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俺ガイル結2感想会。完

はじめに

前回・前々回の続きです!

※1
以下のブログを参考に話しているところがあります。適宜ご参照ください。

※2
また、参加者は以下の通りです(初回の登場順。カッコ内はツイッターアカウント)

 pf (@HumbertWendel)

 clp (@clpXclp)

 才華 (@zaikakotoregail)

 ひろたき (@la_volche)

 なみもん (@namimon_jp)

 飄々図書室 (@hyohyolibrary)

 ゆき (@genuine_note)


⑧舞台は整い、スタートの号砲は鳴らされる。

マラソン大会。八幡は葉山を当てこする。葉山は優勝し、三浦と陽乃とに言及し、噂を収束させる。結衣が八幡の傷を消毒し、傷と寒さとを理由に寄り添って歩く。保健室で雪乃と合流。
(※あらすじはpf氏のサイトより、書き起こしている時点で記述されているものを引用。以下同じ)

「陽乃さんに伝えたいですね」

clp 飄々さんの方の疑問で、「結局、八幡は葉山に協力してもらって具体的に何がしたかったのか。で、協力してもらえなかったことで何がどうなったのか」。具体的に何がしたかったんでしょうね。

pf anotherだと「三浦かいろはと付き合え」って言ってる(e、55-56頁)。

ひろたき えぇぇ……、けっこう突っ込むんだ。

才華 頭悪い八幡だな。

一同 笑

pf 普通にだから葉山はその解法取ってるじゃん。

clp 八幡の知力が乱高下してるなぁ。

ひろたき じゃあそれを言うつもりだった……?

pf お互いに同じ結論に至ってるのにそれを描かないのはとてもはやはちで良いと思うのだけれど。

才華 だからそれがクレバーなんじゃないですか。

ひろたき でもこれ、陽乃に言及しようと思った葉山の理由っていうのは何なんですか。

pf 煽られたからでしょ。「伝えればいいって言ったな。お前はそうなのか?」(250頁)で煽られたから。

ひろたき そっか、それだけで充分か……?

clp 充分なんですかね。そんなキャラだったのか? っていう疑問が、多少。葉山が、陽乃さんに伝えたいですって言い出すようなキャラだったっけ、って。

pf いやだから、これまで陽乃に対して何も伝えてなかったってことなんですよ、この台詞。「君はそんなやり方をする必要ないだろ」(248頁)って言ってるので(cf.13巻、255頁)、隼人くんは陽乃に対して、そんなやり方をし続けてるんですよ。それに対して、一言も言ってない人に対して、「たった一言に押し込めて納得できるのか?」(250頁)って言ったら、そんなわけないじゃんってのが隼人くんの答えなので(cf.14巻、398頁)。煽られたんですよね。だから、次回、「人生を俺にくれ」とか言うんですよ(cf.14巻、400頁)、隼人くん、きっと笑

ひろたき こわ笑

飄々図書室 これ、「陽乃さんに伝えたいですね」(257頁)って言ったのは、比企谷に表明した、僕は行動しますよみたいなこと(252頁)を比企谷に伝えるためにあの場で言ったってこと?

pf そこまでは思わんけど。

飄々図書室 だって意味のない行為というか、しかも葉山のような、人とコミュニケーションできるような人が、あの場で全く関係のないことを言うのは、何か目的がないと……。

才華 やっぱ、逃げ場をなくすためには、大勢の前で言わなきゃいけない。それくらい「おもしろい」人間じゃないと認めてくれないじゃないですか。

飄々図書室 なるほど。だとすると、いろはと三浦に言ったのは?

pf 普通に噂を収束させるため。

才華 陽乃だけだと、マジで誰? ってなるから。

pf 次回、「正直、成功させる自信はない」(14巻、384頁)とかって隼人くん言うんだって、陽乃さんに笑

ひろたき わぁ、葉山隼人異常人間説笑

飄々図書室 異常人間笑

才華 元々そのポテンシャルがあった人間だって考えたほうが無難なんじゃないですか。めっちゃキャラが違って見えるけど、実は本編から異常コンテンツだったみたいな。異常人間だったっていう。

pf 僕は異常人間派ですからね。チェーンメール送ったのは隼人くん派ですからね(下記参照)。

clp pfさん説だと、さがみんも監禁してたりしましたね(下記参照)。

一同 笑

ひろたき 良くも悪くもぶっ飛んでますね、葉山隼人。


「優しくない女の子は、嫌いではないけれど」

clp そんな感じで、葉山が噂を消す行動に出るわけですが。

才華 あと、この章で語るとすれば「優しくない女の子は、嫌いではないけれど」(266頁)についてかな。

ひろたき この「けれど」の逆接って、逆接の意図の「けれど」?

pf 譲歩の可能性の方が高いのよね。

才華 譲歩じゃないですか、普通に。

ひろたき むしろ、優しいのでは? って思いますけどね。けっこう望むように結衣が来てくれたというか。

才華 そうだよなー。だって陽乃だって優しくない女の子じゃん。……そういうことか?

clp そういうことって?

