29年の時を越えて今紹介したい 恋愛ドラマの金字塔「東京ラブストーリー」
「東京では誰もがラブストーリーの主人公になる」
1991年に放送されたドラマ「東京ラブストーリー」のキャッチコピー。
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新聞のテレビ欄を暗記するほどテレビ好きだった子ども時代。年末となればペンを片手に、観る特番と録画する特番の計画をたてウキウキが止まらなかった。
時代は変わり同時録画も当たり前になった今。
テレビ離れが進みドラマをヒットさせるのは容易ではなくなった。
記憶に新しいのは、昨年の「あなたの番です」ではないだろうか。
「おっさんずラブ」で一躍ときの人となった田中圭の起用もさることながら、様々な仕掛けが秀逸だった。
登場人物が多く、1話ごとに謎解きが進む。それでいて毎回パターン化された田中圭のしんみりシーンがあり、そのバックには田中圭が歌う挿入歌が流れる。しかも2クールに渡り放送され、番組のInstagram、Huluを絡めてサイドストーリーも配信。
恋愛模様を中心としていない複雑なストーリー展開。まさに今っぽいドラマだったと言える。
恋愛ドラマの金字塔「東京ラブストーリー」
そんな中、今年春。
恋愛ドラマの金字塔「東京ラブストーリー」が戻ってくる。
1991年に放送されたドラマが、29年もの時を経てなぜ再ドラマ化されるのか?
東ラブファンとしては、それはそれは楽しみで仕方ない。
時代背景があまりにも違うため、どんなリメイクがされるのか興味が集中する。
「あなたの番です」が仕掛け要素の多い視聴者巻き込み型の複雑化されたドラマだとすれば、「東京ラブストーリー」はザ王道の恋愛ドラマなわけだが、前者の複雑化したドラマがヒットするこの時代に、王道の恋愛ドラマがどうマッチしていくのか?
興味はそれだけじゃない。
「東京ラブストーリー」で描かれた数々の名シーンは、29年前だから成立したところが非常に大きい。
代表的なのは携帯電話がないこと。
気軽な通信手段がないことで広がる展開。それを2020年に落とし込んだらと想像するだけで興味深い。
こんなことを書くと、古くさいとか年齢がバレるぞとか、あれこれ言われそうだけど……そんなことはこの際どうでもいい。笑
別に言い訳ではないが、わたしでさえど真ん中世代ではない。当時、小学2年生の女子心は猛烈にやられた。今観ても色褪せないくらい大好きなドラマなのだ。
29年越しに再ドラマ化される不朽の名作「東京ラブストーリー」。
ぜひ初代版を知ってから現代版に突入してほしい。
「東京ラブストーリー」が「不朽の名作」と言われる3つの理由
まず、「東京ラブストーリー」が社会現象になったドラマであることを知ってほしい。その理由を3つ紹介していく。
1.月9ブームの火付け役
今や定着したパワーワード「月9」。その月9ブームの火付け役となったのが「東京ラブストーリー」である。
月9でおなじみの「ロングバケーション」「ラブジェネレーション」「やまとなでしこ」「HERO」よりもずっと前なのだ。
月曜9時になると街からOLが消えた
この言葉が生まれるほどの人気ぶり。
放送当時の1991年、一般家庭に録画機能は普及してたであろうことを考えると伝説のドラマと言えるだろう。
2. 主題歌のヒット
ドラマの主題歌、小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」が空前のヒット。
ギターカッティングから始まるイントロがとにかく特徴的でかっこいい。ドラマを知らない世代でもこの曲を知っている人は多いはず。
当時、ドラマの挿入歌といえば主題歌とは別の曲を使用することが多かったようだ。しかし、「ラブ・ストーリーは突然に」は挿入歌としても使われたのだ。この手法は以降量産されていくことになる。
ちなみに、挿入歌は主題歌「ラブ・ストーリーは突然に」の他にも数曲使われている。当時では珍しくサウンドトラックのCDが発売されるほど。後にこの手法も増えていく。
実は、18年後の2009年月9ドラマ「ブザービート〜崖っぷちのヒーロー〜」(山Pと北川景子主演)でも、同じ挿入歌が使われた。
ブザービートを見ていたわたしは、東ラブファンとして見逃さなかった。
