンタルが不安定な時の強い恐怖体験

メンタルが弱っていると、色んなものが不安対象になりませんか?

あんなこと言って嫌われたらどうしよう
怒られたらどうしよう
迷惑かけたらどうしよう

もともとHSPかつ人の目を気にしやすいタイプだった私は、異動で新しい職場に馴染めず、どんどん体調が悪くなっていました。

そんな矢先、事件が起こりました。

ある日の昼食後、会社で会議に参加していたのですが、お昼を食べすぎたせいもあって途中から気持ちが悪くなりました。

人目を気にする私は、退室することもできず、ただただ耐えていました。

だんだん気持ち悪さが増し、本当に吐きそうになった時、私は物凄い恐怖を味わいました。

ここで吐いたらどうしよう!!!!!

吐いた時の周りの表情が一瞬にして頭に浮かび、もうパニック状態でした。
吐いたら嫌われる、もうおしまいだ。
どうしよう、どうしよう、逃げられない....

まあ、今思うと普通に抜け出してトイレに行けばよかったのですが、もうその時すでにメンタルがおかしかったんですよね。途中で抜けるのもどう思われるんだろう...と全てが恐怖でした。

最終的に会議を耐えて吐くことはなかったのですが、
その時の恐怖が脳に強く残ってしまい、
次の日からお腹いっぱいの状態で、会議や人前にいるのが怖くなってしまいました。

きっかけは本当にささいなものだったのですが、それから良くなったり悪くなったりを繰り返し、気がついたら2年以上も経ってしまいました。

トラウマとは恐ろしいものですね。あくまで恐怖対象から身を守るための、防衛反応であることは確かなんですけどね。

間違った脳の認識を書き換えることはこんなに大変なものなのだと思い知らされました。

病院に行っても理解されない

結局、その恐怖を味わってから自分のメンタル状態がおかしいことに気づき、心療内科に行きました。

心療内科での診断は適応障害。

もともと職場からのストレスが大きかったので、1ヶ月休職し、別の職場へ異動させてもらいました。

異動先は幸いにも優しく受け入れてくれる方ばかりで、新しい仕事にも徐々に慣れていきました。

ただ食べることへの恐怖はずっと引きずっていました。

心療内科でも、何回か症状について相談はしましたが、あまり理解されませんでした。

「怖いなら食べなきゃいいじゃん」なんて、心無い事も言われ、抗不安薬を処方されるだけでした。

私はそれ以降病院に相談することを諦めてしまいました。

会食恐怖症に理解のある病院はたくさんあると思いますが、当時恐怖をかかえながらの生活にいっぱいいっぱいだったので、自分に合う病院を探すための時間と労力とが私にはありませんでした。

もう自力で治すしかない。
そう思いました。

幸か不幸かコロナが流行り出す

会食恐怖症の克服には、とにかく人前で食べる練習!ということで、新しい職場では、昼食はちゃんと人と食べてました。
といってもパン一個とか。
まあ、だいぶ周りに心配されましたね。

もともとお昼あんまり食べないタイプで〜とか上手くごまかして、なるべく会話に集中するようにしてました。

そんな中、コロナが本格的に流行り出し、会食の機会が激減。

私は内心ガッツポーズでした。無理に言い訳考えたり、食事会に付き合わなくて済むぞ!と。笑

社食も、仕切りで1人席に区切られ、外食練習にはちょうどよかったです。

ただ1人での外食練習はできても、人との会食の練習はなかなかできなかったので、症状としてはあまり改善しませんでした。

でもなるべく1人でも、周囲に人がいるところで食べるようにしていました。

残しても気にされないのがいい環境でした。
残す練習にもなりました。

家族や友人に練習に付き合ってもらう

家や1人ではなんとか食べれるようになっていたのですが、なかなか会食なると恐怖が強く、心が折れそうだったので、家族や身近な人に症状を打ち明けました。

やはり全ては理解されなかったです。
これはどうしてもなってみないと分からないものなので、全てを期待してはいけないんだと思います。

受け入れてもらえたことだけ感謝して、
なるべくその人たちと一緒にご飯を食べに行くようにしました。

会話しながらだと、気が付いたら食べ終わっているなんてことも多かったです。

ただ体調にも波があるので、ほとんど食べれない日ももちろんありました。その度にやっぱりもう治らないのかもしれない、と落ち込んでしまってつらかったです。

なるべく他の楽しみを見つけて、毎日を楽しく過ごすように心がけていました。

会食恐怖症の情報が少ない!

症状に悩んでいる時、情報源はネットか本でした。しかしなんと情報の少ないことか。

参考にしていたのは、日本会食恐怖症克服支援協会の山口健太さんの本です。

当時は会食恐怖症の本がある...!と感動したものです。
内容もまさに自分の症状が書いてあって共感しまくりでした。自分だけだと思っていた症状が、他に苦しんでいる人もいるんだと孤独感が薄れたのを覚えています。

この他にも、

実践型の本も読みました。
体験談もあり大変参考になります。

日本会食恐怖症克服支援協会では、会食恐怖症のなかでも嘔吐恐怖症の強い方に向けた克服プログラムも用意されていました。

私は実際にこちらに参加させていただきました。

3ヶ月間のメールによる克服プログラムで、沢山のことを学ばせてもらいました。毎回内容が充実していて大変ためになりました。

会食恐怖症になりやすいマインドや、
克服のための根本からの改善方法について教えてもらえます。
ネットでの情報には限界があるので、こういった情報はとても貴重でした。