才華 陽乃宛の。

clp なるほど。

ひろたき ここで陽乃へのラブレター。

clp 陽乃ルート解禁?

才華 本格的にはやはちで争うってことか……。

clp それは要するに、八幡も葉山のこと好きすぎるから、ってことですか? BL展開的には。

才華 ……一応直接的には、結衣が直前に「優しくしなきゃとか、そんなんじゃないんだけど」って言ってて。「優しいから」っていう理由ではなくて、個人的に人として関わりがあるから助けてるわけであって、そういう意味で「優しくない女の子」なんですよね。「優しい女の子」って、利害関係にとらわれている女の子のことをそう呼称してたわけじゃないですか。政治性の中にいて。打算で付き合ってくれている女の子のことを「優しい女の子」って呼称してたわけで。そうじゃない女の子っていう意味で言っているんでしょうね。

pf 材木座とかにはめっちゃ当たり厳しいしね、結衣ね。

才華 普通にそうだけど。

ひろたき やはり、八幡は賢いが、何かしたかって言うと……。14巻みたいな大博打ではないですけど、大胆な仕掛けを打ったかと言われれば、全部八幡の外側が動いて、現状の結果になってる感じはあるのですが。

pf はやはちで言うなら、ここで葉山くん出してくる必要がなかったよね。葉山くん、結衣と八幡を見る必要はなかった(265頁)。ここに出てくる必要がなかった。おかしくない? 隼人くん。だって、「怪我してるかも」(260頁)って結衣を送っといて、それを見にきてるんだよ。結衣を先に送っといて、それを確認しにきてる隼人くん、ちょっとおかしい。

ひろたき 雪乃には言ってない。言わないか。

pf 雪乃には伝えようがない。

ひろたき 噂あるしな。……ここ、「待たなくていい」(14巻、341頁)が頭にちらついたというか。「優しさ」=「待つ」みたいなイメージがあって。「優しくない」、つまり「待たない」し、勝手にやるし、みたいな。実際、事は八幡の思うように動いて……。

pf 動いてるというか、結衣が積極的に行くだけなので。

ひろたき じゃあ、いいのか。今、整理しながら喋ってます……。

clp さっきの才華さんの説明だと、「優しくない」っていう解釈をずらしてる感じでしたよね。

ひろたき ずらすというと?

clp 「優しくない」って言葉通りに受け取ると、それこそ陽乃とかも優しくないよねって話になるけれども、そうではなくてって。

pf そこで陽乃を持ち出すのは笑うところだよね?笑

clp 私が思ったのはなんですが、「優しくない女の子」っていうのは、イコール「強い女の子」じゃないかなって思ったんですよ。だから、266頁で、噂のことに対して「あたしもなんかできるかなー」って対応している由比ヶ浜は、「優しい女の子」ではなく「強い女の子」ではないかと。そういう文脈かなーと思ったんですよ。あ、いま言ってる「優しい女の子」と「強い女の子」っていうのは11巻末の話ね(316頁)。「雪ノ下は強い女の子」で「由比ヶ浜は優しい女の子」だと決め付けていた的な。そこと関連付けてるのかなと思ったのですが、どうでしょう?

pf 陽乃さんはめっちゃナイーブなので違います笑

ひろたき 陽乃はナイーブだから「優しくない女の子」ではないということですね。

才華 本編の11巻はちょっと遠くないですか?

clp 遠い、うん。

才華 あと、時系列的にそれに気づくのって後だからな、っていう。でも、ここは「強い女の子」だからな、由比ヶ浜。

clp 時系列の話は14巻の先取りの話が何度か出てたので……。

pf kindleだと、次のページに挿絵が入ってるんで、ものすごく章の終わりみたいな引きの強い文章になっちゃってんだけど、「優しくない女の子は〜」って。紙だとどうです?

clp 紙だと266頁の一番最後にそれがきて、次が挿絵ですね。「× × ×」もあります。266頁が右側なんですけど、「優しくない女の子は〜」「× × ×」で終わって、左の267頁がイラスト。

pf だいぶ違うな、印象が。「嫌いではないけれど」で完全に章が変わってるのよね、kindleだと。

なみもん ここで終わるのかっていう印象。

pf 紙だとちゃんと章が続く気がするね。


頬を赤くする描写はあったか?

