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法の基準、憲法前文は幸福を目指す

憲法や法律と聞くとどこか冷淡さを感じてしまうのは、私だけではないはず・・・。

今回はこれまでの憲法のイメージが変わるかな?と思える、憲法前文についてお話しさせていただきます。

法治国家日本、この前文、めっちゃ大事です。
だってあらゆる法の「基準であり根拠」なんです👀


前文とは 

今の日本国憲法は79年前、終戦の翌年の1946年に公布されました。
国の最高法規と言われる憲法は、冒頭の前文と、第一章〜第十一章までの本文で構成されています。
前文では、国民や国政、世界各国との関わりなどについての考え方や目的、理想などについて述べられています。
また、先ほどもお伝えした、法の基準や根拠となる法規範性という特徴があります。

法の基準や根拠となる法規範性

法の基準や根拠となる法規範性とはつまり、憲法やあらゆる法は、この前文を元に考えたり解釈するということ。前文にある内容と違った解釈をしてはいけないとしています。

前文の裁判規範性

裁判などでは抽象的である前文よりも、具体性があり、かつ前文の精神を引き継いでいるとされる憲法本文や各法律が裁判規範となっているようです。前文の裁判規範性については、また調べ、別の記事にまとめます。

GHQ草案

今の憲法前文の草案を起草したのは、GHQ民政局のハッシー海軍中佐です。それを理由に、前文の価値を問うような批判もあるようですが、草案を読むと、そこは重要なのかと感じさせられます。草案と言っても、ある程度完成されたものが提案されました。この記事の一番下にGHQの草案も載せています。よかったら後ほどご覧ください👀

解説の方法

前文は全部で669文字の文章です。解説するには少し長いので、今回は前文を第1段〜第4段の4つに区切り、それぞれを以下の3つでお伝えします。

①【 わかりやすく訳した文章 】
②【 前文の原文 】

③【 解説 】

この訳や解説などは、衆議院が出せれている『日本国憲法前文に関する基礎的資料』を参考にしています。以下URLです。
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/chosa/shukenshi032.pdf/$File/shukenshi032.pdf

※また訳は資格を持たない個人が行なっていますので、原文と大きくは変わっていませんが、何かで前文を利用される際は原文を確認してください。

前文を解説

前文:第1段

【 わかりやすく訳した文章 】
日本国民は、正当に選ばれた代表者を通じて行動し、私たちや子孫のため、諸国民との協力による成果と、国内にわたる自由のもたらす恩恵を確保する。また、政府によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう決意し、ここに主権は国民にあることを宣言し、この憲法を確定する。
国政は、国民の厳粛な信託によるものである。その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者が行使し、その福利は国民が享受する。これは人類普遍の原理であり、憲法はその原理に基づく。私たちはこれに反する全ての憲法や法令及び詔勅(天皇が公に意思を表示する文書)を排除する。

【 前文の原文 】
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

【 解説 】
「これは人類普遍の原理」とありますが、「これ」が指すのは、それ以前の全てとしていいと考えました。
しかし、原文の段落と草案を見て、「国政は」からはじまる文にかかっていると考え、変更を加えました。
しかし個人的には、「これは人類普遍の原理」が指すのは、成果や自由の恩恵を求めることについての言及でもあってほしいなと考えています。

特に今回私が着目してほしいと思ったのは、
・成果と、自由のもたらす恩恵を確保する
・主権は国民(主権=最高の政治権力と言ってよい。そうです👀)
・これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する
この3つです。
私たちの憲法は何のためにあるのか、誰のためにあるのか、どうやってより良くしていくのか、それがここにしっかりと記されています。

前文:第2段

【 わかりやすく訳した文章 】
国民は恒久の平和を願い、人間関係の基盤となる崇高な理想を深く自覚する。平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼し、私たちの安全を保持しようと決意した。私たちは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫を地上から永遠に除去しようと努める国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。私たちは全世界の人が、等しく恐怖と欠乏から免れ、平和の中に生存する権利を有することを確認する。