このうれしい発見がきっかけで、新卒1年目のわたしは15近く歳の離れた職場の上司(しかも異性)にサウンドトラックのCDを貸してもらえた。これは東ラブの恩恵以外の何ものでもない。東ラブ恐るべし。
3.時代を越えた普遍的な人物像
織田裕二演じる永尾完治(カンチ)と鈴木保奈美演じる赤名リカ(リカ)。
カンチは、嘘をつけない真っ直ぐさと優しすぎるゆえ不器用なところがある。
リカは、明るく自由奔放で寂しがり屋な一面があり、愛情表現は真っ直ぐ。それゆえ周りからは勘違いされることも。帰国子女。
賛否あるだろうけど、いつの時代も王道なキャラクターじゃない?と思う。
ネタバレになってしまうかもしれないが、リカは恋愛より仕事を選択したとも捉えられる結末。ただのハッピーエンドではなく、凛とした女性像も今観ても色褪せない理由の1つかもしれない。
また、リカのファッションはプレッピースタイルやマリンスタイルが多い。他のキャストがバブルを感じるファッションの中、リカは見た目にも色あせることなく、いつ観ても美女は美女なのだ。
初代版の重要な要素
初代版「東京ラブストーリー」には、29年前だからこそ成立した要素がつまっている。
1.登場人物のシンプルさ
複雑化した昨今のドラマから想像できないかもしれないが、登場人物はカンチとリカの他に、主にあと2人。
カンチと同郷の幼なじみ江口洋介演じる三上くんと有森也実演じる関口。この主要メンバー4人の恋模様が繰り広げられていく。
強いていえば、リカの元不倫相手かつカンチの上司である西岡徳馬、三上くんと同じ大学に通う千堂あきほの2人が展開にエッセンスを加えていく。
今は、話題集めや視聴率の問題でいろいろな有名人をキャスティングすることも多いかもしれないが、4人+αの恋模様を全11話使って成立させられる背景には通信手段の弱さがあるのかもしれない。
2.当時の普通から展開するラブストーリー
携帯電話もSNSもない。ましてや、1人1台パソコンが支給されていない。
仕事後の約束が急遽変更になるシーン。携帯電話もパソコンもないので、メモで伝言をする。
カンチが書いたメモ「ごめん、今日は行けなくなった。」と、リカのデスクの見えやすい位置に置く。すると、リカはメモがあることに気がつかず、仕事の資料をメモの上に積み重ねてしまう……。
すると、どうなるか?
リカは待ち合わせ場所に向かってしまう。何時間も喫茶店でカンチが来るのを待つ。移動もせず、カンチをじっと待ち続けるリカ。やがて閉店し喫茶店の外で待ち続けるリカ。
……そこにカンチが登場。
冷え切ったリカの手を繋いだ瞬間に、カンチはリカの待ち時間の長さに気づくことになる。そこでカンチはリカの真っ直ぐさにやられてしまうのだった。
このすれ違いと歯痒さを1話分使って表現しているのだから、登場人物4人でも十分と言えるだろう。
家には固定電話が設置され、留守電機能もフル稼働。
当時、自宅には固定電話が設置され、帰宅後はすぐ留守電のチェックをし、夜には電話をかける。
時に留守電メッセージは、恋人にとって不穏なきっかけをもたらす。
カンチの家でカンチの帰りを待つリカ。
カンチの家電に別の女性から留守電メッセージが入る。リカは留守電を聞くことになってしまう。その後、2人の歯車が噛み合わなくなっていく……。
現代版「東京ラブストーリー」に期待すること
初代版は、携帯電話やSNSがないことによって、すれ違いやハプニングが起こり、4人の恋心が交錯していく。
すぐに連絡がとれていれば、カンチの誤解が解けたかもしれないが、リカの健気さや力強さが描けなくなるだろう。
現代版では手軽に連絡する手段がある上で、4人の心の交錯はどんなふうに描かれ、どんなすれ違いが生まれるのか?
現代だからこその歯痒さやすれ違いがきっとある。
ちなみに、現代版はFODとAmazonPrimeVideoで配信されるそう
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ペンを片手にテレビ欄を眺めていた子どもは、サブスク時代を生きる大人に変わった。
10歳にも満たない女心に衝撃を与えた「東京ラブストーリー」。
結婚をし恋愛ど真ん中世代を経験した今、現代版はどんな変化で夢中にさせてくれるのか?
ワクワクしたこの気持ち、春まで待てるだろうか……笑