clp あと、この章だとどうです? 他には。

ひろたき まだしばらく(結衣と八幡の二人で)歩いてますよね。ここ八幡の表情の方が赤くなった的なのは、ないですか? 描写としては。冷たいけど、体温がうんぬんかんぬんみたいなのが(270頁、272頁)なかったでしたっけ? この場面の雪乃と八幡は、アニメの印象ばかりが強くて覚えてないんですけど、アニメでは頬が赤くなっていた。が、そういう描写がそもそもあったかどうか。

clp ひろたきさんがおっしゃってたのは、(保健室で)雪ノ下と向かい合った場面ですか? 10巻の。

ひろたき そうです。

clp 10巻の320頁なんですけど、赤くなったっていうのは両方ともその描写はないですね。やたらと雪ノ下の顔の描写が詳しく書かれてはいるんだけど。「お互いにそのままの姿勢で固まってしまった」くらいで。あとは顔の造作だけで、表情についてはそんなに。で、「雪ノ下は椅子に座り直してぷいっとそっぽを向く」だから、確認不可能みたいな状態になってますね。

ひろたき これ、どうなんだろう。(八幡は)結衣にはアニメでは一切照れた描写を見せない、照れてるけど頬を赤くすることはないので。ここ(結2)ではどっちの意味で書かれてるんだろうか、というのは気になったのですが。「優しい女の子は嫌いだ」以降の。

pf これは、言葉にするとか、行動するとかの結衣だよね。

ひろたき そうですね。ということは普通に八幡もほだされたというか……。

pf ほだされたじゃなくて、ここは八幡が誤魔化してるとこで、「言おうとしていたことは頭から消え失せ」て、「やっぱ今日寒いな」で話がずれまくるんだ。だから、言おうとしていたことは「やっぱ今日寒いな」じゃないです。

clp 270頁。

pf なんかあれだなって言って、結衣が何か言葉を期待したんだけど、八幡は逃げた、っていうエピソードですね。まあ、ラブコメでしょう、それは。

ひろたき じゃあそれは何でしょうか、という。

pf だって二人でじゃれ合ってるシーンですから。

ひろたき あー、ここラブコメになるんですね。

pf 前の雪乃のシーンでも、喫茶店にいる男女ってどういうふうに見えるんだろうねってなって、「詐欺師と(被害者ね)」(149頁)ってなって。雪乃の時はナチュラルにラブコメ化を回避できて、結衣の時には割と故意に回避するみたいな差があるのかなって思ったけど。こうやってると恋人みたいだよね、とかっていう話題になるのを、結衣は警戒というか緊張したという話ですよね。……やっぱこれアニメになると何言ってるかわかんないパターンだよね笑 アニメになるとというか、「言おうとしていたことは頭から消え失せる」っていう一文がないと全然意味が変わっちゃう。

clp 消え失せる、で違うことを言ったっていうのは、声優さんの間のとり方でなんとかなりません? ここだけだったら。

pf 口じゃなくて目を映すとか、指先を映すとか。

才華 表情で。

pf 演出次第で。

clp 温かさ、冷たさとか体温とかもちらほら冒頭からありましたよね、何箇所か。

才華 まあ、熱はね。14巻でもそうだったし。

ひろたき フラグ立ちすぎでは。


「返報性の原理」「報いの時が来るだろう」

才華 返報性。でもな、これは次巻の内容を把握しないと分からないだろうな。「報いの時が来るだろう」(280頁)は。

pf これ、「借りた物は返さなければならない」(同頁)は、誰に? これ文脈から言うと雪乃に返しに行くのよね。「報いの時が来る」ってのは何だそりゃっていう、ちょっと怖い。

才華 保健室に雪乃がまだいて……。

ひろたき 僕、もしかしたら結衣で読んでたかも。

pf 別に、結衣でも雪乃でも。二股かけてて報いが来るだろうだけなんで、どちらでも、きっと。

ひろたき けっこう意味変わってきません?

pf 「温もりも」があるから結衣だね、きっと。雪乃冷たいから。

ひろたき 結衣に返すってなったら、やばいフラグ……。

pf いやだから、そうじゃないの? 最後のコートの話(303頁)じゃないの?

ひろたき あ、そうですか?

pf いや、しらんけど笑

才華 一対一対応とは限らないけど、解釈するならそう。

ひろたき 「返報性の原理」はもういらん、「七面倒臭い言葉を持ち出すまでもない」(280頁)と言ってるのか。

才華 言葉じゃなくて行動で、って。

ひろたき 返したら終わりの方に行くんじゃないか、と思ったり。

pf その仮定はないよね、きっと。借りたものを返したらまた借りればいいじゃない。「返さなければならない」っていう言葉に「それで終わっちゃう」っていう意味があるかどうかか。ないよね。