【 前文の原文 】
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

【 解説 】
前文の平和に対する熱意は、並々ならぬものを感じます。
そして、「恒久の平和」「永遠に」という言葉からもよくわかるように、短期的な視点ではなく、長期的な視点で捉えられています。

また「名誉ある地位を占めたい」という一文には、世界をリードする立場を志していること、また模範的であろうとしている事がわかります。

「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」これは日本国民も含まれ、全世界の人を対象としています。

前文:第3段

【 わかりやすく訳した文章 】
いずれの国家も、自国にのみ専念したり他国を無視してはならない。政治道徳の法則は、普遍的なものである。これに従うことは、自国の主権を維持し他国と対等関係に立つ、各国の責務であると信じる。

【 前文の原文 】
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

【 解説 】
第3段については、GHQ草案の当初案にはなかった一文です。後からハッシー海軍中佐がこの文章の草案を提案したようです。

調べ直しをします!

前文:第4段

【 前文の原文 】
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ(う)。

【 解説 】
国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓うそうです。頑張ろう日本🇯🇵✨

前文を一括掲載

前文(わかりやすく訳した文章)

国民は、正当な選挙で選ばれた国会の代表者と通じて行動し、私たちや子孫のため、諸国民との協力による成果と、国内にわたる自由のもたらす恩恵を確保する。政府によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう決意し、ここに主権は国民にあることを宣言し、この憲法を確定する。
国政は、国民の厳粛な信託によるものである。その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者が行使し、その福利は国民が享受する。これは人類普遍の原理であり、憲法はその原理に基づく。
私たちはこれに反する全ての憲法や法令及び詔勅(天皇が公に意思を表示する文書)を排除する。

国民は恒久の平和を願い、人間関係の基盤となる崇高な理想を深く自覚する。平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼し、私たちの安全を保持しようと決意した。
私たちは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫を地上から永遠に除去しようと努める国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。私たちは全世界の人が、等しく恐怖と欠乏から免れ、平和の中に生存する権利を有することを確認する。

いずれの国家も、自国にのみ専念したり他国を無視してはならない。政治道徳の法則は、普遍的なものである。これに従うことは、自国の主権を維持し他国と対等関係に立つ、各国の責務であると信じる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。

前文(原文)

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm#zen

GHQ草案①

われら日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民の意思に存することを宣言し、この憲法を制定し確立する。この憲法は、国政は〔国民の〕厳粛な信託によるものであり、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受するという、普遍の原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令および詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、今や人類を動かしつつある、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するが故に、その安全と生存とを、平和を愛する世界の諸国民の公正と信義に委ねようと決意した。日本は、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと目指し、それに献身している国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。

日本は、国家の名誉にかけ、堅い決意のもとに全力をあげて、この崇高な原理と目的とを達成することを誓う。

GHQ草案②(後ほど追加提出されたもの)

われらは、いずれの国民も自己に対してのみ責任を負うものではなく、政治道徳の法則は普遍的なものであり、われわれはこの法則によつて主権を有しているものであることを認める。

さいごに

私はこの前文は「幸福を願い求め、行動せよ」と言っていると感じました。
そして、豊かなはずの現代を生きる私たちは、戦後の日本以上にこれを目指せると確信しています。

皆さんはどのように感じましたか?

また私は今後、あらゆる社会課題を記事で取り上げようと思っていますが、この前文にある内容は、私の物の見方や考え方の、一つの基礎としたいと思っています。
また、まだまだ資料を確認中です。今後も前文の記事を更新する予定です。

Writing with ChatGPT

この記事の作成は、ChatGPTを活用しています!
今回は前文の「人間相互の関係を支配する」を「人間関係に備わる」としていたところを、もっと広域的で普遍的だ「人間関係の基礎になる」の方が適切と教えてもらい、変更しました🤖✨
最初はいいかな、と思って触れていませんでした🙇‍♀️
ちゃんとがんばれ私!

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Nanashi@社会をデザインしたいデザイナー
私の主な取り組みは【改善の実践と提案・社会課題の共有・法改正】です。 持続可能な取り組みのために、チップで応援してくださるととっても嬉しいです😂✨✨