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「脳が壊れた人」の言葉を補ってくれる10冊の本(No. 868)

考える人 メールマガジン
2020年6月11日号(No. 868)


精神科医・斎藤環と歴史学者・與那覇潤が選ぶ、
「病気から回復中の人」にお薦めの映画!

精神科医・斎藤環さんと歴史学者・與那覇潤さんの対談本『心を病んだらいけないの? うつ病社会の処方箋 』(新潮選書)の刊行を記念して、著者のお二人に、治療者の視点から、体験者の視点から、それぞれのお薦め映画について話していただきました。

定評のある4本の映画が挙げられていますが、この記事を読んでから観ると、さらに味わいが増すかもしれません。

前編
https://kangaeruhito.jp/interview/14895

後編
https://kangaeruhito.jp/interview/14907

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■第1位 「安田菜津紀の写真日記」
「怒りでは何も変わらない」という声に

アメリカで白人の警察官に取り押さえられた黒人男性が死亡した事件に対する抗議行動が一部過激化している問題は、果たして「対岸の火事」なのでしょうか。〈冷ややかな思考停止〉をしないために、わたしたちはどうしたらよいのか。緊急寄稿です。


■第2位 村上春樹「村上RADIOステイホームスペシャル」
明るいあしたを迎えるための音楽 1

村上春樹さんが、自粛生活中の様子や今後の小説への影響について語ったラジオの書き起こし、引き続き読まれています。6/14(日)19時から「村上RADIO」(あくまで個人的な)特選オールディーズ特集放送です!


■第3位 吉川トリコ「おんなのじかん」
18. きみは月

ハライチの岩井勇気さんが最近気になるという吉川さん。こうやって〈芸能人やそれに準ずる人には勝手にレッテルを貼り、好きになったり嫌いになったり〉して、つい〈人間を消費〉してしまう自らを顧みています。画面に映る人の姿は、その人本来の姿のごく一部でしかない、ということを忘れないように。

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■柴田元幸「亀のみぞ知る―海外文学定期便」(6/5)
(23)人格者の選んだ怪奇譚集

今回は、いまアメリカでもっとも興味深い作家の一人、レアード・ハントによる〈非常に充実した怪奇小説アンソロジー〉をご紹介。柴田さんの〈最新情報〉も掲載。刊行予定にメディア出演情報……超パワフル!


■大高郁子「考える猫のその日暮らし」(6/8)
ご相伴

カツオの美味しい季節です。愛猫スミチもご相伴、かと思いきや……?


■鈴木大介「たいせつな本」(6/10)
「脳が壊れた人」の言葉を補う10冊

脳梗塞を発症して高次脳機能障害を抱え、当事者の視点から『脳が壊れた』『「脳コワさん」支援ガイド』などを書いている文筆家・鈴木大介さんが《「脳が壊れた人」の言葉を補う10冊》にご紹介いただきました。

編集長のお気に入り


◎松家仁之「天使も踏むを畏れるところ」/小山田浩子「かたわら」(新潮2020年7月号)


先週も自社本(村上龍『MISSING』)について書いているのに、今週も兼務している文芸誌「新潮」の話題ですいません。6月5日に発売された最新号7月号について書きます。

当サイトの前身、雑誌「考える人」の創刊編集長で現在、小説家/編集者として活躍されている松家仁之さんの『光の犬』(2017)以来、3年ぶりの連載「天使も踏むを畏れるところ」がスタートいたします。時代が高度経済成長へと向かう頃、皇居の新宮殿の造営を巡って、宮内庁が、そして建築家が動き出します。戦後の象徴天皇制後の皇居の役割をどうデザインするのか。デビュー作『火山のふもとで』(2012)以来の建築をテーマとした長篇小説。松家さんはこのテーマを書くために、小説家になったそうです。

英語圏での評価が高まっている小山田浩子さん(当サイトで「小さい午餐」を連載中)は、芥川賞を受賞した「穴」(2014)以来、6年ぶりの中篇小説130枚「かたわら」を発表します。犬を飼う夢を見た、保育園児の娘を持つ女性のさして何事も起きない一日を追いながら、今の時代の不安感を丁寧に掬い取ります。不可思議なことが特におこらないのに、現実を今まで見ていた現実とは何か違ってしまったもののように感じさせるのは小山田さんならではのタッチです。

ほかに、新型コロナによりロックダウン下のニューヨークで、ポール・オースターが、自らのルーツ・ウクライナを訪れたときに見た光景を書いた最新エッセイ「スタニフラーウの狼」を、当サイトで「亀のみぞ知る 海外文学定期便」を連載中の柴田元幸さんに訳していただきました。こちらも、ツイッターなどで大きな反響をいただいています。

奇しくも、「新潮」7月号は「考える人」と親和性の高い号になりました。といっても、なかなか文芸誌は買う習慣がない人にとっては敷居が高いものだと思いますが、松家さんと小山田さんに新展開があったという情報だけでも、どうか頭の片隅に置いてください。二人の小説家の大きな転換期になるはずです。

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