ひろたき ないですかね。僕はある方で読んじゃったから。

clp 返して終わっちゃうっていうのが報いになるのかもしれないですが。報い(で終わったのなら、また始めればいいじゃない)って、またさらに借りて返してってずっと続いていくんだったら、いつか報いるってことになるのかもしれないし。

pf ただの駄洒落の可能性もあるしな。

clp ここは広く解釈しておけばいい気はしますが、どうだろう。

ひろたき じゃあ、いい意味の方だったんですね。

clp いい意味も悪い意味も両方見据えとけば、俺ガイルを読む時には役立つかもしれないという。


⑨だから、今はまだ──

打ち上げ。雪乃、葉山、玉縄と会話。

雪乃の描写が少ない件について

pf 次の章の雪乃、描写されなさすぎじゃないですか。

才華 まじでそうですね。

pf 出てきてるだけで、感情が一切読み取れない。

ひろたき 一応仕事はしてますけど。

才華 本当ならここで、「陽乃さんの影は追ってないように見える」(10巻、333頁)とか、雪乃の話になるはずなのに、全然ならん。

pf 玉縄さんはわかりやすい。っていうのは、コメディリリーフよね、あの人。材木座くん出てこないから、今回。あ、でも爆弾置いてかなかった?玉縄さん。名刺置いてったよね、あの人。あれが伏線だったらどうしよう。

clp 玉縄の名刺は伏線っていうか、もしプロムとかに行くんだったら折本と連絡を取る必要がありますから、八幡が単独で連絡を取れるようになると。

才華 出社しろ、みたいな笑 

pf ……結衣の仕事は雪乃を引っ張り上げるのか、きっと。

ひろたき それって、やっぱり構図としては、雪乃と結衣の関係があって……。

pf 無印の時の結衣は雪乃を引き止める努力をしまくってるのよね。「わかった?」とか何度も確認したり。

clp 結局、由比ヶ浜からの関わり、働きかけが大きいし。

pf それを次巻でやらなきゃならないのです。由比ヶ浜が。

clp 306頁にもありますが、「一緒にバイトしようよ」「三人でか?」みたいな。で、さり気なくここで「あの子のこと、忘れてない?」って一色を外しているという。

ひろたき 一色は外れますよね、なんか。外れてもいいんじゃないかって、渡航的に。

pf 後から入ってくるんじゃないの?

clp 入れたら新と何が違うのってなってきません? 「当たり前のようにそこにいる」(54頁)と。

ひろたき 形がね、どうも。結衣が雪乃を引っ張り上げるのだとしたら、それこそ無印とも変わんないし。

clp ただ、由比ヶ浜の立場はちょっと違うかもしれない。

ひろたき なんなら、雪乃の問題の解決は一切起こり得ない。水族館に行った時の結衣の提案(11巻、313頁)とあんまり変わんなく。そうなるんですかね、っていうのは、そうじゃなくあって欲しいって気持ちはありますけどね。

pf anotherは完全に雪乃が諦める話だった。だけど、anotherの時にはケーキを半分ずつ食べるとかいうエピソード(結1巻、305頁)さえなかったので、変わるんですよ、きっと。

clp そこの加筆された部分が重要で。今後の展開を見据えて入れてるはずだから、そうですよね。

才華 ケーキは伏線だと信じたいですよね。

clp ただまあ、俺ガイル新の富岡さんみたいな例もあるので、何とも言えないが。

才華 まじで誰だったのってなるやつ。

一同 笑

pf 放り投げすぎ。

才華 ケーキがそれにならないとは限らない。でも実際、どうすればいいんですかねっていうのはありますけどね。

clp 一つは普通に由比ヶ浜結衣の物語で、由比ヶ浜結衣が主人公になるという手はありますが。

pf 語り手と主人公は違うっていう意味では、主人公になってるのではないですか、すでに。相当動いてるよね、結衣ちゃん。

clp 相当動いてるという意味では、12巻以降でもそうなんですよ。ただ、主人公っていうのはやっぱり「決める人」じゃないですか。14巻までにしろ、この結にしろ、決める人は八幡っていう感じじゃないですか。決断するでもいいし。例えば、言葉ってのにこだわってる結衣っていうのは、結局、八幡の言葉を待ってるじゃないですか。じゃなくて、由比ヶ浜が「こうするからね」って言って主導的に、っていうのが主人公の役割になりません?

pf あー、由比ヶ浜が何か決断したのか?ということか、どこかで。

clp っていう展開になるのであれば、一つ違ってくるかなってのはありますが。まだわかんないですけど。

pf 前の巻で「できることをしよう」みたいな決断はすでにしていて、今回いろんなことをしまくってて、「でも、それでもいいの」みたいなこと言ってなかったっけ? 噂になることを受け入れて、尚且、何かしらいろはと動いているのが喫茶店のエピソードよね。


モック・テイルで構わない

clp 9章の一番最後の「紛い物の物語モック・テイルで構わない」(309頁)ってこのあたり、どうです?