抗不安薬から漢方薬へ

会食恐怖症を発症してから、最初は頓服として抗不安薬を使っていました。

しかし段々と依存傾向になってしまったので怖くなり、途中から漢方薬に変えました。

精神疾患も対応している漢方薬局があったので、
症状を話し、自分の体質に合ったものを調合してもらいました。

今は、不安感と吐き気に効く、半夏厚朴湯と柴胡桂枝乾姜湯を体質に合わせて調合したものを飲んでいます。

お値段は決してお安くはないですが、抗不安薬に頼るよりも安心感が違いますし、普段の体調もかなり良くなったので飲み続けています。

温かいお湯で飲むとホッとします。

もちろん抗不安薬で改善している方もいるのでらこれは人によると思います。
私の場合は漢方薬が合っていたみたいです。

コロナ明け、ご飯がおいしい...。克服への一歩

そんな状態でしばらく経った頃、ようやくコロナも落ち着き、緊急事態宣言が解除されます。

じわじわと会食の機会も増えてきました。
お酒の提供も再開した頃、久々に家族で焼肉に行きました。

その時びっくりしたのですが、お肉もごはんもお酒もめちゃくちゃ美味しく感じたんですよね。恐怖よりも美味いが勝ってました。

何年か振りくらいの感覚でした。

美味しく食べられている自分にも感動して、お腹いっぱいに食べました。
吐き気もほとんどなく、克服は近いかもしれない!と思いました。
なにより、これでこれからもっと美味しいものを食べに行ける...!と思い嬉しくなりました(食い意地)

それからは段々食べれることも増えました。
消えたと思っていた食欲も徐々に戻ってきました。

会食恐怖症になって辛かったですし、もう2度と初期の苦しみを味わいたくはないですが、会食恐怖症、嘔吐恐怖症になってよかったことは、
ご飯が食べれるようになった時、めちゃくちゃ美味しく感じること、でしょうか。

食べれることがこんなに幸せに感じるとは。

月並みですが、失って初めて、当たり前を幸せに感じるんですね...。

克服に繋がったと思うこと

約2年半。長かったような、短かったような。
もちろん今でも体調によって食べられない時もありますし、気持ち悪い時もあります。
食べられない時は堂々と残します。
残しますけど何か?という強さも身につけた気がします。

食後の電車も会議も正直怖いですが、ダメだったら途中で逃げよう、という諦めも生まれました。

きっと発症した時は、無理しすぎたんですよね。もっと自分に正直に生きてあげればよかった。

今の状態を克服と言えるのかは分からないですが、克服に繋がったと思うことをまとめておきます。

・とにかく外で食べる練習(段階を踏む)
・この人の前なら残せるという人と練習する
・行動を制限しない。怖いからよりも楽しいからを優先する
・不調な時は無理に食べない。周りに何を言われようとも残す(食欲がない状態で食べると余計具合悪くなるので...)
・食べれなくても幸せだな〜と思えるように楽しみを増やす。やりたいことをやる。
・すぐには治らないとある程度諦める。

人間、食べなくてもまあそれなりに生きていけるんですよ。
食べれなくても、やりたいことをやっていれば、食べれないこともどうでもよくなってきます。

ただ食事会という機会自体は避けられないので、言い訳や、気持ち悪くなった時の自分なりの対処法は考えておくと楽かもしれません。
最初は言いにくいですが、周りもああそういう人なんだなと思ってくれますから。

会食恐怖症や嘔吐恐怖症になる方は今まで沢山のことを我慢してきた人が多いのでは、と思います。
体からの危険信号だと思って、自分のやりたいこと、楽しいことを優先してほしいです。

あとはどうしても理解されず孤独な戦いになってしまうので、もっと早く仲間を見つけていたら克服も早かったかなと思いました。

仲間は同じ悩みを抱える人がいればベストですが、コロナ禍でなかなか出会えないので、
自分の周りで、この人となら食べれなくても大丈夫!と思える人を見つける。
どこかひとつでもいいので、安心できる環境を見つけてそこに身を置く。

あと、一緒に食べていて緊張する人は、たぶん会食恐怖症じゃなくても合わない人なので距離をおいた方がいいです。

会食恐怖症になってから学んだこと

周りの人って、自分が思うほど、残すことや少食であることを気にしていなかったみたいです。

ずっと人の目を気にしてきた私は、会食恐怖症、嘔吐恐怖症になってから、たくさんの自分の中の思い込みに気付きました。

そしてその思い込みにどれだけ縛られて生きてきたか。思い込みに怯えるあまり、完璧な自分を演じ続けていたんだなあと反省しました。

無理して苦しむより、ダメな自分を認めて楽しく生きるほうが、自然と周りも助けてくれたりするんですね。

なので克服への一歩はまず、
会食恐怖症、嘔吐恐怖症であることを認める(諦める?)こと、かもしれません。

今では段々と食べなくてもどこまで人生楽しめるか?!マインドになってきている気がします。

会食恐怖症になって辛い日々でしたが、このままではだめなんだ、と自分の生き方について考える貴重な時間だったのかもと思います。

まだまだ難しいですが、
これから他人の目や考えに左右される事なく、自分がやりたいと思うこと、好きなことを全力で楽しんでいきたいなと思っています。

そして最後に。
今回のこの私の経験が、同じような症状に苦しむ方たちのお役に立てたら嬉しいです。
お読みいただきありがとうございました。

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