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村上春樹が送る、明るいあしたを迎えるための音楽とメッセージ(No. 866)
考える人 メールマガジン
2020年5月28日号(No. 866)
村上春樹が新型コロナウイルスと闘う人々に送るエール「村上RADIOステイホームスペシャル」
村上春樹さんがDJを務める「村上RADIO特別編 ステイホームスペシャル~明るいあしたを迎えるための音楽~」が、2020年5月22日(金)にTOKYO FM/JFM38局ネットで放送されました。
新型コロナでたいへんな日々を過ごしている皆さんを音楽の力で明るくできれば、という村上さんの発案でこの特別編が生まれました。
stayhomeということで、村上さんの書斎で収録された特別編。膨大なレコード・コレクションのなかから自らが選んだ「明るいあしたを迎えるための音楽」19曲とともに、自粛期間中の生活ぶりや今後の小説への影響などを語りました。
番組後半には、ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥・京都大学教授から「ラジオネームをつけてください」という〈一生のお願い〉が読み上げられるサプライズ。村上さんが山中さんにつけたラジオネームとは……?
今回、TOKYO FMの協力をいただいて「村上RADIO特別編 ステイホームスペシャル~明るいあしたを迎えるための音楽~」の番組内容を、日本語と英語両方のバージョンで掲載いたします。日本のみならず、全世界のみなさんにお届けします。
明るいあしたを迎えるための音楽 1
https://kangaeruhito.jp/article/14694
明るいあしたを迎えるための音楽 2
https://kangaeruhito.jp/article/14739
アクセスランキング
■第1位 村上春樹「村上RADIOステイホームスペシャル」
明るいあしたを迎えるための音楽 1
村上春樹さんが、自粛生活中の様子や今後の小説への影響について語ったということもあり、非常にたくさんのアクセスを集めました! 選曲の素晴らしさも話題に。
■第2位 村井理子「村井さんちの生活」
信用するって難しい
長引く休校生活、学校からの課題を子どもにやらせるのも一苦労。「やったの?」「やったよ」。……その返事、信じていいの……? 子どもへの信用はもちろん、親である自分自身の信用も揺らぐ日々。共感の嵐!
■第3位 斎藤環×與那覇潤『心を病んだらどうするの?』刊行記念特別企画
「コミュ力」が高い人は「共感力」が低い?
「ひきこもり」専門の精神科医・斎藤環さんと、「重度のうつ」をくぐり抜けた歴史学者・與那覇潤さんによる共著『心を病んだらどうするの? うつ病社会の処方箋』がいよいよ発売! この記事では「発達障害」について語っています。
最新記事一覧
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在宅勤務 その2
「猫飼い在宅勤務あるある」ですね……!
■猪木武徳「デモクラシーと芸術」(5/27)
第17回 「金銭」と「多数」から芸術を救えるか――批評家シューマンの闘い
ベートーヴェンとパトロンの微妙な関係とは?
批評家は音楽にいかなる貢献をなしえるのか?
「音楽美」を守る応援者たちに光を当てた論考です。
ナクソス・ミュージック・ライブラリーで聴きながらお読みください。
編集長のお気に入り
◎映画「ハーフ・オブ・イット 面白いのは、これから」(Netflix)
5月頭にネットフリックスで配信された新作映画です。
アメリカの白人が多い田舎町で、浮いた存在だった中国系アメリカ人の高校生エリーが、成績はよかったので、アメフト部の選手ポールから、アスターへのラブレターの代筆を頼まれます。エリーは実は同性愛者で、アスターに恋心を抱いていたので、ラブレターに大好きなカズオ・イシグロの『日の名残り』や、ヴィム・ヴェンダース『ベルリン・天使の詩』の一節をしのばせますが、その引用はすべてアスターに見破られ、気持ちが通じ合うのを感じます。
やがてポールとアスターはデートすることになりますが、ポールの相談にのっているうちに、エリーとポールにも友情が芽生え始めます。ところが、しばらくしてエリーがラブレターを代筆していたこと、エリーもアスターに恋心を抱いていたことがわかり、三人の関係は複雑になっていきます。
というわけで、外身は、ティーン向けのラブコメディなのですが、ストーリーの根幹になっているのは古典演劇「シラノ・ド・ベルジュラック」のストーリーなわけです。エリーの好きな『日の名残り』、『ベルリン・天使の詩』も自分の気持ちに封印した主人公の話だったりと、ペダンティックにならない程度に、丁寧に伏線が忍ばされています。この作品の紹介を見ると、はっきりエリーが同性愛者だと書いてあるものが多いのですが、これも後半の決定的な場面になるまではほのめかされるぐらいで、なかなか明言されません。なんとも切ない映画で、こういう瞬間のために、ネットフリックスに入っているのだ、と思わされる佳作でした。
10代、20代の頃はあまりピンとこなかったのですが、この年になってわかるのは、どうも自分は、「シラノ・ド・ベルジュラック」型と「危険な関係」型のストーリーに弱いようです。
生まれつき、どこかにずしんと響くものがあるのでしょうか。
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