pf うまいこと言ったって思ってるのかな、みたいな。

ひろたき 「疑い続けます」(14巻、505頁)みたいなニュアンスで言ってるのか、「ありえない想像をした」(14巻、162頁)の方なのか、どっちなのかっていう。

pf それはその前の「好きなもんは好きなんだから」(308頁)の好きの対象は誰ですかっていう話に依存する。

clp この八幡だと軽いノリで先延ばしにしたっていう説はありません? ないか。

ひろたき これ、やば。これ(「好きなもんは好きなんだから」)直接的すぎる?

pf うん。

ひろたき これ言ったら終わりじゃないですか。これからまだ続くってことですもんね。これを見た時、「え、2で終わりなん?」ってぶっちゃけ思ったんですよね。で、モック・テイルだから。どっち? って思ったんですけど。

pf ここ、モクテルの話しかしてない。比喩の話しかしてなくてさ、結衣は「全部はいらない」(307頁)って言ってるのよね。何の全部はいらないのか、とかさ。どう考えたって「全部欲しい」(11巻、311頁)を引っ張ってるよね。あるいは、残りの半分はどこに行くんだろって話(註:前述の、ケーキを「ハーフ&ハーフ」する話)を引っ張ってるとか。その上で、「好きなもんは好きなんだから」っていう。

才華 まあ、全部は手に入らないのが結なんじゃないですか。……「好きなもんは好きなんだから」の好きの対象を雪乃と解釈して、八幡は雪乃のことが好きなんだからしょうがないだろって結衣を振ろうとするんだけど、でも、雪乃はそんな八幡のことが好きじゃないので、3人バラバラになるっていうバッドエンドがあるかなって思ったんですけど笑 それはないかな。そんなの、めちゃくちゃだもんな。

clp バラバラエンドはこの由比ヶ浜がさせなさそうな気はするんですが。

pf 一回修羅場起こして修復するとかありそうだよね。報いとか言ってるし。

才華 それはあると思います。実際、次巻は修羅場なんじゃないかって説が濃厚じゃないですか? たぶん、この感じでいくと。バレンタインで……。

clp 血のバレンタインが……。

才華 あと折本の存在がね、ちょっとでかいかもしれない。

pf 3人で働くって言って折本入ってないんだよね、これ。

才華 この巻で雪乃が見えなさすぎて、何も予想できないな。

pf 俺ガイル、全部そうよ。

才華 どうすれば雪乃を救えるかわからないな。

pf でもまあ、13巻が出た後も思ってたような気がする。バッドエンドしか見えなかったよね、正直。

clp 13巻の時はいろいろ終わってる感がありましたよね。

ひろたき いま飄々さんの感想を拝見していたのですが、飄々さんもモック・テイルに言及されている。飄々さんはいかが思われますか?

飄々図書室 「うまいこと言った」ってさっきありましたけど、それに尽きるというか笑 うまいことまとめたなって感想がまずあり……。

ひろたき 飄々さんもあえて紛い物を自覚しながら選択したっていう感想ですよね。八幡があえて紛い物を選択するか? って問題は?

飄々図書室 どういう気持ちで比企谷はこれをやってるんだろうっていうのがありますよね。紛い物だっていうことは、本物っていうのがやっぱりあるわけで。その本物っていうのが雪ノ下だとすれば、雪ノ下のことを意識しながら紛い物である由比ヶ浜と今こうやってベタベタして。どういう気持ちでいるの、みたいな。浮気的な感じじゃないですか、これって。浮気相手といちゃいちゃしてる気持ちっぽくないですか。

pf それはそうだけど、本物っていう言葉に絶対手に入らないとかっていう意味が俺ガイルの場合には入っちゃってるから(cf.「酸っぱい葡萄」9巻、254頁)。雪乃ルートというのは、本編でも俺ガイル結でもはなから頭にないのですよ、きっと。

ひろたき そうなってきますか、やっぱり。

飄々図書室 本編は手に入らないものを敢えて追求する物語で、この結の方は、妥協……。

pf 本編は手に入らないから諦めようとした話。で、そうすると八幡くん動かなければ普通に結衣ちゃん勝っちゃうので、っていうのがたぶん結だと思う。八幡くんどうせ動かないので、黙ってれば結衣になびくので、というか八幡がそう決めてたので、14巻の真ん中くらいまでは。なので、俺ガイル結は八幡が普通に黙ってて結衣ちゃんと結ばれる話だと思います。ていうか、それくらいに八幡も雪乃も動かない話だと思います。

