おすすめの看護系大学を教えてください
この質問もあるあるですね。
お勧めする理由には様々な視点があります。よく「東大」とか回答がありますが、看護教育の歴史はそう単純ではありません。
しかも、この本質的でデリケートな質問に的確に答えるのは非常に難しい。
ではまず、なぜ単純に「東大」ではないのかを説明します。
それには、看護教育の歴史から学ぶ必要があります。
さらには、看護教育とは「何であり、何が目標なのか」という壮大な問題に答えなければなりません。
看護教育の歴史
看護系大学のいわゆるレベルは、その歴史と密接な関係があります。なぜなら、教育の充実度はその大学にどのような人材がいて、どれくらいの教育ノウハウと教育システムがあるのかが重要だからです。看護教育の内容は国によっても違うし、教育機関によってもまちまちです。国家試験により最低基準は明確化されていますが、そこからどのように発展させるかは教育機関のそれこそ実力次第です。
看護教育の歴史は看護大学に入ると学びますが、日赤のこのページが参考になるでしょう。
看護師養成の歴史(日本赤十字社)
https://www.jrc.or.jp/medical-and-welfare/nurse/history/
日本における看護婦養成所の設立は、明治17年(1884年)から始まりましたが、当初設立された看護学校のうち、その教育を継承しているといえるのは日赤だけで、他は実質的に途絶えています。だから日赤看護はすごいんですね。
日本看護協会「戦前・戦後の看護教科書」
https://www.nurse.or.jp/nursing/library/shozo/exhibition/
1884年 有志共立東京病院看護婦教育所(東京慈恵医院看護婦教育所)
※ 今の東京慈恵会医科大学医学部看護学科につながるが、途中で医師中心のドイツ式に転換を余儀なくされた。1886年 京都看病婦学校、桜井女学校付属看護婦養成所
※ 前者は、今の同志社女子大看護学科につながるが、戦後長らく廃校されており伝統は継承されていない。
※ 後者は、今の女子学院につながるが、看護教育は消滅している。1887年 東京帝国大学医科大学付属看護婦講習科
※ のちの東大医学部附属看護学校だが、医学部の東京大学医学部健康総合科学科 看護科学専修とは別系統。1890年 日本赤十字社救護看護婦養成所
教育に必要な書物も次々と出版されました、日本赤十字社の『日本赤十字社看護学教程』もそのひとつです。教科書を作れるというのは養成力のバロメーターです。
そして戦後はGHQの指導のもと、看護教育のモデルスクールとして東京看護教育模範学院が設立されました。母体が日赤の学校です。その時に使ったのが聖路加女子専門学校の教科書。これが全国で使われる看護の教科書の元になりました。つまり、戦後日本の看護教育の基礎は聖路加が作ったといえます。
よって、聖路加と日赤は、看護業界で一目置かれるのです。看護業界の東大といえば、本物の東大ではなく聖路加と日赤を指すと言っても過言ではありあません。
つづく・・・・
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