ひろたき たしかに、現状、結衣しか動いてない。葉山は動いてるが。

clp そっか、八幡が動く方向って、葉山ばっかりなんですよね、そういえば。

ひろたき やっぱ、「紛い物の物語モック・テイルで構わない」ことあるか? って。本物の話をなかったことにしてるというか。これが肯定的に使われているのなら、そんなことあるか? って感じはしますけど。

pf 肯定的だと思いますよ。

ひろたき 肯定的ですか、やっぱり。それこそ、「いつか変わる」(309頁)っていう方が良い方向に変わるのでは……。

pf いやいやいや、今は紛い物だけど、時間をおけば結衣の方を好きになるでしょう、と言っている、だと思っている。むしろ、正確に言えば、八幡くんは結衣のことを好きになろうとしている、だと思う。雪乃を諦めようとしているのか。

ひろたき 雪乃が好きって言うことですか?

pf そこは、絶対わかんないように書いてるよね、実際。僕らは14巻まで読んじゃってるから、本物が定義できて、紛い物が定義できてっていう状態だけど、基本的にはそこは絶対にわからないように書いてきたと思います。だからここだけ読んでてもわからなくて、14巻で紛い物ってのは結衣のことだってわかってるからこの言葉がムカつくわけで。

clp まあでも、由比ヶ浜の妄想日記だったらっていう解釈(初回参照)はおもしろいですよね、やっぱり。

pf こんな日記、父親がみたら怒るだろ笑

clp 一番最初のところで、読まれたら困るようなページがあるっぽいこと書いてましたけど。15頁、「見られて困るページじゃなかったから」って、見られて困るページに何が書いてあったんですかね。ちょっと読んでみたくないです? 何をどこまでどう書いてるのか。

pf わたりんの結衣を話者にした文章は気持ち悪いからいいや笑


「彼女も、そうなのかもしれないな」(前章)

clp 飄々さん感想の中で、一つ前の章ですが、「彼女も、そうなのかもしれないな……」(251頁)はたしか最初の方で話題に出ましたよね。

ひろたき 誰なんでしょう。

clp 雪乃ではないかっていうことで、でも、たしかpfさんが「彼女って呼び方はするかな」っておっしゃってて。

ひろたき 仮に雪乃だとしたら、やはり意識はしているというか、目線は向いているということ?

clp 向け方が恋愛感情とかではなく、過去を通してって感じなんでしょうかね。

ひろたき それもあるんですが、雪乃の問題を全く取り上げない感じはないんだろうなっていう。作者として一応書いとかないといけないって思っている?

clp 書くんじゃないかなっていう、このあたりの(感想会に参加した)人たちの総意でもありますよね。ちなみに、この「彼女」が由比ヶ浜の可能性ってあります?

pf 「彼女も、そうなのかもしれないな」の「そう」が何だって話で。「そう」っていうのは八幡くんの「不格好でもあがくしかない」なので。

clp そこが雪ノ下にはちょっと似合わないっちゃ似合わないですよね。で、一方で由比ヶ浜は一色との暗躍の可能性とかも含め、何か動いてるというのが、あがいてると言えばあがいてるってことになるかもしれない。

pf (葉山だったら「彼女」ではなく)「結衣」って言うよなぁ……。

clp 「結衣」って言うかっていうと、あがいてる由比ヶ浜のことをこいつに教えたくないなってことでぼかしたとかね。という解釈が付かなくはないんですが。

pf はるのんが不格好で無様であがいてるかって話よね。

clp 陽乃は……。

才華 葉山がやばい奴だったら、陽乃のことをそう考えてるかもしれない。

clp そう考えてるっていうか、陽乃もそうかもしれないなっていうのに気づいたみたいな可能性もなくはない。

pf だから、陽乃が不格好で無様でもあがいてるかっていうと、雪乃以外については動かない人という理解なのだけど。……何かあがいてるかもしれないか。

clp そこは読者から見えない家関連の話かもしれない。

才華 やっぱり、お偉いさんに媚びへつらうことは不格好で無様だっていう感じですよね。

pf それはそうかもな。

ひろたき そんなこと言ってる、葉山。

clp 絞りきれないけど、可能性としてはそんな感じですかね。飄々さんの仮説みたいなのは何かあります?

飄々図書室 この本自体でそんなにでかい謎とかどんでん返しみたいなのがないように思われるので、素直に由比ヶ浜で読んでいいのかななんて思うんですが、っていうところですかね。さすがにこの部分だけでかい爆弾を落とすっていうのはバランスが悪いというか。メタ的なあれですが。

pf これは「陽乃さんに伝えたい」の助走というか、地ならしというか。

ひろたき あがいてるから。

飄々図書室 まあでも、誰でも当てはまりますよね、一長一短というか。この人に当てはめるとこれはそうだけどこれは違うなみたいなのが全員出てくるので。

pf 俺ガイルあるある。

飄々図書室 そうそう、あるある笑

ひろたき 思い当たる節がありすぎる。

飄々図書室 だいたいこういう謎って、解決されなかったりする。結3で明示されるようにはちょっと思えないかなと思います。

pf 結3に引いてる話が多すぎるっちゃ多すぎるのか。3だけに限らなきゃいいのか。

ひろたき だから、(結3は)葉山隼人と雪ノ下陽乃の大揉めがあって、結衣と雪乃の修羅場もあって。

pf 舞台がバレンタインだからね。

飄々図書室 ドッタンバッタン大騒ぎじゃないですか笑

ひろたき 揉めに揉めて。

飄々図書室 楽しみになってきたな。

clp 洋ドラみたいに順番に付き合うみたいな展開にはできないんですかね。なんていうんだろ、こういう時に3人でみたいな感じのハーレム方向にみなさん希望が行くじゃないですか。でも、別に順番に付き合うっていうルートでも良いのではって気がするのですが。あんまりそういう声が上がらないのは何でなんだろ、っていう。

pf そのルートはあるんじゃないかな、っていうのは、材木座さまがですね、「回り道とて我の覇道よ」(12巻、230頁)っていうすごい嫌なこと言ってて、それが14巻のエンディング話だったらどうなのってのがずっと棘みたいに刺さってる。

clp 14巻の最後が経過に過ぎないというか?

ひろたき ある種の信仰みたいなものがありますよね。付き合うってことに対して。

pf 材木座がそう言ってるし、小町も「自分の心を踏みにじるカスなんです」(14巻、479頁)とか言ってる、14巻エンディングは間違えまくってる話で、結は逆に正しい話だから。


「らしい」の対比

clp 飄々さんの感想の(「そういう返事、葉山らしい」(249頁)との対比としての)「14巻の「こういうの、あたしたちっぽい」」って、これどこでしたっけ?

pf プロムの2回目の会場のとこ(14巻、493頁)。

clp 14巻ではわりと平穏な感じのところなのが、ここだと完全に煽ってますよね。

飄々図書室 そうですね。まあ、想起されたので一応書いておいたという感じなのですが。

clp けっこうそこらへんを踏襲してる気がして、それを活かし方の違いというか、ここでは皮肉的に使ってるなっていう感じじゃないかと思うんですけど。


「俺だけの問題なのだ」と「雪ノ下の問題は、雪ノ下自身が解決すべきだ」の関連

ひろたき 「俺だけの問題なのだ」あるじゃないですか。7章の最後、公園で。

clp 230頁、はい。

ひろたき これって「雪ノ下の問題は、雪ノ下自身が解決すべきだ」(11巻、316頁)を引いてる?

pf 引いてないと思うな。「俺の俺だけの問題なのだ」はたぶん正しい。ていうか、誰も噂に対して何かする必要はないので、「俺の俺だけの問題なのだ」はその通り。

ひろたき 結衣にとっても問題にはなってないが、それは別ベクトルの問題……?

clp 由比ヶ浜が動いてるのは、八幡が気にしてるからじゃないですか? 告白されるから、は割となさそうな気はするんですよね。

pf 由比ヶ浜が動くのは自分が告白されて八幡が嫌な思いをしているから、では?

ひろたき 「雪ノ下の問題は、雪ノ下自身が解決すべきだ」は間違いという見解が無印であったじゃないですか。だから、こっちも間違いになり得るのかなと思ったんですが。要するに、八幡だけの問題ではなく、結衣の問題でもあり、っていう感じなのかなって思ったので。

clp 次の巻次第な部分もありますが。ただ、「俺の俺だけの問題なのだ」っていうのはおそらく正しくて、但し、結局この巻で「俺だけの問題」だってのを解決したのは実質葉山じゃないですか。それと由比ヶ浜。ていう、そこの部分は間違ってる気がするんですよ。「俺の俺だけの問題なのだ」ってここまで言うんだったら、八幡が解決しろよって感じじゃないですか。だから、言ってしまえば、そこの部分は合ってるけど、その後の解決方法が間違ってるというか、そういうのはあるかなとは思います。

ひろたき 何かしら問題含みの言葉なんじゃないかなと思いつつ、というくらいに私も思います。それが何なのかはまだわからないですが。


人気キャラについて

pf 八幡くん今回、結衣側に付いてるんですよね、明示的に、どこだかで。そのきっかけが川崎沙希と京華ちゃんのクッキーだってのが、川崎沙希さん全然顧みられてなくて、楽しい。それでこそ川なんとかさんって感じ。弟が喋っただけでクッキー作ってんじゃないよって話よね。

clp 川崎さんの無視されるっていうのはここだけに留まらず、例えば、バレンタインで出番がないっていう可能性もなくはないんですよね。

pf バレンタインイベントで勢ぞろいしたのは元々ファンサービスなので、人気のない人は出てこないのですというやつよね。

ひろたき 俺ガイルって誰が人気あるんですか?

clp わからない……。

才華 じゃあ海老名だ。

ひろたき いろはすとか……?

clp 結1の局所的には折本が人気を得ていましたが。

pf 俺ガイルってだって、雪乃が良いって言う人って、読んでたらあり得ないよね(註:個人の見解です)。こんだけ描写されてないのに。雪乃を好きだってそれは設定だけだよね、完全にね。

才華 でも八雪勢あんなにいるじゃないですか。私も雪乃好きですよ。

飄々図書室 そのミステリアスさがいいんじゃないですか?

pf わかんないのがいいのか。

clp わかんないのがいいのと、八雪でアニメ12話みたいな感じでいちゃいちゃしてたらそれで満足みたいな。

pf それは好きになるには後半過ぎませんか。

clp まあ、世の中割と黒髪スレンダー好きが多いということで。

才華 それはそうかもしれない。

pf それはそうだけど、俺ガイル書かれた初めの時点で黒髪スレンダーってトラップじゃなかった? 黒髪スレンダーにまともなキャラはいません、っていう時代だったと思うな。叙述トリックというか、黒髪ロングにおしとやかはいない。

clp 当時だとガハラさんとか三日月夜空さんとか。まあでもやっぱり雪ノ下は人気がありますよね。このラノとかでも1位を取ってませんでしたっけ。

才華 まあ、別に見た目でしか見てないっていうのは、俺ガイルに限ったことじゃないし、雪乃くらい余白があるキャラのほうがいいというのは分かります。狂ってるくらいがちょうどいい。

clp 才華さんのまとめの中で、折本について本編と違くない? って書いてますが。折本について今日はあんまり話題にのぼらなかったけど、この結2で何か気になったところとかあります? わりと他のキャラの違和感っていうのはいろいろ出てた気がするんですが。

才華 正直、気にはならないんだよなぁ。本編が薄すぎた説はある。まぁ、自分は折本は推せないかなぁ……。

一同 笑

clp 結1の時には『折ガイル』とか、そういう言葉もできてましたが。

ひろたき でももう、できないよなぁ、折ガイル。隼ガイルだしなぁ。

pf 別ルートだから引っ張り上げられたキャラだよね、折本さん。

才華 バレンタインで使おうと思ってるんじゃないかなと思ったんですけど、どうなんですかね。

clp 下手に使うと余計にややこしくなる気配もありつつ。

ひろたき 結1くらいの距離感、すごく好みなんですが。そこからまた比企谷とその仲間たちになるのか、ってなると。

pf 仲間に入るかというと入らねえだろ、というか。あ、でも玉縄さん引っ張ってこれるのは強いのか。

clp 結1で折本と自転車に乗って、結2で葉山と乗って、次は誰と乗りましょうかね。

ひろたき そっか、折本と自転車乗ってた。完全に忘れてた。

pf むしろ自転車始めたんじゃないかな、わたりんが。

一同 笑

飄々図書室 サウナと同じ笑

ひろたき 次は自転車の長文があるんですか笑


おわりに

以上、感想会の模様をお届けしました。

実はこれまでもクローズドなかたちでこのような感想会や鑑賞会を行ってきたのですが、今回はじめてオープンな場所に記録を残してみました。自分たち自身、読み返していて楽しく、またたくさんの方にご反応いただき、やって良かったなと素直に感じます。

また機会があれば、たとえば結3なんかでもやりたいですし、あるいは本編の感想を遡ってもかまわないと思います。素朴な感想とか基本的な読解とか、意外と記録が残っていなかったりするので、何かしら資するところがあれば嬉しいです。

最後に告知です。

2023/5/21(日)、東京流通センターで開かれる文学フリマ東京36に俺ガイル研究会も出店します。ブースは「か-69」、会誌である『レプリカvol.1』を頒布予定です。皆さまぜひお越しください。

また、『レプリカvol.1』は通販(メロンブックス)でも好評販売中です(URLは下記参照)。こちらからも入手可能ですので、ご興味のある方はぜひ通販での購入もご検討ください。

そしてこれはちょっと先だし情報ですが、年末の冬コミへ向けて『レプリカvol.2』をつくる企画が進行中です。創刊号で予告したように、ひろく寄稿者を募ります。『俺ガイル』に関する論考・エッセイ(聖地巡礼寄稿文なども含め)・二次小説・イラストならどのようなものでも(公序良俗に反しないかぎりで)受け付けるつもりです。

『俺ガイル』について何か書いてみたい方は主催者才華(@Zaikakotoregail)宛にご連絡を、もしくは公式ツイ(@kangairureplica)フォローの上続報をお待ちください!

それではまた次回の投稿でお会いしましょう!


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